看護師が身につけるべき、いち社会人としての基礎力とは?|看護師の生き抜く術を知る!|看護師専門の求人転職サイト【看護師ドットワークス】

看護師が身につけるべき、いち社会人としての基礎力とは?

看護師が身につけるべき、いち社会人としての基礎力とは?

国家試験に合格し、医療現場で働きはじめた看護師は一人の「社会人」とみなされます。職種にかかわらず、すべての社会人が経験年数や立場に応じて身につけるべきとされているものが「基礎力」です。

いまの職場で問題なく働けていたとしても、社会人としての基礎力が身についているとは限りません。基礎力が身につかないまま年数だけが経ってしまうと、異動や転職で環境が変わった際に、求められる活躍ができないことも考えられます。

今回は看護師が身につけるべき、社会人としての基礎力を経験年数や立場ごとにご説明します。自分に当てはめてチェックしてみると新しい発見があるかもしれませんよ。

看護師も社会人の一員として基礎力を身につける必要がある

看護師も社会人の一員として基礎力を身につける必要がある
近年、看護師の働く場所は多様化しています。たとえば、病院だけではなく地域や企業、児童施設などで働く看護師も珍しくなくなってきました。

同じ看護師であっても、働く場所が違うと求められる知識や役割は大きく異なります。自分の看護師としての可能性を広げるには、いまの職場での業務を覚えるだけではなく、社会人として普遍的な基礎力が必要です。

そして、社会人としての基礎力はその人の経験年数や立場によって、求められる内容が異なります。病院に勤める看護師であればクリニカルラダーを想像していただくとわかりやすいかもしれません。

新人には新人が身につけるべき基礎力があり、ベテランにはベテランが身につけるべき基礎力があります。ただし、いまの立場より前の段階(ラダー3相当の看護師であればラダー1、2)で求められる基礎力は、身についているものとみなされますので注意が必要です。

新人看護師に求められる基礎力

新人看護師に求められる基礎力
社会人デビューして間もない新人看護師に求められる基礎力は以下のとおりです。

・誠実な対応
・マナー意識
・チームワーク
・伝達力

それぞれ順番に解説していきます。

誠実な対応

職場でかかわるすべての人に対して誠実に接し、相手から信頼される対応ができることです。もちろん、患者さんだけではなく、一緒に働くスタッフに対しても誠実な対応は欠かせません。

具体的には、人にストレスを与えないような配慮、ミスをした時に素直に認め謝罪する、相手によって態度を変えない、といった行動や態度が求められます。

基本的な事柄ですが、ルールや規則、約束を守ることも大切です。誠実な看護師だと認められる第一歩は、決められた規則や期限をしっかりと認識し、確実に守ることだといえます。

マナー意識

マナー意識はとくに初対面の人に対応する場面で重要な基礎力です。看護師も所属部署によっては、毎日多くの初対面の患者さんと接する場合もありますよね。マナー意識を高めることで、相手に良い印象を与え、組織全体の評価向上にもつながります。

具体的には、清潔感のある身だしなみ、明るく安心感のある人格、適切な敬語や受け答え、といった行動が求められます。

看護師としての知識や技術以前に人として、周囲の人が気持ちよく過ごせるような配慮が大切です。自分自身の行動は意識しにくいものなので、マナーがしっかりできている人を良く観察し、自分との比較を意識していきましょう。

チームワーク

ほとんどの社会人は一人だけでは仕事を進められません。そのため、チームを形成して仕事をする必要があります。看護師も例外ではなく、患者さんを中心としたチーム医療の一員として、医療を提供する職業です。

チームメンバーとは積極的に協力し、困っている人がいたら助け、チームの方針を理解して働くことが求められます。自分に与えられた責任を果たし、得た情報を共有する姿勢が必要です。

また、チームである以上、意見が食い違う場面も多々あります。意見が食い違った場合にも、他者の意見を尊重しながら、チームの目的に最適な提案をしていかなければなりません。

伝達力

社会人として役割を果たすには、自分の伝えたいことをわかりやすく相手に伝える力が必要です。その場に応じて口頭や文章、プレゼンテーションなど、伝達手段の選択も考えなければなりません。

看護師の場合、患者さんや他職種、看護師同士など、さまざまな人とコミュニケーションを取る機会が多いので、同じ内容でも相手に合わせた表現が必要です。たとえば、患者さんに情報を伝達する際には、難しい医療用語は一般的な表現に変換する必要があります。

