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看護師・ナースと他職種との連携が大事

看護師が忙しい医師との連携をスムーズに行うには?

看護師が忙しい医師との連携をスムーズに行うには?

病院には様々な専門職のスタッフがいて、互いに連携を取っています。 患者さんへ最適な医療を提供し、できるだけ早い段階で社会復帰できるようサポートするためです。

そのために、患者さんを中心に各専門スタッフがそれぞれの知識・視点をもって連携する、チーム医療が重要です。 チーム医療をうまく機能させるには、円滑なコミュニケーションが求められます。 しかし、看護師の多くが他職種とうまく連携やコミュニケーションを図ることができていないと自分で感じているようです。

そこで今回は、他職種の中でも関わりの深い医師とのコミュニケーションについてお話します。

チーム医療の必要性

チーム医療の必要性

2010年、厚生労働省では、医療の質の向上を目的として「チーム医療の推進に関する検討会」を設立しました。少子高齢化や質の高い医療提供、医療の複雑化のためチーム医療の充実が必要とされています。 厚生労働省が平成30年にチーム医療も含めた診療報酬改定を行っており、国を挙げてチーム医療を推進していることがわかります。

そもそもチーム医療とは、医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状態に的確に対応した医療を提供することとであるとされています。

(参照:厚生労働省 チーム医療の推進について)

今までの医療現場では医師を頂点とするピラミッド型が主流で、医師が出した指示を他職種が実施するという形ができていました。そのため、それぞれの医療従事者が「患者さんにもっとこのようなケアを提供できれば苦痛が緩和されるだろうな。」「患者さんの機能回復のためにこのリハビリを取り入れたい。」と思っても、医師や他の職種に情報提供や提案をすることが難しい状況にありました。

しかし患者さんに対して、適切で質の高い医療を提供することが医療従事者の共通の目的・目標ですよね。 この状況を改善するため、患者さんを中心にその周りを専門職が囲んで互いに連携し合う、円形の構造が全国で取り入れられています。

チーム医療における医師、看護師の役割

チーム医療における医師、看護師の役割

さて、チーム医療の中で、医師と看護師の役割はどのようなものがあるか見ていきましょう。

(1)医師の役割

医師は、患者さんの状態を診断し投薬や治療方針を検討、チームへ適切な指示をだします。 ただし治療の方針は、患者さんをはじめ他の専門職からも意見を集めて必要に応じて変更・修正していきます。

また、チーム医療の中で重要な医師の役割は「チームの舵取りを行うこと」です。 チーム医療を実現させるために、患者さんやたくさんのスタッフが一丸となって行動する必要があります。 そこで全体の調整や意見の集約などを行い、チームが活発に行動できるような医師は環境作りを行います。

施設や病棟によっては、ベテラン看護師が一緒にリーダーにまわることもあります。 医療従事者としての専門的な知識はもちろんですが、コミュニケーション能力などのソフトスキルも重要です。 これまでのように、診断し治療メニューの指示を一方的に出すだけであれば、「患者さんの想いや他職種を知る」必要がなかったかもしれません。

しかしチーム医療では、それぞれの意見や考えを知るためにしっかりとコミュニケーションをとらなくてはいけません。 どの職種も同じことが言えますが、相手を知り尊重する姿勢が求められているのです。

(2)看護職の役割

看護師の役割は、診療・治療・検査の補助、服薬の介助や患者さんの生活の介助などが挙げられます。 看護師は、医療従事者の中で患者さんや家族と接する時間が一番多いのではないでしょうか。

医師にはなかなか本当の気持ちを伝えづらいという患者さんでも、看護師には相談できるという人もいらっしゃいます。 患者さんの身体的精神的苦痛をよく知っている看護師は、チーム医療で各専門職と患者さんをつなぐ重要な役割を担っています。 特に治療方針を検討する医師とのコミュニケーションは重要で、看護師の情報や報告で治療方針やメニューが変わることも。看護師も専門的な知識とともに、コミュニケーションスキルが求められます。

看護師は患者さんと医師をつなぐ窓口

看護師は患者さんと医師をつなぐ窓口

先述の通り、看護師は患者さんと医師をつなぐ窓口になっています。
医師も診療・回診時に、患者さんの状態や話したいことを汲み取ったり、理解しようしたりと努力しています。
しかし、医師の業務は多忙でじっくり話を聞く時間がないのも事実です。 また、患者さんも医師を前にすると緊張してしまい、直前まで「これを伝えたい。」と思っていたことを忘れてしまうことも。 そうなると患者さんと医師の間ですれ違いが起こってしまい、最適な医療やケアが提供できない可能性もあります。

私たち看護師は、医療行為はもちろんですが患者さんの生活の介助やケアも行います。 様々なシーンで患者さんと接するため、何気ない会話や悩み・治療への思いを聞く機会が多くなりますよね。
必要に応じて医師や各専門職へ情報提供を行うことで、よりスムーズで良質な医療の提供を実現することができるのです。

医師と円滑にコミュニケーションをとる方法

医師と円滑にコミュニケーションをとる方法

チーム医療では、コミュニケーションが重要であると述べました。 しかし、看護師の多くが医師と円滑にコミュニケーションをとることができないと悩んでいるようです。

・医師と関係が悪いわけではないが、意見を聞き入れてもらえない時がある。
・報告したいことがあり話しかけたが、強い口調で「後からにして。」と言われた。
・指示や処置・治療の変更がいつの間に変わっていて、インシデントを起こしかけた。
・報告や依頼がうまく伝わっておらず、違う内容の指示が出ていた。
・医師がイライラしているときは、話しかけたくても話しかけられない。
・医師が今何をしている最中か分かりづらく(手術や外来など)、連絡を取りにくい。
・患者さんの治療などで相談したいと思っても、協力が得られない。

