せん妄状態の患者さんが暴れているのを見てから怖くて近寄れません|看護師の転職お悩み相談【看護師ドットワークス】

せん妄状態の患者さんが暴れているのを見てから怖くて近寄れません

20代女性、消化器外科勤務、転職経験なし

先日、手術後の患者さんが、夜間にせん妄状態になり大声を出して暴れているのを目撃しました。看護師と患者さんの両者にケガはなく、治療にも影響は出なかったのが不幸中の幸いです。

患者さんは、せん妄を起こしたことは覚えていなかったようです。また、その場で対応した看護師は、「よくあることだから気にし過ぎない方がいいよ」と言っていました。

でも、その場面を目撃してから、「もし自分の目の前で患者さんが暴れだしたら」と思うと怖くなってしまいます。どのようにして、せん妄状態の患者さんに対応すればよいのでしょうか。

看護師の転職お悩み相談の質問

せん妄状態になった患者さんの対応は、慣れるまで大変かもしれません。なぜなら、日中は穏やかに会話をしていた患者さんでも、夜間にせん妄を起こして、人が変わったかのように暴れだしてしまうことがあるからです。

そして、せん妄はいつ発生するかわからない場合もあるのが厄介です。しかし、せん妄の発生原因を理解し、予防をすることで発生する頻度を減らせます。また、万が一せん妄が発生してしまったときのための対処法も、知っておけば不安も解消されるでしょう。

そこで今回は、せん妄についての基礎知識や予防方法、対処方法についてご説明します。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

せん妄とはどのような状態なのか?

あなたは、せん妄についてどのようなイメージを持っていますか。「大声を出して暴れる」「ルートやドレーンを自己抜去してしまう」など、なんとなくネガティブなイメージをもっているかもしれませんね。

せん妄とは、「意識障害」のひとつであり、急性に引きおこる脳機能障害のことです。原因は病気、薬物、毒物、症状、環境などがあり、これらの原因が積み重なり「せん妄状態」を発症します。

また、せん妄は①過活動型②低活動型③混合型に分類されます。せん妄と聞いて多くの方がイメージするのは「突然、興奮状態になる」「夜間不眠で錯乱する」といった、①過活動型かもしれません。

実は、発生頻度が最も高いのは②低活動型(無表情・無気力・会話が噛み合わない)のせん妄です。低活動型のせん妄は、過活動型に比べると症状が乏しく見逃されやすい傾向にあります。

しかし、低活動型のせん妄も「注意力の低下」を引き起こします。つまり、ルート類の抜去や転倒といった医療事故につながるリスクがあるという点は、過活動型と共通しているのです。そのため、せん妄はどの型であっても予防と早期介入が必要になります。

せん妄は予防が大切

では、せん妄はどのようにして予防していくのでしょうか。それには、せん妄の原因をできる限り、取り除いていくケアがポイントとなります。

具体的なケアを3つご紹介します。

①見当識の維持

せん妄の原因として、状況が正しく認識できない、コミュニケーションが不足するといったことがあげられます。そのため、看護師は患者さんが情報を得やすく、十分なコミュニケーションが取れる環境を提供することが大切です。

たとえば、昼と夜の区別を認識できるように時計を置き、日中は十分な明るさを確保する、などです。生活リズムを正しく認識できるだけでも、患者さんの安心感は大きく増し、せん妄予防に繋がります。

家族の面会も有効なせん妄予防のひとつです。コミュニケーション不足を解消しながら、病気や症状に対する認識を確認できます。

また、せん妄を引き起こすと家族もショックを受けることがあります。ですので、患者さん本人だけでなく、家族も含めた丁寧な情報提供が必要です。

②ニーズに対するケア

ニーズの不足は患者さんにとって大きなストレスであり、その状態が続くとせん妄の原因となります。よって、「姿勢がつらい」「痛みやかゆみがある」「のどが渇いている」といったニーズを看護師が察知し、充足することが必要です。

患者さんは自分自身のニーズを必ずしも把握し、表出できるとは限りません。ですので、看護師がアセスメントによってニーズを察知したり、患者さんがニーズを表出しやすい環境を提供したりすることも大切です。

早期離床

早期離床はあらゆる場面で推奨されており、せん妄予防においても例外ではありません。運動による刺激は生活リズムを整え、状況の把握を促進します。ただし、早すぎる離床は転倒リスクと苦痛を伴うので避けなければなりません。

そこで注意点としては、安全性を十分に確保することや過度な苦痛を与えないようにすることがあげられます。全身状態を十分にアセスメントし、積極的に離床を促していきましょう。

せん妄状態の患者には複数の看護師で対応するのがポイント

せん妄は予防が大切であるとご説明しました。しかし、どれだけ予防をしていても必ず発生を防げるとは限りません。では、せん妄が発生してしまった場合はどのように対応すべきなのでしょうか。

ポイントは、できるだけ複数の看護師で対応することです。興奮する患者さんに対して、一人の看護師では対応しきれずケガをしてしまいかねません。そして、患者さんも後から自分自身の行為に対してショックを受けてしまいます。

ただし、興奮する患者さんに対して、複数人で抑え込むような対応はNGといえます。なぜなら、患者さんの身体を傷つけるだけでなく、せん妄を悪化させるリスクが高いからです。

メインで対応する看護師を一人に決めて、できるだけ穏やかな対応を心がけるとよいでしょう。ほかの看護師が、万が一の際に備えて後ろで待機しているだけでも、安心して対応できるのではないでしょうか。

まとめ

今回はせん妄の基礎知識や予防方法、発生した際の対応についてご説明しました。せん妄はしっかりと予防をすることで、発生頻度をグッと減らせます。万が一、発生した場合に備えて、できるだけ安全な対応方法も覚えておくとよいかもしれません。

どうしても、せん妄状態の患者さんに対する恐怖心が消えない場合は、転職を検討するのもひとつの方法です。職場によっては、せん妄を起こしやすい患者さんがほとんどいない場合もあります。

転職エージェントでは、転職を検討する看護師の支援を行っています。あなたのニーズに沿って医療機関の情報提供や転職活動のサポートをしてくれますよ。ぜひ、お気軽に相談してみてくださいね。

看護師の転職お悩み相談の回答

仕事の悩み

ストレス

その他の記事(看護師の転職お悩み相談の記事一覧

トップ
看護師向け転職エージェントランキング