病院の福利厚生ってどこを見て比較するべきなの?
看護師が就職や転職を考える際に、診療科や勤務体系と並んで参考にするべきものが「福利厚生」です。しかし、福利厚生という言葉は耳にしたことはあっても、実際には何を基準にしていいかわからない、という方は意外と多いかもしれません。
就職や転職の際の優先順位は人により異なりますが、とくに金銭面を重視する人にとっては福利厚生の理解は欠かせない要素です。
そこでこの記事では、看護師が理解しておくと役立つ病院の福利厚生をご説明します。ぜひ、参考にしてみてください。
福利厚生とは?
そして、福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに大きく分けられます。それぞれの違いを見ていきましょう。
法定福利厚生
法定福利厚生とは、法律で加入が義務付けられている社会保険のことです。具体的には、健康保険や介護保険といった看護師にとって馴染みの深いものや、雇用保険や労働者災害補償保険といった労働者を守るものがあります。保険料の負担は種類によって異なり、病院と看護師で折半するものや、病院が全額負担するものもあります。また、介護保険は40歳になると保険料の徴収がはじまるのが特徴的です。
とくに訪問看護や福祉施設など、地域で働く看護師は自分たちの納めた保険料が、どのようにして使われているのか理解するのは大切です。
法定外福利厚生
法定外福利厚生とは、法律で義務付けられていない制度やサービスのことです。病院が独自に定めるものであり、同じ内容であっても病院によって名称は一定ではありません。交通費や住宅手当のように毎月一定額が支給されるものや、結婚・出産祝い金のように条件を満たした場合に支給されるものがあります。法定外福利厚生は病院によって種類が異なりますので、就職や転職の際に比較すべき内容です。
主な法定外福利厚生の種類
主な法定外福利厚生には以下のような種類があります。
・住宅手当や社宅
・通勤手当
・家族手当
・財形貯蓄制度
・結婚、出産祝い金
・社員旅行やクラブ活動
それぞれ順番にご説明していきます。
住宅手当や社宅
住宅手当とは、賃貸物件の家賃や持ち家の住宅ローンの一部を、病院が負担してくれる福利厚生です。自己負担の割合は病院により異なり、手当には上限が設けられている場合が多いので確認が必要となります。また、病院が社宅を所有する場合、周囲の賃貸物件より大幅に安い家賃で住居できます。社宅は病院の敷地内に建てられている場合もあり、3交代勤務で準夜帯や深夜帯などの出退勤も安心です。
ただし、病院の近くに住むと救急車の音が聞こえる、スタッフに鉢合わせやすいなどのプライベート面でのデメリットがあります。
通勤手当
通勤手当とは、看護師の通勤にかかる費用を病院が負担する福利厚生です。電車やバス通勤の場合は運賃が、車やバイク通勤の場合は距離に応じて算出されたガソリン代が支給されます。仕事とプライベートを切り離したいと思い、病院から離れたところに住む方もいるかもしれません。病院から離れた所に住むほど交通費は高くなりますのでチェックが必要です。
家族手当
家族手当とは、看護師が扶養する家族の人数に応じて、一定金額が支給される福利厚生です。病院によっては扶養手当といわれる場合もあります。結婚や出産に伴うライフスタイルの変化を支えるには、何といってもお金が必要です。今後の生活を考えて判断材料にしてみてはいかがでしょうか。
結婚、出産祝い金
祝い金とは、結婚や出産に伴い、一時金が支給される福利厚生です。一時金ですので、家族手当とは違い、一度限りの支給であり毎月支給されるものではありません。祝い金などの一時金は申請制であり、自分から申請しないと支給されない場合が多いので注意が必要です。
財形貯蓄制度
財形貯蓄とは、給与から天引きされる形式で貯蓄ができる福利厚生です。病院と提携する金融機関に、病院を経由して毎月一定額ずつ貯蓄ができます。自動的に貯蓄できる仕組みができる、一定金額までは金利が非課税になる、などのメリットがあります。仕事のストレスや夜勤明けの解放感から散在してしまい、貯蓄に苦手意識をもつ看護師の方におすすめです。
社員旅行やクラブ活動
社員旅行やクラブ活動といったレクリエーション形式の福利厚生もあります。スタッフ同士が交流を深めることで、仕事での人間関係にも好影響が及ぶかもしれません。社会人になると、集団で旅行をする機会は少なくなります。旅行で和気あいあいとするのが好きな方にはおすすめです。
病院ならではの魅力的な福利厚生も!