など、一度は経験したことがある方もいらっしゃるでしょう。 どうすれば、医師と円滑なコミュニケーションがとれるのでしょうか。それぞれ個人でできる努力、施設全体で取り組めることについてお話します。

・個人でできること
・忙しくても冷静な態度で話しかける

医師・看護師ともに日々の業務も多忙で、ものすごい緊張感の中仕事をしていると思います。 忙しいとイライラしてしまったり、早く対応して欲しいと思い、ついつい口調が荒くなってしまったりすることも。 強い口調やイライラした態度でコミュニケーションをとってしまうと、相手もいい気持ちはしませんよね。 誰でもイライラしてしまうことはありますが、話しかける前に一度冷静になってからという意識付けをしましょう。

コミュニケーションが一方的にならないように気をつける

コミュニケーションが一方的にならないように気をつける

指示を出して欲しい時など、用件だけ一方的に伝えてはいませんか。 医師も忙しくすぐには対応できない状況かもしれませんし、今までとは違った方法で治療に臨むつもりかもしれません。 緊急でなければ医師の都合を確認してからお願いする、「今回も同じ指示で大丈夫ですか。」など疑問系の形で確認するといった、互いに意見を言える質問の工夫をしましょう。

反対に「医師から言われた内容が分からなかったが、そのままにしてしまった。」など、医師からの話を一方的に聞くだけになっていることもあります。 分からないところや、詳しく説明が必要なところは確認し明確にするようにしましょう。 ー医師に伝えたい内容は結論から述べる 医療現場はとにかく忙しく、時間を有効に使わなければなりません。 忙しい時にダラダラと報告されたり、何が言いたいのか分からない話をされると、イラッとしてしまうもの。

医師に報告する際は、結論から述べるように心がけましょう。 まず一番何を伝えたいのかを初めに、そして詳細を時系列・数値・指標などを用いてわかりやすく説明します。 これは、医師だけに限らず医療現場では習得しておきたい伝達方法です。 時間を割いてもらっている相手に、少しでも分かりやすくという気持ちで報告内容を考えられたらいいですね。

報告内容はメモしてから

報告内容はメモしてから

伝え方が苦手という人は、まず内容をメモして状況を整理してみましょう。 いつ・どこで・どのような症状が出現したのか、医師に聞きたいことは何かなどメモにまとめることで、慌てず冷静に伝えることができます。 また医師も人間ですので、一度にたくさん依頼をされたら忘れてしまうこともあります。 必要であればメモを一緒に渡すことで、指示漏れも防ぐことが可能です。

患者さんに最適な治療提供を行うには、医師と看護師の情報の共有が非常に重要です。 円滑なコミュニケーションをとるために、個人で改善できるところもたくさんありますよね。 人と人が関わり仕事をするのですから、互いを思いやったり時には冷静にコミュニケーションをとらなくてはなりません。

忙しくて、顔も見ずに報告・依頼をしてしまう様子もしばしば見受けられます。 しっかり相手の目を見て、自分の伝えたことが伝わっているのかなど確認しながらコミュニケーションをとりましょう。 ただし、自分だけで解決できないコミュニケーションの問題もあります。 そういった場合は、上司に相談するなど一人で抱え込まないようにしましょう。

施設全体で取り組むこと

施設全体で取り組むこと

個人ではなかなか解決しづらい部分は、施設全体で改善していかなくてはなりません。 ー医師への依頼や報告の方法を統一化する それぞれの施設によって違いはあるかもしれませんが、効率的に行うことができているでしょうか。 受け持ち看護師・リーダー看護師が、それぞれ同じ内容の依頼や質問を重複して医師にしてしまうと非効率的です。

医師へ質問する人を決める、スタッフが質問する内容を共有できるよう一覧にするなどのちょっとした工夫が業務をスムーズにし、それぞれの負担を減らすことができます。 ー医師が今どのような状況か分かる様にする 医師は手術や外来などの業務もあり、その間はできるだけ目の前の患者さんに集中したいもの。 多くの看護師は、緊急でなければ後から報告する配慮をしていると思いますが、電話をかけるタイミングを迷ってしまいますよね。

また、報告・依頼したいことを後回しにして忘れたり、遅くなってしまうこともあります。 医師も、患者さん対応中に依頼されてしまうことで、指示を出すことを忘れてしまうといったことも。 そこで、互いにいいタイミングで連絡を取り合うことができる様に、担当医が今どのような状況か電子カルテ上で分かるシステムなども開発されています。 こういった技術を取り入れることで、報告漏れや指示出し忘れなどを防ぐことにもつながるのです。
施設全体で仕組化・統一化をすることも、医師と看護師が円滑なコミュニケーションを取れる一つの鍵になります。

まとめ

医師、看護師

医療技術の進歩・複雑化や高齢者人口の増加に伴い、チーム医療を機能させていく必要があります。 看護師は、医療従事者の中でも医師と接する機会が多い職種です。
それぞれの専門職が最大限力を発揮し、患者さんに最適な医療を提供するためには、活発なコミュニケーションが求められます。 「医師とのコミュニケーションに悩んでいる。」「もっと円滑なコミュニケーションを行いたい。」という方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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