【今さら聞けない】「常勤看護師」と「非常勤看護師」の違いとは?
「常勤看護師」と「非常勤看護師」の違いをしっかりと理解して働いている方は意外と少ないかもしれません。多くの職場では、常勤と非常勤の看護師が一緒に勤務しています。しかし、一見すると同じように働いており、両者の違いを知る機会は少ないです。
常勤と非常勤の違いをしっかりと理解することで、ワークライフバランスの向上やキャリアアップ・スキルアップに役立てますよ。
今回は「常勤看護師」と「非常勤看護師」の違いについて説明します。あなたにとって、どの勤務形態を選ぶのがいいか、参考にしてみてください。
勤務時間・待遇の違い
勤務時間
一般的に「常勤」は1日8時間、週5日勤務する、いわゆるフルタイム勤務を指します。それに対し、「非常勤」はフルタイム勤務に満たない時間、たとえば1日5時間、週3日などの働き方です。ただし、勤務時間での分け方はあくまで一般的なもので、法律で明確に区別されているわけではありません。そのため、フルタイム勤務に相当する勤務時間でありながら、非常勤扱いの職場もあります。
「フルタイム勤務だから常勤だと思い込んでいたのに非常勤だった…」といったトラブルは珍しくありません。巻き込まれないように注意しましょう。
待遇
待遇とは、職員としての扱われ方や業務内容を指します。非常勤看護師は基本的に昇格がなく、スキルアップのための研修などの機会も少ないです。その代わり、業務に対する責任の割合は軽く、残業もほとんどありません。人員の穴埋め要因として雇用される場合が多く、常勤よりも就職が容易です。
一方で常勤看護師は、通常業務に加えて委員会や病棟係などもあるため、残業が多くなりがちです。業務の責任も重くなりがちですが、しっかり働いた分は評価され、キャリアアップ・スキルアップの機会が多くなります。
給与・福利厚生の違い
生活していく上で、どうしてもお金は欠かせません。後悔しないようにしっかりと理解しておきましょう。
給与
常勤は「固定給」で、非常勤は「時給」で給与が支給されるのが一般的です。ボーナスや各種手当、退職金といった面では、常勤の方が優遇されます。非常勤でもボーナスや各種手当、退職金が無いわけではありませんが、常勤と比べると微々たるものです。また、賃金構造基本統計調査によると、非常勤看護師の平均時給は「1,825円」とされています。
出典:令和2年賃金構造基本統計調査(e-Stat)
一見すると高時給のように思えます。しかし、非常勤は職場の社会保険に加入できないことがあります。その場合は、自分で社会保険に加入しなければならず、金銭面で不利になってしまうことも。
福利厚生
福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」があります。法定福利厚生は、一般的には社会保険と呼ばれるもので、常勤はもちろん、一定条件を満たした非常勤も受けることが可能です。しかし、住宅手当や通勤手当といった、法定外福利厚生を受けられるかどうかは職場次第です。つまり、場合によっては、法定外福利厚生は常勤のみということもあり得ます。
福利厚生の有無は、入職前にしっかりと確認しておくべきポイントのひとつといえます。
常勤看護師のメリット
給与や福利厚生の面が安心
常勤看護師は給与や福利厚生といった、金銭面の保障が手厚く、安心感があります。職場によっては、常勤のみが利用できる社宅がある場合があり、活用することで生活コストを大きく下げることが可能です。お金のためだけに働いているわけではなくても、お金はQOLに直結する要素なので重視する看護師も少なくありません。「多少忙しくても、お金の心配が少ない方がいい!」という方には、常勤がおすすめです。
キャリアアップ・スキルアップの面でも有利
キャリアアップ・スキルアップを重視して働きたい方は常勤の方が有利です。指導者や専門家、管理職となるには、現場での知識や経験が欠かせません。「非常勤でも自分で勉強すれば知識は補えるのでは?」と思う方もいるかもしれません。たしかに、スキルアップに関しては、非常勤でも自分で勉強して補える部分があります。しかし、現場で経験しながら学ぶ方が効率的です。
