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「HSP」の傾向がある人は看護師としてどのように働けばよいのか?

「HSP」の傾向がある人は看護師としてどのように働けばよいのか?

最近よく目にするようになった「HSP」という人間の特性をご存じでしょうか。HSPとは、外部からの刺激に対して非常に敏感で繊細な感性をもつ人のことです。

看護師は患者さんと関わる機会が多く、看護師同士の人間関係に悩む方も多いですよね。HSPの「他者に共感しやすい」という特性をうまく活かせば良い看護ができますが、人間関係に疲れてしまうこともあります。

今回はHSPの特性が看護師の働き方にどのように影響するのか、どのような工夫で働きやすくなるかをご説明します。「私はHSPかもしれない」と、心当たりのある方はぜひ参考にしてみてください。

HSPの特徴

HSPの特徴
「HSP(ハイ・センシティブ・パーソン)」は人間の気質を表す名称です。以下の4つの特徴をあわせもつ方はHSPの傾向が強いと言えます。

①物事を複雑かつ深く考えてから行動する

ひとつの物事に対して、あらゆる可能性を考えた上で行動します。そのため、物事をはじめるまでに他人よりも時間がかかり、途中で考えすぎて手が止まってしまうことも少なくありません。

また、調べものが好きで豊富な知識をもつのもHSPの特徴です。深い洞察力があるため、うわべだけの会話が苦手で哲学的な考察を好みます。

②外部刺激に敏感で疲れやすい

大きな音や光、他者の言動や芸術作品といった外部刺激に非常に敏感です。そのほかにも、他者の些細な発言に傷つき、いつまでも引きずってしまうことも。

そのため、他者と同じように日常生活を送っていても、外部刺激への敏感さから人一倍疲れてしまいます。

③他者に共感しやすい

他者への共感力が強く、振り回されがちです。周囲に不機嫌な人がいると、自分には関係がなくても責任を感じて落ち込んでしまうこともあります。

また、観察力にも優れているため、動物や赤ちゃんの感情も表情や非言語コミュニケーションにより共感できます。

④体性感覚が優れている

においや音、光などへの体性感覚が他人より優れています。そのため、ほかの人は気づかないような変化の察知が得意です。

また、食物に含まれるカフェインや添加物への反応も大きいため、食事内容にも敏感になります。

HSPは病気ではなく「気質」なので付き合い方の工夫が必要

HSPは病気ではなく、あくまで人間の「気質」です。そのため、根本的な治療方法は現在のところないとされており、個人の特徴に合わせた付き合い方を考えていく必要があります。

もちろん、有効な治療がないからと、一人で抱え込む必要はありません。心療内科・精神科を受診したり、カウンセリングを受けてみたりして、自分なりの付き合い方を見つけていくのも有効です。

HSPが看護師にもたらすメリット

HSPが看護師にもたらすメリット
HSPの特徴は看護師にとって重要な素質となります。具体的にどのような場面でメリットとなるのかみていきましょう。

①患者さんの細かなニーズに気がつきやすい

HSP看護師は、患者さんの些細な変化に気がつきやすく、細かなニーズを捉えるのが得意です。他者の言動の意味を深く考えることや、音やにおいの変化に敏感な特性がメリットとなります。

患者さんの中には思っていることを口に出して伝えるのが苦手な方も多いです。共感上手なHSP看護師が関わることで、個別性のある看護を展開できるのではないでしょうか。

また、相手の気持ちに配慮できるHSP看護師は、患者さんとの信頼関係を築きやすいです。引き出した患者さんのニーズをカンファレンスで共有するとより良い看護につなげられるでしょう。

②細かな変化に気がつくので異常の早期発見につながりやすい

HSP看護師の変化に気づく能力は患者さんのニーズを引き出すだけではなく、異常の早期発見にも役立ちます。生命に関わるような急変の前兆として、ごくわずかな体調変化を起こす場合があり、早期発見はとても大切です。

たとえば、脳梗塞の初期症状として、会話が噛み合わない・言葉が出にくいなどがあります。症状が強くなければ見逃されることも少なくありません。

些細な変化を見逃しにくいHSP看護師の観察力によって、救われる生命があるかもしれません。「いつもと違う、なんとなくおかしい」という違和感を意識的に活用できるといいですね。

③誠実な仕事をするので信頼されやすい

HSP看護師は物事の細かな変化に気づき、配慮できるので誠実な仕事をする人だと評価されやすいです。誠実な仕事を積み重ねていけば、職場での信頼を勝ち取ることもできます。

