精神科の仕事ってなにするの?看護師に求められる役割とは
精神科病院と聞けば、どのようなイメージがあるでしょうか。閉鎖的・社会との遮断などマイナスなイメージがつきやすい精神科ですが、精神的健康に援助が必要となる難しい反面やりがいを感じる看護師も増えています。
一般科よりも精神科の方が心のケアや患者さんとの関わりがメインなので、看護師に求められる役割にも違いがあります。精神科看護の業務と役割とは?ついて、お伝えしていきます。
1. 精神科病院での業務内容
(1) バイタル測定
(2) 内服管理
(3) レクリエーション
(4) 社会復帰に向けた援助
(5) 作業療法
などが主体です。
(1) バイタルサイン測定
看護業務は点滴や注射また採血などの業務もありますが、一般病院のような日々の処置はほとんどありません。「ただバイタルを測定するだけか」と思うかもしれませんが、バイタル測定で病室を訪室するところから、患者さんとの関わりをもち精神症状の変化を観察していきます。(2) 内服管理
精神科の治療には、内服は必要不可欠です。しかし精神科薬の微調整は難しく副作用がみられるため、できれば服用したくないと思っている患者さんも少なくありません。また新規入院の患者さんほど精神症状の自覚がもてず内服拒否が強い傾向にありますので、看護師の粘りと説得が必要になってきます。(3) レクリエーションの企画実行
精神科では、特に慢性患者さんに対してレクリエーションが積極的に行われています。これはただ楽しむだけではなく、季節感を意識することや他者と楽しむ時間の共有を目的です。レクリエーションでは準備段階から患者さんに関わってもらうことで、患者さんが役割意識をもつメリットもあります。(4) 社会復帰に向けた援助
精神科は、生涯病院内で過ごすのが当たり前の時代もありました。しかし現在は入院生活が長期になっている患者さんでも、社会復帰を目指すことが必要になっています。ただ入院生活が長くなればなるほど社会との遮断期間はながく、社会のルールを知らない患者さんも多いです。そのため看護師は、社会で生きていくために必要なお金の管理から衣食住に関わる知識を身に付け、単身生活・グループホーム・高齢者施設入所など、患者さんに合わせたゴールに向けて支援を行っていきます。
(5) 作業療法
刺激が少なく閉鎖的空間になりがちな精神科病棟では、患者さんは部屋で臥床している時間が長くなります。個々に合わせた作業をすることで楽しみながら作業を行い、離床を促すと共に生活リズムを整えていきます。精神科看護では、ソーシャルワーカーや作業療法師など他職種との連携が不可欠です、個人に合わせたプランに沿って、患者さんの社会復帰援助が看護師の役割です。
2. 精神科看護師に必要なスキル
・コミュニケーション能力
・観察力
・持久力
・状況判断力
・薬剤知識
などがあげられます。
精神科患者さんとのコミュニケーションは、決して簡単ではありません。まず信頼を得るためには相手との距離感をはかる必要があり、むやみに近づきすぎれば拒絶されて以後看護介入ができなくなります。
患者さんによって急性期・慢性期と症状が違いますので、対応の仕方を変える必要があり精神科看護に慣れていない看護師は悩むことが多いです。また患者さん自ら訴えをしてくることも少なく、簡単に看護師を受け入れてくれるわけではありません。持久戦になることもありますので、精神科看護師には「待つ」という持久力が必要になります。
次いで観察力ですが、患者さんの小さな変化に気が付く観察力が必要です。精神症状の悪化は患者さんの言葉や態度などに変化がみられますので、いかに早期発見できるかにより症状の再燃を防ぐことが必要になります。この観察力を鍛えるためには、日々患者さんとかかわりをもつことが必要です。
状況判断力とは、患者さんの精神状態を見極めることです。不穏状態や同じ訴えを繰り返す患者さんに対して、今必要となる援助は何かを見極める必要があります。例えば患者さんの不穏状態が悪化する傾向にあるのか・話を傾聴することで落ち着くことができるのか・他の看護師の応援が必要な状態か・医師を呼ぶ必要があるのかを見極めながら判断を下すことで、看護師自身の危険回避にもつながります。
そして最後は、薬剤知識です。精神科の薬剤は微調整が難しく、副作用がでることが多いです。看護師は患者さんが服用している薬剤知識をもつことで、内服管理の重要性を指導する必要もありますし、患者さん自身の苦痛を理解することにもなります。
また医師は患者さんの状態を看護師からの情報で判断することも多いため、患者さんの状態を正確に把握するためにも、薬剤知識があることが望ましいです。ただむやみに薬を飲むことを進める看護師は、患者さんからの信用を得ることは難しくなりますので注意が必要になります。
さいごに
また精神科患者さんは怖いというイメージが根強くあり、好んで精神科に就職する看護師は少ない現状にありました。しかし精神科ほど患者さんとの関わりが難しい領域はありませんので、一般科とは違うやりがいを感じる看護師も増えている傾向にあります。
日々業務に追われ患者さんとの関わりをもつ時間がないことに疑問を感じる看護師や、自分のペースで業務したい看護師には精神科が適していることもあります。この先精神科入院患者さんの社会復帰への流れも加速し、ますます精神科看護師の需要が高くなっていきますので、精神科看護師に興味のある場合には、ぜひ参考にしていただければと思います。
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