見落とされがちですが、伝達するタイミングも重要です。とくに新人看護師は悪い情報こそ素早く伝達しなければなりません。情報伝達の優先順位を考える力も身につけていきたいですね。

新人看護師が身につけたい情報伝達スキルについては、こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考記事:新人看護師が悩むホウレンソウ,タイミングと内容を使い分けよう

一人前看護師に求められる基礎力

一人前看護師に求められる基礎力
一人前看護師とは、独り立ちして業務を行えるようになった看護師を指します。求められる基礎力は以下のとおりです。

・学習の継続性
・主体的な行動
・状況把握
・ストレス管理

それぞれ順番に解説していきます。

学習の継続力

継続的な学習は新人時代だけでなく、社会人として常に求められます。医療技術は毎年のように進化しており、職場の状況も常に変化していますので、学習の継続力は欠かせません。

一部の看護師に見られる傾向として、新人時代は仕事に慣れるために懸命に学習するものの、先輩の目が離れたとたんに学習をやめてしまうことです。学習をやめてしまうと、成長もしなくなってしまいます。

学習を継続する姿勢は、自分のためだけではありません。同僚のスタッフからの信頼獲得にもつながります。たとえすぐに学習の成果が出なくても、コツコツと継続する取り組みが重要です。

主体的な行動

主体的な行動とは、与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら考えて行動を起こすことです。周囲の状況を観察し、いま何が必要であるか考えて判断し、指示を待たずに「○○したいのですが、よいでしょうか?」と上司や周囲に確認を取って行動を起こしましょう。

ポイントは周囲をよく観察し、「どうしましょうか?」と指示を仰ぐのではなく、「このようにしたいのですが、よいでしょうか?」と、自ら考えて提案もすることです。

自分から動くのが難しいと感じる人は、主体的に行動しているスタッフをよく見て、話を聞いて自分との違いを認識していくといいですよ。

状況把握

一人前看護師は自分の担当する仕事をこなすだけでなく、チーム全体の状況把握にも努めなければなりません。困っているスタッフがいれば手を差し伸べ、自分自身が周囲よりも仕事が遅れていればリーダーなどにヘルプを求めることが必要です。

周囲の状況だけでなく、自分自身の長所や短所を客観的に捉えられると成長にもつながります。チームの中で自分の長所を活かす方法や、短所を補うための立ち回りを考えられるとよいかもしれません。

ストレス管理

自分のストレス兆候を把握し、限界を超える前に仕事のペースを落とすなどして対応する能力です。まずは、自分はどのような場面でストレスを感じやすいか、コーピングはどのようにして行うかなどの振り返りからはじめるとよいかもしれません。

看護師の仕事は身体面だけでなく、精神面でのタフさも求められます。一人前看護師以上になると、自分自身をコントロールする術を身につけなければなりません。

ストレスへの対処法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧になってみてください。

参考記事:看護師のストレス要因やストレス症状およびストレス対処法

指導者・リーダークラス看護師に求められる基礎力

指導者・リーダークラス看護師に求められる基礎力
指導者・リーダークラス看護師は、現場での教育や院内研修を担当し、リーダー業務も行えるレベルの看護師を指します。求められる基礎力は以下のとおりです。

・柔軟な対応
・他者への動機づけ
・人材育成
・問題分析、改善 

それぞれ順番に解説していきます。

柔軟な対応

柔軟な対応とは、医療現場でのあらゆる状況変化や一緒に働くスタッフの特性に合わせた対応などを行うことです。とくに急性期系の医療現場では、患者さんの急変や緊急入院によりスケジュール変更を迫られがちではないでしょうか。

リーダークラスの看護師は状況変化に応じて、柔軟にスケジュールを変更してスタッフに仕事を再配分する役割が求められます。また、スタッフの特性をそれぞれ把握するのも大切です。

仕事の再配分の場面では、スタッフの特性に合わせてどのようなコミュニケーションを使うべきか選択していく必要があります。

人材育成

指導者として後輩育成の役割も担っていきます。単純に業務内容を指導するだけでなく、時には後輩の看護師としてのキャリアプランを共有し、長期的な目標設定の指導なども必要です。

指導の場面においても、後輩の特性をよく理解した柔軟な対応が求められます。

他者への動機づけ

周囲のスタッフへ仕事の目的や意味を伝えて、チームの活性化する役割のことです。それぞれのスタッフが自分の仕事に納得感を持って取り組めているか、モチベーションが低下しているメンバーのフォローはどのように行うか考えていきます。