患者さんへの誠実な対応によって、ほかの看護師では引き出せなかったニーズを見出すこともあります。まさに「寄り添う看護」を体現できるのがHSP看護師といえるのかもしれません。

④共感力があり教育者の素質がある

他者への共感力は教育の場面にも活かされます。HSP看護師は後輩がどのような場面で困っているのかしっかりと観察し、相手の気持ちに配慮した指導が得意です。

心身の些細な変化にも気がつけるため、後輩にとって相談しやすい先輩と言えるのではないでしょうか。また、後輩指導だけでなく、他職種とのかかわりにおいても共感力は活かされます。

相手の立場や状況を考えた対応は、看護師としてだけでなく日常生活でも活かされますよ。

⑤危機管理能力が高く管理者としても活躍できる

HSP看護師は、管理者に必要な危機管理能力を備えている場合が多いです。細かな観察と配慮、あらゆる可能性を考えた行動は、職場全体の安全を守りながら、スタッフが働きやすい環境作りに貢献します。

ただし、管理者は気がついたことをスタッフに伝えて改善していかなければならないため、指導の場面ではストレスを感じるかもしれません。HSP看護師が負担なく指導できるように、普段からの関係作りがポイントとなります。

HSPが看護師にもたらすデメリット

 HSPが看護師にもたらすデメリット
HSPのメリットをご紹介しましたが、HSPの特性によって生きづらさを感じている方も少なくありません。看護師として働く際に、HSPがどのような点でデメリットになってしまうか見ていきましょう。

①仕事を断れないのでパンクしがち

HSP看護師は仕事の依頼を断るのが苦手な方が多いのではないでしょうか。たとえば、「今、仕事を頼んでもいいですか?」とリーダー看護師に言われると、つい手が空いていないのに「はい、大丈夫ですよ。」と答えてしまう、などです。

リーダー看護師はシンプルに手が空いていたら仕事を依頼しようと考えただけでも、HSP看護師は断るのがとても苦手で無理をしてしまいます。その結果、自分の仕事と依頼された仕事を処理しきれなくなり、パンクしてしまいがちです。

また、自分が依頼する側になるのも、HSP看護師にとって大きなストレスです。依頼した相手の反応や負担を考えるだけで、疲れて気が病んでしまいます。そのため、必要な場面でも他者にヘルプを出せず、仕事を抱えすぎてパンクしてしまうことも。

②周囲に不機嫌な人がいると自分のせいだと勘違いしてしまう

共感力の強いHSP看護師は、周囲に不機嫌な人がいると自分のせいではないかと勘違いしてしまうことがあります。実際には関係がなくても、責任を感じ萎縮してしまってはいつもどおりの仕事ができません。

看護師は女性の多い職業であり、女性特有のホルモンバランスの乱れによるイライラに巻き込まれることがあります。また、他職種や患者さんの感情に巻き込まれてしまうパターンも少なくありません。

HSP看護師は、気持ちの切り替えが苦手な方が多いのも特徴です。いちど他者の感情に巻き込まれてしまうと、平常心を取り戻すのに多くの時間とエネルギーを要します。

③自分のペースを乱されるのが苦手

HSP看護師は自分のペースを乱されるのが苦手であり、急な予定変更に大きなストレスを感じます。患者さんの状態変化や急変対応が続くと疲弊してしまいがちです。

また、職場によっては看護師同士がペアを組んで、業務に取り組む場合もあるかもしれません。ペアを組んだ看護師と息が合わなければ、HSP看護師はペースを乱してストレスを感じてしまいます。

入退院の激しい職場や、ペアで業務に取り組む職場はHSP看護師にとってストレスが溜まりやすい環境だと言えるかもしれません。

④他人と関わりすぎると疲れてしまう

HSP看護師は他者の変化に気づき配慮ができる一方で、気を使い過ぎて疲れやすいのが特徴です。些細な言動の意味を深く考えすぎ、外部刺激に敏感に反応するのでストレスを溜め込んでしまいます。

看護師は患者さんと関わる機会が多く、また、他職種連携の中心となる職業です。そのため、他者と関わる機会も多くなりがちで、疲れてしまうことがあります。

⑤自己否定しがちで辛くなる

自己否定がクセになってしまい、自己肯定感が下がりがちなのがHSP看護師の特徴です。他人からの些細な一言を重く捉えて、「私はダメな看護師なんだ…」と考える傾向があります。

