管理職、教職、研究職…現場経験を活かしたキャリアアップ!
「看護師を育てる側になってみたい」
「病院の経営に関わり、業務を円滑にしたい」
「看護研究に本格的に取り組んでみたい」
と、キャリアアップについて考える人も多いでしょう。スタッフをまとめることや人を育てること、研究をすることなども非常にやりがいのある大切な仕事です。今回は、管理職・教職・研究職へのキャリアアップについてご紹介します。キャリアプランの参考にしていただけると幸いです。
管理職
病院には、看護師をまとめる「管理職」がいます。病院の規模によっても異なりますが、主任・師長・部長の3つが主です。主任・師長・部長と昇格するごとに、業務内容や役割も変わってきます。それぞれの業務内容を大まかに見ていきましょう。
【主任】
一般ナースへの指導や業務管理・師長の補佐を行います。
必要とされる経験年数の目安は10年以上です。 一般ナースと同じ業務を行いながら主任の仕事も行うため、業務量は多いと言えるでしょう。
【師長】
主任の経験を経た、看護師経験15年以上の看護師が師長になっているケースが多いです。
病棟スタッフを統括し、業務効率化や安全管理・スタッフの勤務調整・病棟医との連携などを行います。 また、病棟全体を見てベッドコントロールも行います。
【部長】
看護師として20年以上の経験があり、主任や師長を経て部長に昇進するケースが多いです。
各病棟の看護師長と連携し、病院全体を統括します。 看護師の業務・安全管理・質の高い医療の提供を管理することはもちろんですが、病床稼働率やコストなどの経営の部分にも携わります。また、各看護大学や専門学校と連携し看護師育成(実習の受け入れ)や人材の確保を行います。 患者さんが退院しても安心して生活を送ることができよう、地域の様々な施設と関係を構築したりします。
ここにあげた業務は一部でしかありません。病院が円滑に機能し、質の高い医療を提供するために欠かせない存在です。
管理職の役割
管理職の役割には、以下のようなものがあります。・責任のある立場になり、病棟看護師の模範・リーダーとなる
・適切な指導を行い、病棟看護師の成長を促す
・業務が安全に効率的に行えるよう、環境や仕組みづくりを行う
・医師と看護師をつなぐ窓口になる
・病棟スタッフの精神・身体面のフォロー
・インシデントやトラブルの対応・振り返り・改善
こうしてみると、本当にたくさんの業務や役割があり責任も大きくなりますが、非常にやりがいのある仕事だと言えます。
管理職にはどうすればなれるのか
先述した、昇進できる経験年数などは企業規模によっても変わってきますので、目安として捉えてください。病院によって、
・准看護師ではなく、看護師国家資格が必要
・大学卒でなければならない
・認定看護管理者教育課程修了者
など、管理職に就くための条件が決まっているケースもありますので事前の確認が必要です。
また、認定看護師・専門看護師の資格がある場合や、大学卒・大学院卒である場合の方が昇進に有利なことも。
看護師の管理職はポストが少ないため、同じ病院に長い間務め、昇進できる機会を待つか、管理職を募集している病院へ転職する方法もあります。 「管理職になりたいです!」と言って全ての人がなれるわけではありません。
上司や病棟スタッフとの関係性も重要で、どんなに知識や資格があっても周囲との関係性やリーダー性が乏しいと判断されれば、推薦してもらえないこともあります。
専門的な知識はもちろんですが、コミュニケーション能力やマネジメント能力も管理職に求められる条件の一つです。 また管理職に就くためには、日頃から常に向上心を持ち積極的に勉強会やセミナーに参加し、勉強する姿勢も重要になります。
管理職の年収
年収は、各管理職によって差があります。 主任の場合は、基本給が大きくアップすることはあまりありませんが、管理職手当・管理当直手当などがつきます。年収平均は500〜600万円と、年齢や企業規模によっても変わってきます。師長へ昇進すると、基本給も上がり平均年収550〜650万円程度です。 看護部長の平均年収は、およそ650〜700万円と言われています。 病院の規模や待遇によって異なりますが、条件によっては1000万円近くもらっている看護部長もいる様です。教職
看護師として医療の現場で患者さんと関わり、看護ケアを提供することも充実感があります。 しかし、教員として未来の看護師を育てサポートし、医療の現場へ送り出すことも非常にやりがいのある仕事です。
講義はもちろん、実技や実習を通し看護のあり方や患者さんとの関わりを学んでもらいます。 そのため、自分が専門的な知識・技術を理解するだけでなく「人に教える」技術も必要です。 教員は、助手・助教・講師・准教授・教授の役職があります。(※看護大学・短期大学の場合)
教員の仕事内容は各役職によっても異なりますが共通して挙げられるのは、
・講義や試験(準備も含め)の実施
・学校内で行う実技指導やそれに必要な物品補充
・実習先の確保やスケジュールの調整
・実習中の指導(助手など役職が下の教員は学生の付き添い)や提出物の評価
・オープンキャンパスや学生の募集活動
・大学センター入試の試験監督
・出張や研究発表・研究費管理など上司の仕事のサポート
