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看護師の給料はなぜ安い?看護師の給与があがらない衝撃の理由を解説

看護師の給料はなぜ安い?看護師の給与があがらない衝撃の理由を解説

看護職は給料が高く、安定した職業というイメージが根強いです。しかし現実は「夜勤手当がなければ、看護師の給料は安く、仕事内容と対価は見合っていない」というのが、看護師さんの本音ではないでしょうか。

毎年の昇給額はわずか。退職金だけでは、定年後が不安です。体力・精神ともに負担が大きく、誰でもできる仕事ではないのに、なぜ仕事内容に見合った対価が支払われないのでしょうか。ここでは、看護師給与の裏側について、お伝えしていきます。

診療報酬で左右される医療機関の収益

診療報酬で左右される医療機関の収益
医療機関の収益は、患者さんが病院や利用する診療報酬で成り立っています。とはいえ、患者さんが病院や診療所に来院しなければ診療報酬が入りません。できるだけ多くの収益を得るためには、入院患者数・ベッド可動率・外来患者数を増やし、処置・検査・手術・薬剤の使用が必要です。

現代は、患者さんが病院を選ぶ時代です。ひとりでも多くの患者さんに来院してもらうためには、医療機関の特色をアピールしなければいけません。そのためには、最新医療機器・検査・技量のある医師の雇用が必要だと考えられています。

※診療報酬とは、医療機関が保険医療サービスに対する対価として、保険者から受け取る報酬のことです。

引用:なるほど診療報酬!(日本医師会)

医療機関の経営側の視点でみると、看護師の雇用は、診療報酬に直接的な影響はないと判断されています。これは、看護職に限ったわけではありません。医者を除く、すべての職種を含みます。

診療報酬から算出される人件費

診療報酬から得た収益は、人件費・医薬品管理や調剤費・医療機器や機材の購入やリース代・設備管理費(光熱費や病棟病室環境整備費、事務所維持費)などに、割り振られています。

ここでいう人件費とは、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・ワーカー・医療事務・栄養士・薬剤師など、病院や施設で働くすべての職員に支払う給与のことです。

この人件費は、各職種に振り分けた予算が立てられています。つまり看護師を雇用は、予算中で、退職者と新規入職の人数を調整されているのですね。

ひとつ、例をあげてみますね。

経験年数30年で月収40万円の看護師が退職し、看護師の枠がひとつ空いたと仮定してみましょう。そして退職者代わりに雇用されたのは、新人看護師2人でした。

(月収20万円の新人看護師)+(月収20万円の新人看護師)=月収40万円の看護師

ベテラン層が抜けた病棟にすれば、同じベテラン層の新規職員を雇用して欲しいところです。ところが、新規職員として雇用されたのは、新人看護師2人でした。1人辺りの月収は、20万円なので、2人合わせて40万円。つまり1人の看護師に支払っていた月収で、2人の新人看護師を雇用しています。

医療機関が安定した運営をするためには、コストの削減が求められるのでしょうか。人件費に関しても、病棟事情や仕事内容は反映されていません。経営がと医療現場の認識のすれちがいが、もどかしいところですね。

医療機関の収益を支える医師の技量

次に、診療報酬を左右する医者の存在をみていきます。医療機関に患者さんを呼び込むためには、技量のいい医者の存在は不可欠です。評判のいい医者がいれば、患者さんは全国から訪れますし、クリニックは、地域の住民の信頼が必要ですよね。訪問看護ステーションの新規利用者は、かかりつけ医や入院先の担当医からの紹介がメインです。

医療=医者というイメージが根付いていることもあり、経営側が医師への報酬を手厚くなるのが自然な流れなのかもしれません。

看護師の給与が安い理由

医者の存在が、医療機関の収益には不可欠とお伝えしました。とはいえ、看護師の存在がなければ、医療現場は成り立ちません。医者が、患者さんの保清をするでしょうか。医者が患者さんの排泄介助ができるでしょうか。看護職の存在がなければ、診療報酬の減額につながる可能性もありますよね。

しかし「看護師の人数確保ができれば問題はないのだから、給与が安く雇用できる若い看護師の方がいい」と考えている医療機関は存在します。

極端な例をあげれば「あの病院の先生の腕はいいから、診察に行こう」という患者さんはいます。でも「あの病院にはいい看護師さんがいるから、診察に行こう」という患者さんは少ないといった解釈です。

雇用される立場上、腑に落ちない状況に耐えるしかないのでしょうか。ここからは、看護師の平均月収分析と年収をあげる対策案について、お伝えします。

看護師の月平均給与額および平均総支給金額

看護師の月平均給与額および平均総支給金額
新人看護師の初任給は、医療機関の種類・病床数・保有資格・学歴(専門学校および看護大学卒)・都心か地方によって、異なります。そして1年経過するごとに、昇給していくのが一般的です。転職した場合には、ベースの基本給に、経験年数が加算されていきます。

