2交代と3交代、看護師はどちらが働きやすい?
多くの看護師が夜勤ありのシフト制勤務をしています。夜勤ありのシフト制勤務は、「2交代」と「3交代」に分かれており、どちらの勤務形態がいいか迷う看護師も多いのではないでしょうか。
「2交代」と「3交代」のどちらを選ぶべきかは、看護師個人の希望により変わるため、一概に言うことはできません。大切なのは、それぞれのメリット・デメリットを知って、自分自身にとって有利な選択をすることです。
今回は看護師の「2交代」と「3交代」の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて説明します。ぜひ、職場選びの参考にしてみてください。
2交代と3交代の違い
勤務時間
2交代の勤務時間の基本は、下記のような「8時間の日勤+16時間の夜勤」です。・8:30~17:30 日勤
・17:00~9:00 夜勤
注目すべきは16時間の夜勤で、休憩時間もありますが半日以上の長時間勤務となっています。夜勤が終わった日の日中のことは「(夜勤)明け」と呼ばれ、多くの場合は明けの次の日は休日です。
3交代の勤務時間の基本は、下記のような「8時間の日勤+8時間の準夜勤+8時間の深夜勤」です。
・8:30~17:30 日勤
・15:30~0:30 準夜勤
・0:00~9:00 深夜勤
すべての勤務時間が8時間で同じになっているのが特徴です。病院によっては、それぞれの業務都合の理由で勤務時間を少しずらしている場合もあります。
1ヵ月の夜勤回数の目安は、2交代であれば「4~5回」、3交代であれば「8~10回(準夜+深夜)」です。
給与
給与面では、2交代と3交代のそれぞれの手当によって少し差があります。看護協会が行っている病院看護実態調査によると、2交代の夜勤手当の平均は「11,026円」、3交代の準夜勤手当の平均は「4,141円」で深夜勤手当の平均は「5,033円」だと明らかにされました。引用:2019年 病院看護実態調査(日本看護協会)
そのため、単純な金額の比較では2交代勤務の方が手当が高い分だけ、給与も高くなる傾向があるといえます。
ただし、2交代勤務の方が多少手当を多くもらえても、長時間勤務のストレスや疲労によって無駄遣いをしてしまう人もいます。その結果として、自由に使えるお金が減ってしまうケースもありますので注意が必要です。
割合
日本医療労働組合連合会の調査によると、2交代勤務の医療機関は「39.3%」で3交代勤務の医療機関は「60.7%」だとされています。引用:2019年 夜勤実態調査(日本医療労働組合連合会)
現時点では3交代勤務の医療機関の方が多いですが、年々両者間の差は縮まっています。また、医療機関によっては「早番」や「遅番」といった、2交代にも3交代にも該当しない勤務形態を採用している場合も。
あくまで、一般的な傾向として参考にする程度に考えておいた方が無難かもしれません。
2交代のメリット
①通勤回数が少なくなる
②夜勤手当が多くなりやすい
③まとまった休みを取りやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①通勤・退勤回数が少なくなる
2交代の場合、夜勤が16時間の連続勤務であり、1回分の通勤・退勤で2日分勤務することになります。そのため、勤務ごとに通勤・退勤をする3交代勤務よりも、通勤・退勤回数が少なくて済みます。とくに首都圏で勤務する場合、家賃の関係で遠方から職場に通う看護師も少なくありません。中には片道2時間以上かけて、通勤・退勤をする看護師もいるのではないでしょうか。
通勤の回数を減らすことで、自由に使える時間が増えます。プライベートや家庭を重視したい看護師にとって、とくに大きなメリットかもしれません。
②夜勤手当が多くなりやすい
2交代の方が夜勤手当が多い傾向があるため、少しでも収入を増やしたい方におすすめです。さらに、夜勤専従の勤務形態を選択すれば、毎月もらえる夜勤手当が増やせ、収入を増やせます。ただし、給与形態や福利厚生の充実具合によっては、2交代夜勤の病院に転職しても結果的に収入ダウンしてしまう場合もあります。あくまで夜勤手当は、収入を左右する要素のひとつだと認識し、総合的に判断しましょう。
③まとまった予定を組みやすい
体力に自信のある看護師は、2交代夜勤の明けに予定を組むことで休日を最大限に活用できます。たとえば、「夜勤+明け+休日+休日+夜勤」といった勤務であれば、明けでそのまま旅行に行けば、丸々3日間の小旅行が可能です。仕事をしながらもプライベートを可能な限り充実させたい看護師におすすめです。
2交代のデメリット
① 長時間勤務が必須
② ミスが起こりやすい
③ 残業が発生しやすい
それぞれ順番に解説していきます。
①長時間勤務が必須
2交代夜勤は16時間の連続勤務になります。また、夜勤は日勤よりも少ない人数での勤務になるため、急変時などの忙しさには覚悟が必要です。その日の忙しさによっては、まともに休憩が取れないまま、長時間をすることもあるかもしれません。長時間勤務に対応できるだけの体力に自信のない方にとって、大きなデメリットといえるかもしれません。
②ミスが起こりやすい