まずは、自分自身の言動が周囲のスタッフにどのような影響を与えているかを、客観視することからはじめるとよいかもしれません。そして、周囲のスタッフの表情や言動の変化に着目し、悩みの把握に努めていきます。

問題分析・改善

業務や人間関係において問題が生じていないか情報収集・分析した結果より、よりよい職場環境を作るための改善を行っていきます。職場で生じている問題を正しく捉えるには十分な情報収集や過不足のない整理が必要です。

改善案を出す場合にも意見としてスタッフに伝えるだけでなく、実際に改善されるような工夫が必要となります。なぜなら、改善案を出しっぱなしでは誰も動かない可能性が高いからです。まずは、自分が率先して取り組む姿勢を見せるとよいかもしれません。

指導者・リーダーとしてチームを動かす方法は、下記の記事でも詳しくご説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

参考記事:人を巻き込んでチームを動かす看護師が実践する3つの原則とは?

管理職看護師に求められる基礎力

管理職看護師に求められる基礎力
管理職看護師は、病棟師長や主任、看護部長といった役職に就いた看護師を指します。求められる基礎力は以下のとおりです。

・傾聴力
・チーム管理
・組織運営
・決断力

それぞれ順番に解説していきます。

傾聴力

管理職となった看護師は、自分よりも経験の浅い看護師と話す機会が多くなります。話をする際には、相手の話に対して理解を示し、最後までさえぎらずに傾聴する力が必要です。傾聴してもらえると、話した相手は「受け止めてもらえた」と満足感が得られます。

悪い例としては、自分の価値観を押し付け、話の途中で否定してしまう態度です。相づちやうなずき、言い換えなどで会話に挟み込んで相手を理解しようとする言葉や態度を示しましょう。

チームの管理

チームの管理とは、管理職として所属する部署の年間目標を設定し、どのようにして目標達成していくか考えることです。部署の目標にはさまざまな種類があり、入院患者数・スタッフの成長・職場満足度などがあげられます。

また、看護師の管理職が行うチーム管理には人間関係の調節も含まれます。業務に支障をきたすような人間関係のトラブルが生じていれば、率先して管理職が話を聞いて解決に取り組まなければなりません。

組織運営

管理職クラスの看護師は所属部署の運営だけでなく、医療機関全体の運営も意識する役割を担います。組織運営にはさまざまな経費が必要であり、しっかりと利益を出していかなければ存続できません。

医療機関の場合も同様であり、組織の財務特性や経営指標を分析し、課題を抽出して適切な目標設定が必要です。しかし、医療機関は一般企業とは違い、利益の追求を優先できない場面もあります。

組織運営の安定と医療理念のバランスを考える必要があります。

決断力

管理職の最大の役割は、重要な決断を下して次の行動を指示することです。決断をするには、ほかの選択肢を思い切って捨てる覚悟が求められる場合もあります。仮に十分な判断材料が揃っていなくても、その時点での最善を考え抜きます。

もちろん、どれだけ考え抜いても必ず正しい決断ができるとは限りません。間違いがあることも想定して決断し、仮に間違っていたら潔く諦めるのも大切です。状況を受け入れて、次の決断をして新しい指示を出すことを考えていきます。

社会人としての基礎力が身についている看護師は異動や転職後も活躍できる

社会人としての基礎力が身についている看護師は異動や転職後も活躍できる
看護師の活躍の場は病院にとどまらず広がり続けています。社会人としての基礎力を身につけることで、活躍の場を広げるきっかけとなるのではないでしょうか。

同じ病院であっても異動や転職によって環境が変わると、これまでのルーティンワークは通用しなくなります。新しい環境にいかに早く馴染み、活躍できるかは社会人としての基礎力がポイントです。

ぜひ、いち社会人としての可能性を広げるためにも、基礎力に注目してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は看護師が身につけるべき、社会人としての基礎力についてご説明しました。基礎力はすぐには身につかず、また努力を怠ると衰えていくものです。いまの職場での業務だけでなく、広い視野を持って、自身の成長を考えていけるとよいのではないでしょうか。

転職エージェントでは、新たな活躍の場を求める看護師の転職支援を行っています。いまの職場で成長を感じなくなっていれば、転職のタイミングかもしれません。

転職を成功させるポイントは、転職者と医療機関のニーズを一致させることです。経験豊富なコーディネーターとの面談を通して、ミスマッチを防いだ転職を実現させましょう。

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