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多様化する患者からのクレーム、看護師はどう対応したらいいの?

多様化する患者からのクレーム、看護師はどう対応したらいいの?

医療はサービス業的な側面があります。患者と接する機会の多い看護師は患者からのクレームの対象になりやすいでしょう。患者は全人的な苦痛による不安を抱えがちです。不安を抱えた患者は精神的に不安定になりクレームを発しやすくなります。

このような背景より、医療機関で働く看護師はクレーム対応の機会が多く対応を学ぶことが必要です。多様化する患者からのクレームに看護師がいかに対応すべきかを考えていきましょう。

医療機関ではさまざまなクレームが発生する

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私大病院医療安全推進連絡会議共同研究の調査では、医療機関の職員の41.5%が患者からのクレームを経験したことがあると明らかにされました。

出典:私大病院医療安全推進連絡会議共同研究「都内私立大学病院本院の職員が患者・患者家族から受ける院内暴力の実態」

同調査で患者トラブルの発生原因として「説明や確認の不足」「長い待ち時間」「医療者の態度」「患者の意に沿わない医療行為」が挙げられています。接遇やマナーといった対人的なクレームだけでなく、患者の意向や理解度に関するクレームも発生しており多様性が浮き彫りになりました。

多様化するクレームの背景には社会が豊かになったことがあると考えられます。以前は手に入りにくかった医療情報もインターネットによって手軽に手に入るようになりました。SNSを活用すればさらに細かい口コミなども知ることができます。

多くの情報を得た患者がより良い医療を受けたいと考えるのは自然な流れです。しかし、実際に提供される医療は患者の状況や医療機関の特性によってかなり変化しますので、インターネットの情報通りにならないことも。そうしたギャップが多様なクレームを発生させる原因の一つと言えるでしょう。

また、クレームが発生すると患者と看護師の双方にとって不利益が発生します。クレームを受けた看護師は腹が立ったり、落ち込んだりすることがあるでしょう。仕事へのモチベーションが低下し退職へつながりかねません。

クレームを発した患者も気持ちが良いものではありませんし、悪質だと判断されると強制退院や対応の制限がかかる場合があります。

期待があるからこそクレームは生まれる

クレームが発生する背景には医療機関への期待があります。医療機関は社会的な信用があり看護師も同様に信頼を寄せられる職業です。大きな期待は相手を依存させてしまうことがあります。医療機関に依存した患者がその期待を裏切られたと感じたときにクレームへと発展するのです。

クレーム対応は大きなストレスが伴うものですが、看護師の気がつけなかった貴重な情報が隠されています。より良い看護を提供するためのヒントだ、と積極的な考え方をしましょう。良いクレーム対応ができると信頼を深められるかもしれませんよ。

クレーム対応で重要なのは患者の欲求を理解すること

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クレーム対応で重要なのは患者の欲求を理解した上で対応することです。まずは患者の言い分をしっかりと受け止め理解を示しましょう。「話をしっかり聞いてもらえた」と患者が実感できると、落ち着いて対応してもらえる可能性が高まりますよ。

話を伺いながら情報を「事実」と「主観」と「感情」に分けて整理していきます。情報を整理すると患者にどのような欲求があり、どのような感情になっているのか見えてくるでしょう。

たとえば、「職員の挨拶がなく態度も冷たいように感じて悲しい」という訴えでは、「職員の挨拶がなかった」という事実と「態度が冷たい」という主観、「悲しい」という感情に整理できます。

話が整理できたら、すかさず相手の感情に対して誠意を持った謝罪をしましょう。謝罪することは責任を認めることではありません。クレームの内容に関わらず患者が気分を害していますので、まずはその点を謝罪します。

具体的には、「悲しい思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。」「誤解による不安を与えてしまい申し訳ありませんでした。」などです。

クレーム対応の基本プロセス4段階を身につけよう

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感情への謝罪後にクレームの内容に対応していきましょう。クレーム対応は個別性が高く、統一した対応が困難ですが、基本プロセスを押さえることは大切です。ここでは「ナースのためのクレーム対応術」より、クレーム対応の基本プロセス4段階をご紹介します。参考にしてみてください。

関根 健夫「ナースのためのクレーム対応術―苦情を「患者満足」へつなげるポイント」

①受ける

先に触れたとおり、まずは患者の言い分をしっかりと受け止めましょう。あいづちを上手に使い、患者に共感を示しながら話を引き出していきます。患者の訴えが感情的な場合、5W2Hの質問を使うのが有効です。

受けるプロセスにじっくりと時間をかけることで、それ以降の対応がスムーズに行くかが決まります。

②判断する

患者の言い分を分析し欲求に対しどのように対応するか判断します。ここでのポイントはすぐに対応したり説明したりしないことです。患者が何を言っているのか、クレームの真のねらいは何か、どのような説明で納得してもらえるか、先の展開を予測しておきましょう。

③説明する

いよいよ患者へ対応可能な処置、情報提供を説明していきます。すぐに解決できない問題であっても具体的な対策を示しましょう。クレームの内容によっては、なかなか患者の同意を得られない場合もあります。それでも投げ出さずに誠意を持った対応を心がけましょう。

対応を途中で切り上げたり、拒否したりすると二次的なクレームに発展するので注意が必要です。

④満足させる

クレーム対応で患者の欲求がすべて満たされるとは限りません。現実的には患者の言い分を部分的に受け入れるのみの対応となることが多いでしょう。それでも基本プロセスをしっかりと押さえた対応をし、患者に誠意が伝われば精神的満足を与えることができます。

対策や対応だけでなく患者の感情にも注目しましょう。

クレームに強く選ばれる医療機関にする

クレーム対応はその場限りで終わらせるのではなく、組織として活かす姿勢が重要です。インシデント同様にクレームの責任の所在を追求するのではなく、再発防止への対策を立てていきます。責任を取らされると思うと萎縮してしまいますよね。

クレームによって看護師もストレスを感じます。クレームに強い組織づくりをしていくことは患者だけでなく看護師を守ることにも繋がるのです。そして、患者満足度を高めて選ばれる医療機関にしていきましょう。

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