など、看護学生を支えるためにたくさんの仕事をこなしています。
教職の役割
教員の大きな役割は、看護学生に根拠に基づいた知識を提供するとともに、看護師としてのあり方も教え、育てることです。 技術・研究の進歩により、医療が複雑でより専門的な知識が求められるようになっています。 看護学校での学びは、知識の土台となるため、この期間の学習は非常に大切です。また、医療の現場に出た後たくさんの患者さんと関わります。 学生が実習などを通して、患者さんとの関わり方や看護観を学び、多くのことを考えることができるよう、環境を提供しサポートしていかなくてはなりません。
非常に責任のある仕事ですが、生徒が成長し巣立っていく喜び・充実感は計り知れません。
教職にはどうすればなれるのか臨床経験3〜5年以上で教員になるケースが多いです。 看護学校によって修士課程を修了していること、もしくは専任教員養成講習会にて研修を終了した者などが条件に挙がっている場合もあります。
また、応募条件で「教員の実績がある者」としている場合があり、実績がない人は非常勤講師などを通して実績を作っている人も。そして多くの場合、助手や助教からスタートして徐々に昇進していきます。(※看護大学・短期大学の場合)
看護教員は、各看護学校の規模や学科によってその人数が決まっているため、求人は多いとは言えません。 特に、条件の良い求人や人気の大学などは募集の数も少なくすぐに埋まってしまいます。
学校内の職員からの紹介や推薦されることもあり、募集していてもすでに採用予定者が決まっているケースも。 そのため、情報を早くキャッチできた人が非常に有利となります。 いい情報を得るためには、転職サイトを利用しコーディネーターに相談することがオススメです。
教職の年収
年収は、看護学校の種類や役職によって大きく異なります。 例えば、公立系の看護学校では地方公務員に準ずる年収となりますし、専門学校などでは付属病院の棒給表に基づいて決定している場合もあります。また、研究などの実績や役職も給与に影響してきます。 勤務希望先の募集要項を各自確認してください。
研究職
先述した助手・助教・講師・准教授・教授は、学生に授業を行うと同時に看護の質や効率化・根拠に基づく看護ケアの提供のため、看護研究も行っています。 ここでは、分けて記載していますが実際は看護学校の教員は「教職」「研究職」両方の仕事をしているのです。
臨床で働いている時に疑問に思っていたことや、現場でより安全に効率的に業務が行える方法がないかなど、自分が興味を持ったテーマについて研究したり、上司の研究をサポートしています。
そして研究結果は論文にまとめ、多くの医療職者へ情報提供しています。
研究職の役割
研究職の役割は、「新たな概念や技術・知識を生み出すこと」「現在行われているケアが科学的根拠に基づいているのか、科学的根拠に基づいたケアとは何かを調べる」ことです。そのため、
・論理的、科学的な思考
・小さなことに気づくことができる観察能力
・飽くなき探究心
・論文を書く際の英語力
など、看護師としての能力に加え研究者としてのスキルも必要とされます。
研究職にはどうすればなれるのか
研究職になる方法は、教職の時と同じですので教職の項目を参考にしてください。研究には資金も必要です。 そのため、規模の大きな大学や国立・県立系の大学の方が研究機材や資金が揃っている場合がありますので、どの看護学校に入職するかも重要です。そういった情報や求人情報を、仕事をしながら一人で探すのは非常に困難です。 やはり、転職のプロであるコーディネーターに相談しつつ、転職の方向性を決めていくことをオススメします。
研究職の年収
教職と同じように看護学校の種類や役職によって年収はさまざまです。 求人によっては、病棟看護師よりも年収を大きく上回っているものもあります。しかし、年収が高いからということで判断してしまうと、「仕事が想像以上に激務だった。」「自分がやりたいと思っていたことができない学校だった。」など後悔してしまう原因になります。
自分がやりたい研究ができる環境か、労働条件は自分の希望に見合っているかなど総合的にみて判断しましょう。
キャリアアップは転職サイトで探そう!
今回取り上げた、管理職・教職・研究職の求人は、ネットなどにはなかなか情報が出ません。 人のツテや知り合いなどから求人情報を得ることもありますが、繋がりがないとなかなか難しいものですよね。
そういったときは、転職サイトのコーディネーターなどに相談するのがオススメです。 年収・勤務条件の希望や勤務開始時期など、自分では交渉しづらいところもコーディネーターが仲介します。 管理職や教職などポストが少なかったり埋まりやすかったりする職種のため、キャリアアップのための転職を検討している方は、早めに相談し転職活動をスタートしましょう。
また、看護師としてキャリアアップしていく方法はいくつもあります。 どの道に進めばよいか悩んでいる方にも、転職サイトでの相談がオススメです。 どの様なキャリアを築いていきたいか、モヤっとしたイメージだったものを一緒に整理し、転職の方向性を明確にするサポートを行います。
仕事をしながらの転職活動は忙しく負担も大きいですよね。 一人で抱え込むのではなく、ぜひ相談してみてください。