育休明けの看護師がすぐに退職するのはアリでしょうか?
復帰するつもりで育休を取得しても、状況が変わってしまうことがありますよね。そして、育休明けでの退職が可能か検討する看護師も多いのではないでしょうか。看護師の仕事はただでさえハードなので、育児との両立も大変です。
しかし、復帰を前提としている育休なので、退職できるのか疑問に思いますよね。そもそも、育休明けの退職が可能であるか、退職に伴うデメリットはないか、ほかの選択肢はないかなど、多くの気になる点があります。
そこで今回は、育休明けの退職について、可能であるか、どのようなデメリットがあるのかなどについて説明します。育休明けでの退職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
育休明けてすぐの退職は「可能」
引用:平成30年度雇用均等基本調査(厚生労働省)
もちろん、法律上では可能という話であり、やむを得ない状況でのみ退職を検討しなければなりません。育休中の手当も復帰を望んで支給されるものです。そして、制度を悪用するのはモラル違反であり、ほかのスタッフが育休を取得しにくくなることも考えられます。
育休期間に事情が変わるのはよくあること
家庭の事情は人それぞれ違いますし、出産前と環境が変わっていることもあるかもしれません。家族が増えるとライフスタイルが大きく変わり、予想できなかった苦労が発生するものです。また、保育園に入所できなかったり、職場環境が変わってしまっていたりと、家庭外の要因での退職もあり得ます。
そのため、復帰するつもりであっても困難になった場合に、退職を選択するのは仕方がないことです。
退職の意思はできるだけ早く上司に伝えるのが鉄則
職場では復帰する看護師のために人員や業務を調整して、準備をしているはずです。復帰直前になって、「やっぱり退職します」と言われてしまうと、計画が狂ってしまうかもしれません。また、復帰直前で退職の意思を伝えると、ほかのスタッフの反感を買う原因にもなります。退職する職場とは言っても、他人の反感を買って良いことはありませんし、転職した際に悪い噂を流されるリスクも。
ですので、復帰が困難であり退職の可能性がある場合には、できるだけ早く上司に相談するのがいいでしょう。
ただし、育休明けてすぐに退職するデメリットも十分理解する必要あり
「やっぱり退職しなければよかったかも…」と後悔しないためにも、退職に伴うデメリットをしっかりと理解しておきましょう。
①給与が減る可能性がある
退職して働かなくなると、当然もらえる給与はゼロになってしまいます。退職した後に、転職した場合、育休前と同じようにフルタイムで働けるとは限りません。日勤専従や時短勤務などになると、給与が下がってしまうこともあり得ます。人間関係が形成できている元の職場であれば、ほかのスタッフに協力してもらうことで、育休前と同じ働き方ができるかもしれません。
育児にはそれなりにお金がかかるものであるため、しっかりと計画を立てる必要があるかもしれません。家事・育児の時短のためにお金を使うことで、退職するよりも負担が軽減できることもありますよ。
②転職の選択肢が狭まる
育児との両立と前提とした転職活動では、通常よりも選択肢が狭まってしまう可能背があります。なぜなら、夜勤ができなかったり、子どもの体調不良による急な休みが必要であったりと、転職に不利な条件があるからです。本来であれば、育児と仕事が両立できるような配慮や制度が必要となります。しかし、実際のところはマンパワー不足の病院が多く、必要な配慮や制度が行き渡っていないことが多いようです。
元の職場であれば、異動や休職という選択肢もあります。育休からの復帰に際して、何が不安要素であるか明らかにするといいかもしれません。
③転職しても有給や時短勤務が思うように取得できないかもしれない
育休後に転職した場合、最初の半年は有給休暇が取得できません。そのため、どうしても急な休みが必要となった場合、欠勤となってしまうことがあります。欠勤となるとほかのスタッフに迷惑がかかったり、自身の給与が減ってしまったりと、とても不利な状況になってしまうでしょう。
また、復帰時と状況が変わり、時短勤務を希望した場合、転職したばかりの職場では希望が通らないことが考えられます。
もちろん、元の職場でも必ず希望が通るわけではありません。しかし、人間関係が形成されており、事情を分かってもらいやすい分だけ希望を通してもらいやすいと考えられます。