経験年数別看護師の平均給与額

新人看護師の初任給と経験年数が10年では、どれくらい給与に差があるのでしょうか。日本看護協会の調査による看護師の平均給与と、税込み平均給与総額をみていきます。
経験年数別看護師の平均給与額
税込み給与総額には夜勤手当(2交代で4回)や各手当(通勤・扶養・住宅)も含む。

引用:2019年 病院看護実態調査(日本看護協会)

こちらの表にある平均基本給与額には、夜勤手当や通勤手当などは含まれていません。つまり、ベースとなる月収です。そして右側が、夜勤を4回と各手当を含む平均月収になります。

賞与を合わせると、平均年収は400万円を超える看護師さんも少なくありません。数字だけみれば、決して安いとはいえない金額です。とはいえ平均月収なので、ここから税金が差し引かれます。となると、決して高いとはいえない金額になりますね。

そしてもうひとつ、経験年数10年の平均給与と新卒看護師との金額に注目してみます。1年に1回基本給は昇給しているはずなのに、初任給から10年後も、金額の差はほとんどありません。

この表をみる限り、毎年の昇給額の低さが伺えますね。看護職は、経験年数と給与は比例しません。経験年数が長くなれば任される責務も大きくなる反面、給与に反映されないのも看護職の特徴です。

看護師の給与が低いと感じる理由

看護師の給与が低いと感じる理由
世間が思う看護職のイメージが、実際の医療現場とかけ離れている理由はどこにあるのでしょうか。看護師さんは、なぜ対価に見合った報酬ではないと考えるのでしょうか。その要因となる例をあげてみます。

1. 拘束時間は長く仕事がハードな夜勤
2. 危険手当がつかない
3. 残業代を請求しにくい
4. 休日や勤務外の勉強会が多い
5. 責任が重い

拘束時間の長い夜勤・感染リスクの高さ・残業代を申告しにくい雰囲気・休日や勤務時間外の勉強会・医療ミスがゆるされない責任の重さを考えると、毎月もらう給与明細をみるたび「こんなに頑張っているのに」とため息をつきたくなるのも、ムリはないのかもしれませんね。

拘束時間は長く仕事がハードな夜勤

2交代夜勤の場合、勤務時間は17時間を越えます。定刻通りに出勤していたのでは、夜勤業務が回らないと、早めに出勤するスタッフも少なくありません。また夜勤業務終了後も、残業が必要な日もあります。

仮眠時間は決められているものの、患者さんの状態によっては仮眠時間が取れない日も少なくありません。限られた人数で業務をこなすため、精神的負担も大きくなりますね。なにより体内リズムが崩れますので、体のだるさや頭痛も悩みのひとつではないでしょうか。

看護職には危険手当がつかない

医療機関の業務は、感染リスクが高くなります。排泄物や吐物を処理する機会も多く、感染症をもっている患者さんに対応する機会も少なくありません。意図的ではないにしても、患者さんから暴言や暴力を受けるリスクも高い現場で働いているにもかかわらず、危険手当を支給している職場は、ほとんどない状況です。

業務中の事故や休暇が必要な疾患を発症した場合などは、労災の適応になります。しかし、医療現場で労災が認められるケースはまれです。なぜ看護師には危険手当が支給されないのか、疑問をいだきますね。

残業代を請求しにくい

医療現場では、残業を余儀なくされるケースが少なくありません。サービス残業は違法になるため、残業代の請求は労働者の権利です。名目上は「残業が発生した場合には、上司に申告するように」と告知されていますね。

ところが、残業を証明するには看護師長への報告が必要になります。専用の用紙に残業時間を記入し、上司の印鑑をもらう。という形式をとっている職場も多いのではないでしょうか。
またできるだけ残業せずに、次の勤務者に業務を引きつぐようにと伝達されている職場もあります。

現場の看護師さんにしてみれば、限られた人数で予測不可能な事態が起きる現状の中、定刻通りに業務を終わらせるのは不可能ですよね。それなのに、上司に申告して印鑑をもらう作業のわずらわしさから「残業代の申告はやめておこう」と考える人も少なくありません。

「出勤のたびに残業しているのに申告しにくい」この状況が打開してもらいたいですね。

休日や時間外の勉強会が多い

医療業界では、頻繁に勉強会が開催されます。自主的に参加を決める人は苦にならないかもしれません。でも休日や仕事終わりで勉強会の参加をすすめられるのは、苦痛ですね。とくに新人や経験の浅い看護師さんは、勉強会の参加にストレスを感じているのではないでしょうか。