相手からすると指示や指導をしているだけなので、傷ついていることにも気づかれません。そのため、メンタルの不調を一人で抱えてしまい、突然に限界が来て働けなくなることがあります。

また、自己否定して自己肯定感が下がった状態は他者に伝わることもあります。自信のない態度が患者さんに伝わると、余計な不安を与えることに繋がりかねません。

HSP看護師が働きにくさを減らす方法

HSP看護師が働きにくさを減らす方法
HSPの人が看護師として働く際には、デメリットをカバーしていかに働きにくさを緩和させるかがポイントです。ここでは、HSP看護師が働きにくさを減らす方法をご紹介しますので、取り入れやすいものから実践してみてください。

①自身の特徴を理解しストレッサーを極力遠ざける

まずはHSPである自分自身の特徴をよく理解しましょう。一口にHSPといっても、人それぞれ微妙に異なる特性をもっています。そのため、自分はどのように物事を考える傾向があり、何に対して敏感に反応しストレスを感じるか振り返ってみるといいですよ。

自分自身のストレッサーが明らかになったら、できる限り遠ざけられないか考えてみましょう。たとえば、気分屋で苦手だと感じる看護師がいる場合、意識して自分と相手の境界線を引くのがおすすめです。

自分と相手は別の人間であり、わかり合えないときもあるのだと認めます。HSPの人でも、意識することで他人の感情に振り回されにくくなりますよ。

②HSPの強みに目を向けて自己肯定感を高める

HSP看護師は自己否定して自己肯定感が下がりがちです。メリットにも目を向けて、自分が看護師として貢献できている部分を認めていくと自己肯定感が高まります。細かな気配りで職場を支えている自分を客観的に認められるといいですね。

③睡眠・休息をしっかり確保しストレス管理をする

他者の言動や外部刺激により、HSP看護師は常にストレスを抱えがちです。溜まってしまったストレスに対しては、睡眠・休息をたっぷり取るのが最善の対策と言えます。

平日はできるだけ残業せず、休日も予定を詰め込み過ぎないような過ごし方をしましょう。また、プライベートでは一人で過ごす時間を意識的に作るのもおすすめです。他者との関りで疲れた心にゆとりをもたらしますよ。

HSP看護師が働きやすい職場とは?

HSP看護師が働きやすい職場とは?
最後にHSP看護師がストレスを感じにくく、働きやすい職場の特徴をご紹介します。いまの職場での働きにくさを感じる方は転職の参考にしてみてください。

①ほどよい距離感の人間関係がキープできる職場

スタッフとのコミュニケーションが多い職場はHSP看護師には不向きです。できる限り一人体制で業務に集中できる職場の方が向いているといえます。

看護師の仕事を完全に一人で行うのは難しいかもしれません。しかし、医療機関の勤務体制によっては、他者と関わる機会が少ない場合もあります。また、一人体制の夜勤を行う施設であれば、スタッフとの関りは最小限に抑えられますよ。

②業務内容や患者さんの変化が小さい職場

目まぐるしく患者さんが入退院し、予定が変更される職場はHSP看護師に不向きです。慢性期・回復期病棟や療養施設といった患者さんの入れ替わりが少なく、ルーティン業務に集中できる職場は落ち着いて仕事ができます。

忙しい職場ほど、スタッフがイライラしてしまうものですよね。他者のストレスに共感しないためにも、変化があまりない職場を選んでみてはいかがでしょうか。

③看護師の資格を活かして病院の外に出てみる

看護師の職場は病院に限りません。クリニックや保育園、企業なども看護師が活躍できる職場です。病院特有の緊張感が苦手なHSP看護師は、病院以外での勤務も選択肢に入れてみてもよいのではないでしょうか。

まとめ

HSP看護師
HSP看護師は繊細な心をもつため、働きにくさや生きにくさを感じることが多いですよね。しかし、HSPのメリットにも目を向けてみることで、自己肯定感を上げながら働く意欲も高めていけるのではないでしょうか。

転職エージェントでは、働きにくさに悩む看護師さんの転職支援を行っています。あなたが仕事に対してストレスを感じるのは、環境があっていないことが原因かもしれません。不適切な環境ではどんな看護師さんでも自分らしく働くのは難しいでしょう。

コーディネーターは転職者との面談を重視しており、時間をかけてニーズを把握していきます。なぜなら、転職を成功させるポイントは転職者と転職先のニーズを一致させることだからです。ぜひ複数の転職エージェントに相談して、あなたのニーズを明らかにしてみてはいかがでしょうか。

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