④新しい環境に慣れるストレス
出産後は仕事に限らず、家庭や保育園などの環境が一新され、想像以上のストレスが生じます。看護師は女性の多い職場であり、同僚に家庭や育児の相談をしている人も多いかもしれません。退職してしまうと、元の職場の人間関係が薄くなってしまい、新しい環境に対する相談相手が減ってしまいます。
さらに、転職も重なってくると、新しい職場にも適応しなければなりません。ただでさえ、育児によってストレスフルな状況にあるので、自分自身のメンタルが対応できるかも意識する必要があります。
⑤保育園の内定への影響
認可保育所への入所が内定していた場合、職場復帰をせずに退職してしまうと、内定が取り消しとなることがあります。自治体によって対応が異なりますので確認が必要ですが、復職に関するルールが設定されていることも。転職した場合も、労働条件が変更となると保育園入所の優先順位が変わってしまう可能性があります。
入所できるはずであった保育園の内定が取り消しとなってしまうと、大幅に計画が狂ってしまいますよね。入所基準をしっかりと把握し、内定や選考への悪影響が無いように意識するといいかもしれません。
⑥退職することによって負担が集中してしまうことも
本来、育児は家族で分担して行うものです。しかし、退職することにより、育児の負担が集中してしまう場合も考えられます。退職して家事中心の役割分担となった場合、どうしても家にいる時間が長い人が育児の負担も担いがちです。家族では役割分担できていたとしても、周囲からは育児の中心人物と見られてしまいます。
加えて、看護師は非医療従事者から見ると、「育児も看護と同じようにできる人」と捉えられる場合があります。実際は育児と看護は別物ですが、頼られて負担が集中することも。
育休からの復帰に関する不安が解消できないか検討してみる
復帰の日が近づいてきて焦る前に、自分自身の不安と向き合い、周囲に相談することからはじめてみましょう。
多い不安は「体力」「育児との両立」「仕事のブランク」
育休からの復帰にはさまざまな不安がつきまとうものです。その中でも、とくに多いのが「体力」「育児との両立」「仕事のブランク」などではないでしょうか。看護師の仕事はハードであるだけでなく、命を扱う責任もつきまといます。仕事と育児を両立するとなると、相応に体力が必要です。
そして、医療現場から長期間離れていると、看護技術やアセスメント能力、さらには職場の人間関係に馴染めるかも不安になるものですよね。
「育休復帰支援プラン」について
育休からの復帰に対する不安を一人で抱える必要はありません。厚生労働省では、育休からの復帰が円滑に行われることを目的とした、「育休復帰支援プラン」を策定しています。引用:育休復帰支援プラン(厚生労働省)
育休支援プランは職場の規模に関係なく使えるものです。育休からの復帰がスムーズに実現できるように、3ステップで取り組むべき項目が示されています。
ステップ1では、「制度の設計・導入・周知」が行われ、管理者と労働者の両者が育児休暇に関わる制度を正しく理解できるよう周知します。
ステップ2は、「企業と管理職の制度対象者に対する支援」であり、実際に育休を取得するためのハードルを乗り越える支援が行われます。
ステップ3では、「職場マネジメント」が行われ、育休取得や復帰前後にどのような管理が必要であるか記載されています。
ポイントは、育休からの復帰に関する不安や悩みは職場と共有するものである、とされている点です。まずは職場の人事部や上司に相談し、復帰に関する不安を共有していきましょう。
自分や家族にとってメリットの多い選択は何か考えてみる
大切なのは、どの選択肢にもメリット・デメリットがあることを理解し、自分や家族にとって良い選択ができることではないでしょうか。
後悔のない選択をするためにも、しっかりと情報収集をしていきましょう。
まとめ
転職を成功させるポイントは効率の良い情報収集です。しかし、育休中は転職に割くための時間や体力がなかなか確保できないものですよね。
転職コーディネーターは医療機関と密に連携を取っており、求人や職場に関する情報収集を行っています。ぜひ、複数の転職コーディネーターに相談して、あなたのニーズにぴったりの働き方を探してみませんか。
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