病院ならではの法定外福利厚生には以下のような種類があります。
・院内保育所
・人間ドックの割引
・キャリアアップ支援
・付属図書館の利用
・専門職によるメンタルサポート
それぞれ順番にご説明していきます。
院内保育所
院内保育所とは、病院内に設けられた保育施設に看護師が子どもを預けられる福利厚生です。一般的には保育園よりも料金が安く、24時間体制の場合もあります。子どもの急な体調変化にもすぐに駆け付けることができ、多少残業になっても融通が利きやすいです。夜勤にも対応しやすいため、仕事と育児を両立したい看護師におすすめです。ただし、自身や子どものプライベートに関する情報が漏れやすい点には、注意しなければなりません。
人間ドックの割引
長く元気に働き続けるには定期的な体調管理が欠かせません。人間ドックは保険適応外の検査であるため、料金が高くなりがちです。勤務する病院で人間ドックをやっている場合、福利厚生として職員割引が適応されることがあります。定期的な人間ドックによる体調管理は、病気の早期発見・早期治療につながるため、長い目で考えると医療費の節約になります。看護師として、患者さんだけでなくご自分の健康にも、気を使っていきたいですよね。
キャリアアップ支援
キャリアアップ支援とは、院外研究での費用や認定・専門看護師の資格取得支援、大学院進学への支援に関する福利厚生です。看護師のキャリアアップには、多くのお金や時間がかかる場合があります。そのため、病院の福利厚生でキャリアアップに伴うお金や時間の支援は大変ありがたいものですよね。ただし、キャリアアップは勤めている病院へ貢献することが前提です。
トラブルを防ぐためにも、「資格取得後〇年間の退職は認めない」などの条件はしっかりと確認しておきましょう。
付属図書館の利用
キャリアアップ、スキルアップには勉強が欠かせません。しかし、医学書は値段が高く、勉強に集中するためにカフェなどを利用する費用も積み重なると負担が大きいものですよね。福利厚生で利用できる付属図書館があれば、お金や時間の節約につながります。とくに新人看護師は毎日のように勉強しなければならないため、付属図書館の存在は大きいものです。勉強のモチベーションを自分一人で保つのが苦手な方にもおすすめですよ。
専門職によるメンタルサポート
看護師の仕事は身体的にも精神的にも負担が大きいものです。時には看護師自身がメンタルを病んでしまう場合もあるかもしれません。メンタルを病んでしまった場合にすぐに専門家に相談できる福利厚生があると心強いですよね。もちろん、相談内容やプライバシーは保護されます。長く働き続けるには、いざという時の相談先があるという安心感が欠かせません。
「給与」と「福利厚生」のどちらの充実を重視すべきなの?
このように疑問に思う方もいるのではないでしょうか。もちろん、一概に「給与」と「福利厚生」のどちらを重視すべきかとはいえません。
判断基準は自分自身の優先順位を明らかにして考えると、後悔が少なくなります。たとえば、仕事と家庭を両立したい方は院内保育所の有無を重視するのがよいでしょう。また、朝が苦手で遅刻が不安な方は、病院の敷地内に社宅があると心強いですよね。
もちろん、自由に使えるお金を増やしたいと考える方は、給与を重視するのもよいかもしれません。給与の高さと福利厚生の充実のどちらを重視するかの判断材料となる考え方をご説明します。
福利厚生の充実は職員の定着率の向上につながる
福利厚生が充実している病院は働きやすく、職員の定着率が高い傾向にあります。職員が定着せず、入れ替わりの激しい職場は指導に時間がかかり、ルールも周知されにくいため働きにくいです。ライフステージの変化に伴って働き方も変えなければならない場合もあります。結婚・出産・介護などを経験しても働き続けられるのは良い職場です。
また、キャリアアップ支援の福利厚生が充実している病院は、自分が希望するキャリアのお手本となるような先輩がいるかもしれません。資格取得の際の仕事との両立方法などの話が聞けるとありがたいですよね。
福利厚生は個人差が生じる可能性がある
福利厚生の充実はありがたいことですが、自分自身にとって有益かどうかはチェックしなければなりません。たとえば、交通費・住宅手当・家族手当の支給がある場合でも、自分が独身の実家住まいで徒歩通勤していれば、手当の支給は「無し」です。このように福利厚生は個人差が生じる可能性があります。あまり福利厚生の恩恵を受けられない方は給与の高さを重視するとよいのかもしれません。
また、住宅手当があるからと必要以上に家賃の高いマンションに住むのも危険です。なぜなら、転職や退職をすると家賃が払えなくなってしまうからです。福利厚生に生活を依存しすぎる危険性も頭に入れておきましょう。
基本給が低すぎる病院は要注意
基本給が低すぎる病院は、ボーナスや退職金に悪影響が出るため注意が必要です。収入の大きな柱となるため、トータルの年収を考えていくのがよいかもしれません。課税対象であるか
給与や福利厚生を比較する上で見逃されがちなのが「税金」です。支給された給与や手当は、源泉徴収として税金が引かれてから手取りとなります。同じ金額が支給されても、課税対象と非課税対象の内訳により手取りが変わる可能性があるでしょう。たとえば、住宅手当は課税対象であり税金がかかりますが、社宅を借りて家賃が控除される形式であれば手取りに大きな違いが生じます。難しいと感じるかもしれませんが、給与や福利厚生と税金は切り離せない関係なので、少しずつでも理解していくとよいかもしれません。
非常勤看護師は福利厚生を利用できるの?
厚生労働省の発表した「同一賃金同一労働ガイドライン」にも、福利厚生は同一の利用・付与を行わなければならない、と明記されています。
引用:同一賃金同一労働ガイドライン(厚生労働省)
病院の実態としては常勤と非常勤看護師との間で、待遇に差がついたままになっている場合も多いかもしれません。しかし、最近の風潮や厚生労働省のガイドラインを材料に、交渉してみる価値はあるかもしれませんよ。
まとめ
転職エージェントでは看護師の転職をサポートしています。長く安心して働き続けられる職場を探すには情報収集が欠かせません。コーディネーターは医療機関と密に連携を取り、多くの情報を持っており、転職を希望する方に情報提供を行っています。
転職を成功させるポイントのひとつが転職者と医療機関のニーズをマッチさせることです。ニーズは人により異なります。複数の転職エージェントに相談して、あなたのニーズを明らかにしながら転職先を探してみてはいかがでしょうか。
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