2025年問題対策に注目される潜在看護師復職支援の分析
現在日本では、2025年以降増加していく高齢者人口増加に対応するため、看護師の増員を求めています。しかし、未だ看護師人材不足は解決されていないのです。
そこで2025年対策のために注目されるようになったのが潜在看護師で、厚生労働省はすでに潜在看護師への復職支援の強化と対策を開始しています。
しかし潜在看護師への支援強化は、看護師人材確保の解決策となるのでしょうか。潜在看護師の実態と、復職支援や対策についてお伝えしていきます。
医療看護業界における2025年問題とは
出典:厚生労働省HPより
2025年には3人にひとりが65歳となり、5人にひとりは75歳になります。しかも高齢者の人口数は、今後ますます増加していき2025年を境に高齢者の数が一気に増え医療や介護のニーズが高まりから看護師が必要となる場面が増えると予測されています。
医療現場での受け入れには限界があり、高齢者の介護は医療現場から地域へと移行させていく中で、看護師の職場は病院・老健施設・訪問看護などあらゆる場面で役割を担うことになります。そのため、急速な看護師の増員が望まれているのです。
ただ看護師不足は今に始まった課題ではなく、医療の発展と共に現場で働く看護師達は疲弊している状態です。
新人看護師の入職率が増加傾向にあるとはいえ、中堅クラスとなる20代後半から30代の看護師の離職者は多く、ひとつの職場に対する定着率は決して高くありません。
しかし2025年以降必要となる看護師の数は約200万人と推定されており、最大で30万人の看護師不足が予測され、今から看護学校の増設で看護師資格者を増やしたとしても対応は間に合いません。
そこで2025年問題の起爆剤として注目されたのが、潜在看護師というわけです。
潜在看護師の詳細と推定人数
この潜在看護師が医療業界に復職すれば、看護師の人材不足の解消につながると厚生労働省は考えています。
看護師等人材確保促進法の発足
そこで新たに「看護師等免除保持者の届け出制度」を打ち出し、看護師等が離職した際には都道府県のナースセンターに届け出することを義務付けたのです。
潜在看護師離職理由と復職支援
看護師不規則な勤務体制や残業がネックとなり、子育てと仕事の両立が難しく家庭を優先するため離職を選択するケースは少なくありません。
また子育てが落ち着き復職を考えたとしても、看護職のブランクからによる不安や、勤務条件に合う職場が見つかりにくい状況があります。
そこで復職支援としてナースセンターが行っているのが、潜在看護師が復帰に向けた不安の軽減やより条件に違い求人の提案や相談です。
看護職のブランクの不安に対して、最新医療についての講習や医療器具を用いた実技演習、また再就職に向けた相談や職場紹介および潜在看護師同士が集う交流会などを、無料で開催し再就職を後押しする役割を担っています。
ただこのシステムは、ナースセンターが発足された当時から実施されていることであり、新たに発足されたわけではありません。
法改正に伴い看護師等免許保持者の届け出を義務付け、今まで把握しきれていなかった潜在看護師とのネットワークがつながりをもち、就職していない潜在看護師に向け定期的に求人情報が発信されてくるシステムに変更されたということです。
潜在看護師の復職理想と現実
主に推奨される復帰先は、介護施設や老健またクリニックや病床数が少ない病院など病状の急変や医療行為自体が少ない職場ですので、今までのキャリアを活かしきれない高齢者を対象とした施設や職場の斡旋に違和感を覚えがちです。
しかし復職先を無理に斡旋されるわけではなく、あくまで求人情報の提供であり、自身が求人を検索するシステムになっていますので、ハローワークの求人システムと大差はありません。
看護師等免許保持者の届け出制度のデメリット
看護師という国家資格を取得しているがゆえに必要とされる存在であったとしても、看護師として働くことを念頭に置いていない潜在看護師にとっては、いつまでも看護師というしがらみから逃れることができず重荷となってしまう制度と言えるのかもしれません。
さいごに
しかし、復職場所である職場環境の改善には至っていないのが現状です。過度の労働条件や、人間関係の複雑化など潜在看護師を選択するしかなかった原因の改善には、程遠いと思わざるをえません。
看護職にブランクをもつ看護師の職場復帰の成功率は、受け入れ側となる職場の環境によって大きく変化し、仕事と家庭の両立をこなしている看護師と家庭を優先したい看護師との考えは相違せずに人間関係の悪化を招きます。
潜在看護師の復職斡旋だけに注目するだけではなく、現在仕事と家庭を両立させている看護師の離職を防ぐことが、看護師の人材不足の解消につながるように思えてなりません。
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