勉強会への参加は、強制ではありません。とはいえ、参加しなければいけない雰囲気の中、断る勇気がもてず、やむなく参加している人も少なくないはずです。ここは申告なしでも、時間外手当の支給をして欲しいところですね。

仕事の責任が重い

看護業務には、一歩間違えば患者さんの生命に関わる業務はたくさんあります。看護職を離職する理由のひとつに責任感の重さもあるほど、精神的な重圧は大きいです。帰宅後も「何かミスをしていなかっただろうか」と不安になった経験はありませんか?24時間つきまとう重圧は、精神的な苦痛を感じますね。

看護師の年収をあげる対策案

看護師の年収をあげる対策案
いまの職場で「業務内容と対価が見合っていない」と感じていても、現状のままでは給料があがる見込みは期待できず、ストレスがたまりますね。そこで、個々にプラスαの強みをつけてみるのはいかがでしょうか。

資格を取得する

正看護師の資格を取得しているのであれば、助産師や保健師または専門看護師や認定看護師を目指すのもひとつです。資格を取得すれば転職にも有利になり、求人の幅も広がります。なによりこれからは、スペシャリストナースが求められる時代です。より専門性の高い看護師を目指すのは、いかがでしょうか。

准看護師さんは、正看護師の資格取得を目指すのもひとつです。正看護師の資格を取得すれば、時給や基本給のアップも見込めます。

管理職を目指す

給与をあげるには、管理職を目指す方法もあります。経験年数が10年以上で、主任に抜擢される可能性もありますよね。現代は役職の平均年齢は下がり、30代の主任や師長も珍しくありません。役職になるには研修を受ける必要もありますので、意思を上司に伝えおきたいですね。

訪問看護への転職

訪問看護は、病院やクリニックに比べて給与が高い傾向にあります。毎月継続した収益が得られるストック型ビジネスとされる訪問看護は、提供するサービスの点数は高く、病院やクリニックのように医療器材に資金は不要です。しかもステーションと人材の確保ができれば、訪問看護事業を運営できます。

当然利用者の確保は必須になるものの、運営が安定している訪問看護ステーションなら、夜勤をしなくても現状以上の給与が見込める可能性はあります。訪問看護は、高齢化社会に向けて需要が増えると予測される事業です。「訪問看護」と検索すると情報がたくさんでてきますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

給与が高い職場を選ぶ

看護師が働く職場には、給与が高い求人もあります。ただし、給与が高い理由は必ずありますので、知らずに就職してしまうと継続できないことになりかねません。職場の状況を把握したうえで、折り合いをつけておきたいところです。

給与が高い理由をふたつあげてみます。

1. 看護師の定着率が悪い
2. 病院の立地場所の治安

■1.看護師の定着率が悪い
看護師の定着率が悪い病院は、給与が高い傾向にあります。人間関係が悪い・休暇が少ない・仕事がハード・無料残業は当たり前・介護度が高い患者など、必ず理由があると思った方が無難です。

病院側も看護師の数が足りなければ困りますので、求職者の目を引くために高い給与額を提示します。ただ入職後に条件変更されるケースも少なくありませんので、注意が必要です。

気になる求人があれば、外来訪問がオススメです。外来患者数が多ければ、病院経営は安定していると判断できます。しかし外来患者数の少ない病院は、経営状態に不安定な可能性が高いです。診療報酬は少ないのに看護師には高い給与を支払うのなら、よどの理由があると考えた方がいいですね。

■2.病院の立地場所の治安が悪い
病院の立地場所は、都市の中心部とは限りません。治安が悪い地区では、アルコール中毒者や薬物依存症など患者層が独特です。

そのため看護師の定着率が悪く、給与を高く設定することで人材の確保をしています。地方から上京後、治安を知らずに就職してしまうケースもあるので注意しておきたいですね。

まとめ

看護師の給料はなぜ安いのか。看護師の給与が上がらない理由について、医療機関の収益システムや平均年収をあげる対策案について、お伝えしました。入院を経験した人は「看護師さんの仕事はほんとうに大変だ」「入院中はほんとうにお世話になり、感謝している」と声をあげます。

しかし医療機関の運営には直接影響力がないと判断され、対価に見合わない処遇に、納得できない看護師さんも少なくありません。雇用される側の弱みだといってしまえば、それまでです。

これから迎える超高齢化社会に向けて、看護師さんの存在なくして日本の医療は成り立ちません。将来を見据えて、看護職プラスαの資格を身に付いて、活躍の場を広げてみるのはいかがでしょうか。

看護師が不満をいだくのは、給料だけが理由でしょうか。「職場の居心地がよく働きやすい」と思える職場は、いい人材が集まりやすく看護師の定着率も高くなります。どこの職場でも、看護職はハードなので、せめて「居心地のいい職場」で働きたいですよね。

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