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看護師を悩ませる高齢者看護のポイントと注意点

看護師を悩ませる高齢者看護のポイントと注意点

わが国では、高齢者社会に突入し介護施設に限らず入院病棟でも高齢の患者さんは増加傾向にあります。現状を理解しているとはいえ、介護化した現場にうんざりしている看護師も多いのではないでしょうか。

しかし数年後に待ち受ける超高齢化社会に突入すれば、高齢患者さんの数はさらに上昇します。高齢者の患者さんの対応は難しくどう接していいのかわからないと悩みを抱きがちです。

ここでは看護師が高齢患者さんに対応する時、気を付けておくべきポイントそして看護の注意点についてまとめていきたいと思います。

1. 高齢患者さんの特徴について

高齢患者さんの特徴について
平均寿命が延びている現在、高齢者といえ年齢層に幅があります。

・65歳~74歳 前期高齢者
・75歳以上 後期高齢者

と区分されていますが、75歳以上の後期高齢者の上限は100歳近い年齢の高齢者も含まれます。前期高齢者であれば、数年前までは社会で仕事をしていた年齢でもありいまだ現役で仕事を続けている人もいるでしょう。ただ年齢に限らず高齢者には共通点がありますので、その特徴をみていきます。

(1) 体力は衰えてきていることに自覚がない

年齢と共に体力が低下して認知症状にも衰えがではじめたとしても、高齢患者さんは自覚がありません。「自分はまだできる」という意識があり、転倒リスクが高くなります。

(2) 他人から介助を受けることに抵抗がある

高齢患者さんが過ごしてきた時代背景は、男性も女性も働くことが当たり前でした。男性は社会人としてそして女性も家庭を守りながら激動の時代を乗り越えてきた経験をしています。時代が変わったとはいえ、子供や孫のような年代の看護師から介助を受けることには抵抗感がある人が多いです。

(3) 思ったことをストレートに言葉にする

すべての高齢患者さんに当てはまるわけではありませんが、脳機能の低下により思ったことをストレートに言葉にする傾向があります。それが時には看護師を傷つけ罵倒する言葉になるケースも少なくありません。

(4) 気分変動がある

認知力の低下に限らず急に怒りをあらわにすることや、人が変わったかのようなる場合があります。その原因は病状の変化だけでなく、看護師の対応によるものです。

(5) プライドをもっている

年代や病状に限らずプライドをもっていますので、意にそぐわない要求や対応には納得されない頑なさがみられます。

2. 高齢患者さんの対応ポイント

高齢患者さんの対応ポイント
これら高齢患者さんの特徴から、看護師としてどう対応していけば対応NGな例を合わせてみていきたいと思います。

(1) 高齢患者さんへの言葉使いや名称に注意

認知症を患い意思疎通が乏しくいと、まるで幼少期に戻ったようになり看護師が愛着を感じることもあります。たとえ認知症状が進んだとはいえ、看護師が「○○ちゃん」や「おばあちゃん」「おじいちゃん」と呼ぶのは好ましくありませんので、患者さんの苗字で名前を呼ぶ必要があります。

また行動が読めず、危険行為が見られるとつい口調が荒くなってしまう場面もでてきます。
「何してるの!」「だめでしょう!」とつい言葉にでてしまうこともあります。しかし、周囲の患者さんの目や家族がいることを意識しておきたいですね。患者さんによって言動や態度を変える看護師は、信用されません。

(2) 高齢者の意思決尊重を否定しない

認知症状や思考能力の低下により高齢者自身が意思決定できる能力も低下していき、間違った判断をしてしまうことも少なくありません。重要事項の決定権は家族や医師の相談のもとで判断されることもありますが、病棟内での決定権は看護師がもつことが多くなります。

・トイレに行って排泄したい
・自分好みの服を着たい
・自由に歩きたい
・好みにあった食事をしたい
・入浴はゆっくり時間をかけたい

など、看護の現場で見られる意思表示です。

しかし時間単位の業務に追われ、高齢患者さんの希望通りに対応するにも限界がでてきます。とはいえすべて看護ペースで行うのではなく、高齢患者さんの意思尊重を踏まえたケアプランを考えるのが理想です。今後は高齢者の倫理的判断は、高齢患者さん本人の意思尊重にどこまで対応できるかが課題になってきます。

参考文献:日本看護協会 意思決定支援と倫理(2)高齢者の意思決定支援

3. 高齢患者さんの症状把握

高齢患者さんの症状把握
高齢患者さんは、急な症状変化のリスクが非常に高いです。どこか異常があったとしても非常に我慢強い患者さんも多く、また認知症により感覚が鈍麻になっている可能性もあります。

・脱水
・骨折
・意識障害
・誤嚥

など数時間前には異常がなかったとしても、急変するリスクが高くなります。水分不足による脱水・度重なる転倒による骨折や意識障害・食事をのどに詰まらせる誤嚥などいつ状態変化するかわかりませんので、患者さんの訴えだけを基準とせず全身状態の観察や異変の早期発見をする看護の視点が重要です。

看護師間での情報伝達を密に行い、どんな小さな変化であってもスタッフ間で共有しておきたいですね。また状態変化が起きた場合、家族からクレームを受けるケースも少なくありませんので、家族とはこまめに連絡を取り合うことでトラブルは防げます。入院させていれば安心、と考えている家族も少なくありません。

さいごに

高齢者の患者さんで埋め尽くされた入院病棟の看護師は、疲弊している状態です。理解力の低い患者さんは目が離せないことも多く数倍の時間と体力が奪われますので忙しさのあまり看護師の余裕がなくなるのも無理はありません。

ただ高齢患者さんはプライドが高く頑固な部分がありますので、看護師の対応によっては不満をぶつけてくることや時には不穏状態を招いてしまう原因にもなります。また家族からのクレームも多く、看護師の対応に家族が不満を抱けば、それは時に社会問題にまで発展する可能性があることを知っておきたいですね。

高齢患者さんの看護は、医師・ソーシャルワーカー・作業療法士など他職種とも連携をとりながら患者さんのケアプランを立てていきます。この先の超高齢化社会にそなえ、入院の長期化を防ぎ地域看護を目指すためにもADLの低下を防ぐことが看護師の役割になってくるのではないでしょうか。

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