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働き方改革で看護師の働き方はどう変わるの?

働き方改革で看護師の働き方はどう変わるの?

2019年4月より働き方改革が順次施行され始めました。ニュースやSNSで大きく取り上げられたので気になっている方も多いのではないでしょうか。

看護師も例外ではなく働き方改革の対象となっている労働者です。制度を知り上手に活用することで、より有利かつ効率的に働くことができます。働き方改革によって、私たち看護師の働き方がどのように変わっていくかを見ていきましょう。

働き方改革とは?

働き方改革とは、多様で柔軟な働き方を実現するための制度です。日本は世界に例を見ない少子高齢化により生産年齢(15~64歳)人口が減少しています。そのため、多くの人が意欲的に働ける環境を整えていかなければなりません。

働き方改革は「労働時間の長期化の是正」「正規・非正規の不合理格差の解消」「柔軟な働き方の実現」、この三本の柱が政策の中心となっています。三本の柱から枝分かれした様々な政策により、働ける人を増やし、業務効率を高めることが働き方改革の目的です。

多くの潜在看護師が生まれる背景にある過酷な労働環境

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看護師は高齢化社会を支える中核を担う職業です。人口の多い”団塊の世代”が75歳以上になり後期高齢者人口が一気に増加する、いわゆる2025年問題の解消に看護師の存在は欠かせません。

慢性的な人手不足を抱える医療や介護の現場では、これからますます多くの看護師の力が必要です。しかし、厚生労働省は看護師免許を持ちながら看護師として働いていない、いわゆる”潜在看護師”が約71万人にも上ると発表しています。

出典:厚生労働省「看護職員の現状と推移」

なぜ、これほどまで多くの潜在看護師が生まれてしまうのでしょうか。その理由は看護師の退職理由から推測できます。看護師の退職理由の上位は「出産・育児のため」「結婚」といったライフイベントによるものです。

一方で、「人間関係がよくない」「超過勤務」「夜勤の負担が大きい」「休暇が取れない」というネガティブな退職理由も目立ちます。この結果より、普段から不満を抱えながら働いている看護師が結婚や出産を機会に退職し、そのまま潜在看護師になっているパターンが多いのではないかと推測できます。

あくまで推測に過ぎませんが、実際に現場で働く看護師は納得できる部分が多いのではないでしょうか。また、日本医療労働組合連合会の調査では下記のような看護師の過酷な労働環境が明らかにされています。

・一年前に比べて仕事量が「増えた」58.0%、「変わらない」31.3%
・日勤の始業時間「前」の時間外労働「30分以上」53.2%
・0.8%が過労死ラインを超える時間外労働をしている
・「患者対応」「情報収集」「記録」での時間外労働の4~6割が賃金不払い
・約7割以上が法律で定められた休憩時間を取れていない

出典:日本医療労働組合連合会「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」

ネガティブな退職理由や過酷な労働環境はそのまま看護師の働き方の問題点です。看護師の働き方の問題点を解消し、潜在看護師の職場復帰を進めなければ2025年問題は乗り切れません。働き方改革が看護師の働き方の問題点を解決へ導くかが焦点となります。

看護師の働き方改革のポイント

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では具体的に働き方改革によりどのように看護師の働き方が変わるのか、ポイントを押さえていきましょう。

時間外労働の上限規制

労働時間は労働基準法により、1日8時間、1週間40時間以内と定められています。この労働時間を超える「時間外労働」が、原則として月45時間、年360時間以内という上限が設けられました。違反した場合には罰則が課せられる場合があります。

これまで暗黙の了解で時間外労働に含まれないことが多かった「情報収集による前残業」や「勤務時間外の院内研修」も時間外労働に含まれるとされました。適切な医療を提供するために必要な時間は堂々と時間外労働の申請を行いましょう。

もちろん、試用期間中の新人看護師であっても同様に時間外労働の申請ができます。

ただし、委員会や勉強会の資料作りのために家で作業する「持ち帰り仕事」は上司の命令がない限り時間外労働には含まれません。もし、業務時間で処理しきれない量の業務を抱えている場合、上司に状況を伝えて対応を考えていく必要があります。

年次有給休暇の年5日取得

有給休暇を年5日以上取得させなければ罰則が課せられるようになりました。職場によっては有給休暇を取得しにくい雰囲気があったかもしれませんが、政策として明記されたので取得しやすくなるでしょう。

夏季休暇やリフレッシュ休暇などの制度が元々あった場合も、それとは別に有給を取得することができます。

有給休暇は労働者の権利です。本来は自由な取得ができなければなりません。安心して有給休暇を取得できる職場の雰囲気づくりも必要となります。

同一賃金同一労働

常勤看護師とパート看護師の間の不合理な待遇差が禁止されました。パート看護師であっても常勤看護師同様に夜勤、土日勤務、委員会、クレーム対応などを行っていれば同様の待遇が受けられます。

逆に言えば、「正社員なのに働かない」「パートだからといって責任逃れする」といった不当な労働者に釘を刺す効果も。チーム医療にはチームワークが欠かせませんので、責任や業務の範囲を明確にし、それに見合った待遇によって不満をなくしていくことが望ましいと言えます。

働き方改革で患者だけでなく看護師自身も健康を取り戻す

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現場で働く看護師の疲労はピークに達しています。看護師の7割強が何らかの薬を常用しながら働いており、中には「睡眠剤」や「安定剤」を内服している看護師も。

健康不調や精神的ストレスを抱える看護師は全産業と比較しても多く、ストレスの要因は仕事量や内容、人間関係であるようです。文字通り満身創痍で働く看護師が多いことがわかりますね。

患者に質の高い医療を提供するには、まず看護師自身が健康でなくてはいけません。働き方改革により、しっかりと休暇が取れるようになり業務効率の意識が向上すれば職場環境の改善にも繋がるでしょう。

職場環境が改善されると潜在看護師問題の解消のきっかけとなるかもしれません。働き方改革を有効活用するには政策をよく知り、活用できるような努力が必要です。良い職場環境は与えられるものではなく、自分たちで作り上げていく、という意識を持って働き方改革と向き合ってみましょう。

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