また、キャリアアップには看護師としての知識や技術だけでなく、職場への貢献も必要です。常勤看護師は患者さんへの看護だけでなく、委員会や後輩指導などの面でも職場貢献ができます。そのため、常勤看護師はキャリアアップの面でも有利です。
常勤看護師のデメリット
委員会や研修、病棟係による残業で勤務時間が超過しがち
委員会や院内研修、病棟係は基本的に常勤看護師のみで運営されます。通常業務に加えて、自分に割り振られた役割を果たさなければならないため、どうしても残業が発生しがちです。場合によっては、自宅に仕事を持ち帰って、資料作成などをしなければならないこともあります。
職場での経験年数が長くなるにつれて、業務量や責任も増えていきます。そのため、仕事に慣れた分だけ、負担も増えていくのがさらに辛いポイントです。
業務の責任や負担が重くなりがち
非常勤で働く看護師は、残業できないことが多いです。その場合には、責任や負担が大きい仕事は常勤看護師が行うことになります。もちろん、職場の状況によって常勤も非常勤も同様の責任や負担の場合もありますが、ある程度の偏りは受け入れなければなりません。急変や緊急入院といった患者対応、後輩指導も常勤看護師が担当する場合が多いです。「自分の経験にもなる!」と、前向きに捉えられる人であれば問題ないかもしれません。しかし、そうでない人にとっては不公平感があるでしょう。
非常勤看護師のメリット
勤務時間や業務責任・負担が限定的なので家庭と両立しやすい
非常勤は勤務時間の融通がしやすく、家庭とのバランスが取りやすいです。家庭の事情で、決まった曜日や時間にしか勤務できない人でも職に就けます。そして、家庭とのバランスを考えた際に、勤務時間だけでなく業務責任・負担も考慮しなければなりません。時間の都合がついたとしても、ハードすぎる業務で家庭との両立ができなければ、仕事を続けられないですよね。
一般的に非常勤看護師の場合、委員会や研修といった患者対応以外の業務は担当しません。時間内に勤務が終わるように、優先的に調整されますので残業も発生しない、あるいは少ない傾向にあります。
条件によっては有給休暇や産休・育休の取得が可能
非常勤として勤務していると、有給休暇が取得できないと誤解している方は多いかもしれません。実は、非常勤として勤務していても、一定条件を満たすことで有給休暇は取得できます。そして、産休・育休は勤務形態に関わらず、取得できると法律で定められています。しかし、実態としては法律で定められていることが浸透しておらず、取得していない方も多いです。
労働者を守る法律を知り、正しく活用することで、非常勤のメリットをより多く受けられますよ。
非常勤看護師のデメリット
時給で働くため、休むと給与が減る
非常勤の看護師は、基本的に時給や日給で勤務します。そのため、諸事情により勤務を休んでしまった場合、補償がなく給与が減ってしまいことを知っておかなければなりません。また、社会保険に加入できない場合、配偶者の扶養にも入っていなければ保険料を給与から支払う必要があります。見た目の時給が高くても、実際に手元に使えるお金として残る額が少ない場合もありますので、注意しましょう。
キャリアップ・スキルアップの面では不利
非常勤の場合、看護師としてのスキルアップ・キャリアアップの面では、かなり不利であるのが現実です。勤務する時間が少ない分、知識や経験の面が常勤看護師よりも不足してしまう上、職場で重要なポジションに就くのも難しいでしょう。とくに20代の経験の浅い看護師が非常勤で働く場合には、30代・40代のキャリアを見据えて考える必要があります。
夜勤専従看護師は常勤?それとも非常勤?
基本的には出勤日数によって、常勤か非常勤かに分かれます。夜勤専従の常勤として勤務していると、体力面での負担が大きい代わりに、委員会などの一部の業務が免除される場合があります。
勤務形態に関わらず、夜勤手当がつく点も見逃せません。非常勤の限られた出勤数であっても、夜勤手当をもらうことでしっかりと稼ぐことも可能です。
まとめ
仕事も家庭も全力で取り組むことができればいいかもしれませんが、無理をしすぎると両方ともうまくいかなくなってしまいます。
まずは複数の転職コーディネーターにご相談ください。ぜひこの機会に、無理なく続けられる働き方を見つけてみませんか。
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