コロナで亡くなった人の口を閉じていないという報道があります。看護師のグリーフケアを学び直したい|看護師の転職お悩み相談【看護師ドットワークス】

コロナで亡くなった人の口を閉じていないという報道があります。看護師のグリーフケアを学び直したい

30代女性、慢性期内科病棟勤務

インターネットで、コロナにより亡くなった方の口が閉じられていないという記事を見ました。詳しい状況はわからないのですがご遺体に対して不適切な対応ではないでしょうか。感染予防対策とはいえ、ほかに方法はあるのではないかと思ってしまいます。

私は慢性期病棟に勤務しており、お看取りの機会も度々あります。今後、職場でもコロナの患者の受け入れを検討するそうです。ご家族に寄り添えるようにグリーフケアを学び直そうと思います。

コロナ患者の報道の意味とグリーフケアのポイントを教えていただけますか。

看護師の転職お悩み相談の質問

新型コロナウイルスは収束の目処が立たず、さまざまな情報が飛び交っています。中には不正確な情報により必要以上に不安をあおる記事もありますので見極めが必要です。今回の報道に関しては、情報が出そろっていない時期に感染を警戒した結果の行動ではないでしょうか。

新型コロナウイルスの特徴は、症状が急変し亡くなってしまうケースがあることです。ご家族は十分な心がまえをできずにお看取りになることが予想されます。そのような場面でこそ、看護師がグリーフケアを手厚く行っていきたいですよね。

コロナ関連の報道の意味とグリーフケアについて見ていきましょう。

新型コロナウイルスで亡くなった方の対応が通常と異なる意味

新型コロナウイルスが感染拡大をはじめた当初、現在ほど情報が出そろっていませんでした。そのため、ご遺体から感染拡大すると考える方がいたり、医療者や葬儀会社が統一した対応ができなかったりといったことがあったようです。

コロナで亡くなった方の口が閉じられていなかったといった報道は、ご遺体の口腔から漏れ出る体液による感染を防止するためだったのではと思われます。また、コロナで亡くなった方はお別れの場も設けることができない状況もありました。

しかし現在は、感染予防をした上であれば口を閉じることもお別れの場を設けることも可能になりました。面会の制限はあるものの、以前のように顔すら見ずにお別れをするような状況はなくなりつつあります。

人が亡くなる場面で口が閉じられていない光景は、とてもショックだったのではないでしょうか。しかし、その対応はご遺体を雑に扱っていたわけではなく、情報が出そろっていない状況で感染予防を配慮した結果であることは知っておきましょう。

感染対策とわかっていても抵抗があるのが本音

「感染対策だとしてもご遺体の扱いが雑なように見えて抵抗がある」と思う方もいるかもしれません。医療者でさえそのように感じるのであれば、専門知識がないご家族はより強い思いを抱くものです。

自分の思いを隠したり、無理やり納得したりする必要はありません。良いグリーフケアにはご家族の気持ちを理解して寄り添うことが不可欠です。自分の感覚を大切にしながら、医療者として適切な対応ができるようにしましょう。

とくにコロナ禍のような非常事態では、不正確な情報が飛び交って混乱が起こりがちです。より正確な情報をキャッチする力も必要となります。

グリーフケアの基本

グリーフケアとは、遺族の揺れ動く心情を理解し寄り添うことで心の回復をサポートするケアです。大切な家族の死は大変ショックなもので、人によって回復までの過程や必要な時間は異なります。

グリーフケアのポイントは以下の3点です。

① 遺族がたどるプロセスを理解する
② プロセスごとに支援を行う
③ 看護師自身のケアも行う

ひとつずつ順番に解説していきます。

①遺族がたどるプロセスを理解する

遺族がたどるプロセスは、フィンクのグリーフプロセスを参考に理解していきましょう。

グリーフプロセスでは、遺族の心情は「対象喪失」→「否認」→「現実検討」→「抑うつ」→「再適応」の経過を辿るとされています。もちろん、個人により経過のスピードや順序がことなり、時にはプロセスを逆走することも珍しくありません。

一般的に遺族が辿るとされる経過を理解しておくことで、今後どのように遺族を導いていくべきか迷いにくくなります。

②プロセスごとに支援を行う

初期の対象喪失・否認の時期は、状況を受け入れがたく介入を必要としない場合が多いです。そばで見守り、気持ちと向き合える環境を整えていきましょう。現実検討の時期になると遺族は現実と向き合いはじめます。さまざまな感情の表出が予想されますので、傾聴の姿勢で受容的に接しましょう。

抑うつの時期は回復へ向けた準備期間です。エネルギーを蓄えるために必要な時間ですので、辛抱強く待ちましょう。抑うつからの突発的な行動や意欲低下による身体症状の出現にも注意します。

③看護師自身のケアも行う

患者の死は遺族だけでなく看護師にとっても大きなストレスです。良い看護を提供し続けるには看護師自身のケアも欠かせません。自分の感情に目を向け、無理をしていないか、ストレス発散の機会はあるかなど日ごろからセルフケアに目を向けましょう。

また、グリーフケアはチームの看護師や多職種とも連携し、一人で抱え込まないこともポイントです。チーム医療の一員として情報共有しながら遺族へケアを提供していきましょう。

個別性を重視した対応がポイント

グリーフケアもほかの看護と同様に、個別性を重視した対応がポイントです。対象者の年齢、価値観、ストレス耐性、患者との関係、死までの経過などを情報収集しアセスメントしましょう。

回復までの過程は個人差が大きいものです。あっさりと乗り越えられる人もいれば、年単位の時間を要する人もいます。中には一時的に回復しても抑うつ状態に戻る人もいます。人の死は乗り越えがたく、悲しみへの準備はわかっていてもできません。心理的・社会的に遺族が孤立しないように支援しながら、回復を粘り強く待ちましょう。

また、遺族の中でも悲嘆の反応が異なる場合もあります。病的な悲嘆反応を示す遺族がいる場合、周囲の人へ医療機関やカウンセリングの利用も積極的に検討するように伝えます。

まとめ

人が亡くなる場面では、とくにご家族の気持ちに寄り添った看護を提供したいものですよね。適切な対応をするには正しい情報をキャッチし、基本や個別性を重視したグリーフケアを再確認するのがポイントです。ぜひこの機会に再確認しておくことをおすすめします。

転職エージェントでは、看護師のさまざまなお悩み相談を受け付けています。医療現場で力を発揮してイキイキと働くためにも悩みを解決していきましょう。一人で悩み過ぎず、早めに相談することで気持ちが楽になりますよ。

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