高齢者の看取りが苦痛です|看護師の転職お悩み相談【看護師ドットワークス】

高齢者の看取りが苦痛です

看護師3年目、24歳女性、慢性期病棟勤務

以前は、急性期の外科病棟で勤務していましたが、今年の夏から現在の慢性期病棟での勤務となりました。入院患者の大半は高齢者です。

慢性期では、急性期に比べ長期間患者に関わるようになり、患者と会話する時間も増えたと思います。また、急性期では何とか命を救うのが中心で、毎日目まぐるしく看護を実践してきました。一方で、慢性期では1人の患者に向き合う時間が多く、日々の会話や看護の中で、より深い人間関係を築けています。

「患者のことを深く理解できる」という点は、自分の大切にしている看護とマッチしているので問題はないのですが、深く知った分だけ看取り看護のさいは、とても辛く感じてしまいます。急性期の頃は、患者が早期に転棟や転科、転院していたのでそういった場面を体験する機会が少なかったのも関係していると思います。

今後、緩和ケア病棟への転科の可能性もゼロではないですし、患者の看取り看護にはいずれ慣れていくものなのかお聞きしたいです。また、看取りでの看護師の役割は何でしょうか?

看護師の転職お悩み相談の質問

ご相談ありがとうございます。大部分の高齢者が療養する慢性期病棟での勤務ということで、急性期の病棟と比べると、看取り看護を実践する機会は多くなりますよね。

相談者さんは、看取りの看護が辛いとのことですが、いくら看護師といっても人の死に直面すると、心に大きな負荷がかかります。

長い期間で人間関係を築いた患者なら、相談者さんのように辛い気持ちになるのは当然ですが、看護師として働く以上、看取り看護は避けては通れないのも事実です。

そこで今回は「看取りが看護師に与えるストレス」とその対処法や「果たすべき看護師の役割」から看護師が看取りをおこなう必要性について解説していきます。また「看取りの経験が多くなれば慣れるのか?」という疑問にもお答えしていきますので、看取り看護に向き合うさいの参考にしてください。

看取りが看護師に与えるストレス

看取りは相談者さんも「辛い」と感じているように、単純に人間関係を築いた人を失った悲しみだけでなく、看護師にとってさまざまなストレスを与えます。

ストレスを毎回抱えるような状態では、よい看取り看護は行なえません。相談者さんも今後看取り看護を経験していく可能性は十分にあるので、事前に知り準備しておく必要があります。

自分の看護が適切だったのか悩む

患者の最後を看取ったさいに「もっとしてあげられたことはなかっただろうか」、「言葉が掛けられなかった」など、自分の看護に対して適切だったのかを考え込み、それがストレスとなってしまいます。

対処法としては「何が足りなかったのか」を中心に振り返るのではなく「何ができたのか」について振り返り、ほかのスタッフと共有することです。もちろん「辛い」といった思いも共有して大丈夫ですよ。

スタッフ間で看取りについて共有すると、改善点や適切だった看護に目を向けられるため、看取りに対して少し前向きになるはずです。

家族とのトラブル

最期を迎える患者の家族は、それまでの看病や死という事実に直面し、心身の疲労がピークに達しているはずです。

そのような状態の患者家族は、一時的に動揺し過去の対応を非難したり、看取りの決断をしたにも関わらず「積極的な治療を望む」と意向を変更したりする場合もあります。

このようなトラブルは、適切な看取り看護の妨げにもなりますし、看護師にとって大きなストレスの原因となりかねません。

そのため、容態の変化が見られたさいの家族への連絡や、家族が容態の悪化を許容できるような説明など、家族も第二の患者として捉え、看取りの機会が訪れたさいにきちんと向き合えるような精神面のケアを並行して行うのが大切です。

看取り看護における看護師の役割

看取り看護における看護師の役割は、患者が死を迎えたとき、または死後しばらくしてからでも、家族や関係した人々が「これで(あれで)よかった」と納得できる環境を最終的に作り上げることです。

その役割を果たすために、看護師は「患者・家族の意思決定の支援」や「心身のケア」といった看護を行い、本人や家族だけでなく、その人の治療に関わったすべての人が死に向き合える環境を作るのが重要です。

死までの時間は人によって違うので、あっという間にそのときを迎えてしまう場合もあるかもしれません。いずれにせよ、患者と関わりが早い段階から意識して、環境を作る看護を実践していくことが看護師に求められています。

看取りには慣れていくのか

いくら看護師でも、人の死に慣れることはありません。相談者さんのように人間関係を築いた患者の死であれば、辛いといった感情は毎回感じるでしょう。

そのため、いくら看護師が看取りの経験を多くしたからといって、そのあとのケアが迅速になることはあっても「慣れて精神的に何も感じなくなる」ことは現実的ではありません。看護師を続ける以上、看取りの辛さ・悲しさとは付き合っていかなくてはならないのです。

しかし、そういった感情を持っているからこそ、患者・家族にとってよい看取り看護を提供できるのではないでしょうか。患者や家族は、看護師が感じている以上に、辛い感情を抱え込んでいます。それらを踏まえた上で、死に向き合う環境を作り出せるのは共感できる看護師だけなのです。

また、最期を迎える人にとってのベストな看護は人によってまったく異なります。さらに、それに対して本人からフィードバックを貰えないという特性上、評価をするのが非常に困難です。このような特徴を持つ看取り看護だからこそ、看取りに慣れていない看護師の方がよい看護を提供できるのではないでしょうか。

無理に看取り看護に慣れようとして深く考えるのを辞めるのではなく、悩み考え看護を実践した過程が看護師としての役割を果たしているということを心に留めておいてください。

まとめ

看取り看護は相談者さんが感じたことや、それ以外にもさまざまなストレスを看護師に与えます。その対処法を知っておくと同時に、看護師以上にストレスを抱えているのは患者とその家族であることも知っておきましょう。

それらを踏まえ、患者・家族、看護師を含めた治療に関係した全員が納得できるような環境を作り、最期を迎えるのが看取り看護における看護師の重要な役割です。

看取り看護に慣れることはありません。しかし、慣れていないからこそ、よい看取り看護が提供できるということを知り、今後も看護師として頑張ってください。

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