長時間勤務で疲れてくると集中力が保てなくなり、ミスが起こりやすくなってしまいます。加えて、忙しくなってくると少人数で多くの患者さんを担当しなければならないことも、ミスにつながる大きな要因です。とくに疲れが出やすい明け方の時間に、多人数の採血や検尿などの検査がある場合は要注意です。インシデントが起きやすいシチュエーションですので、2交代勤務をする場合は十分に注意をしましょう。
③家を空ける時間が長くなる
2交代の夜勤の場合、連続した長時間勤務になるため、夜勤の時間の分だけ家を空けることになります。育児をしながら働く看護師は、夜間に子どもをみてくれる人を確保しなければなりません。病院によっては24時間の託児所を設置している場合もあるので、利用を検討してみてもよいかもしれません。自分が家にいない間の対応を考えておく必要があるでしょう。
3交代のメリット
① 1回あたりの勤務時間が均等
② 残業が少なめ
③ ハードな職場でも乗り切りやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①1回あたりの勤務時間が均等
3交代勤務は基本的に、日勤・準夜勤・深夜勤のいずれも8時間前後の勤務です。すべての勤務帯を同じくらいの時間で働くため、長時間勤務を乗り越える体力に自信のない看護師でも安心できます。そして、「忙しくても、もう少しで次の勤務帯の人に交代できる」という、精神面での余裕をもつことができます。経験が浅く、忙しさへの対応に自信のない看護師にとっても助かるのではないでしょうか。
②残業が少なめ
勤務時間が短いということは、自分の勤務帯でこなすべき仕事量も少なくなります。そのため、長時間の残業が発生しにくいのも3交代のメリットです。2交代夜勤で仕事が処理しきれないと、長時間勤務の後に多くの残業をしなければなりません。それに比べると、3交代の方が残業は多くなりにくいといえます。
③ハードな職場でも乗り切りやすい
病院の部署によっては、勤務帯に関係なく1日中看護師が走り回っているようなところもあります。そのようなハードな部署では、3交代勤務で1回あたりの勤務時間を短くしないと乗り切ることができません。疲れて集中力が下がったからといって、ミスが許されないのが看護師の仕事です。仕事のパフォーマンスの維持は、常に優先して考える必要があります。
3交代のデメリット
① 準夜・深夜勤により生活リズムが崩れやすい
② 2交代よりも給与が低くなりやすい
③ 通勤が夜間になり不安
それぞれ順番に解説してきます。
①準夜・深夜勤により生活リズムが崩れやすい
準夜・深夜勤は、ふつうは寝ているはずの深夜0時に仕事が始まったり、終わったりします。いつでも入眠できる体質の方であれば、影響は少ないかもしれませんが、時間帯によっては入眠しにくい体質の方は生活リズムが崩れてしまうでしょう。②2交代よりも給与が低くなりやすい
3交代の準夜勤手当と深夜勤手当を足した金額の平均は、2交代の夜勤手当よりも低くなっています。そのため、2交代勤務に比べると給与が低くなりやすいです。もちろん、給与全体の多い少ないは夜勤手当だけでなく、勤務形態や福利厚生の充実具合によって変わります。ですので、3交代の勤務形態だからと言って、必ずしも給与面で損をするというわけではありません。
③通勤・退勤が夜間になり不安
準夜勤・深夜勤の場合、通勤・退勤の時間帯が夜間になります。とくに女性にとって、夜間の一人での移動は不安が大きいものですよね。男性であっても、暗闇に乗じて犯罪に巻き込まれることも考えられます。病院によってはタクシーチケットを配布し、極力一人での移動を避けているところもあります。安心して働くためにも、なんらかの安全対策はしていきたいところですよね。
まとめ
2交代と3交代では、看護師ごとに向き不向きがあります。自分自身に向いた職場探しをしていきましょう。
転職を成功させるポイントは、自身のニーズを明らかにすることです。複数の転職コーディネーターとの面談を通して、あなたのニーズを明らかにしていきましょう。迷っているのであれば、まずは相談してみてくださいね!
この記事を読んでいる方は以下の記事も見ています
-
「忙しい時期に妊娠しないで!」マタハラに遭った看護師はどうすればいいの?
看護師は女性の多い職業であり、出産というライフイベントと仕事をどのように両立させるか悩む方は多いのではないでしょうか。本来、出産は喜ばしいイベントです…続きを読む
-
【看護師転職】転職を決めたら始めよう!退職日までの流れと準備を解説
仕事をしているとき、「職場を変わりたいな」と思ったことはありませんか?でも「看護師の転職は大変!」と聞きます。なぜ、看護師の転職は大変なのでしょうか。…続きを読む
-
新人看護師の薬のまとめ方・覚え方
新人看護師の壁の一つである薬について。 処方は医師、調剤は薬剤師の業務であって看護師は患者に点滴や注射、内服確認や軟膏塗布、そして点眼などの処置をす…続きを読む
-
「こんな看護師は嫌だ!」後輩から嫌われるベテラン看護師のタイプ10項目
看護師の年齢層は幅広いのが特徴で、時代によって過ごしてきた看護経験には違いがあります。先輩看護師は後輩の為に良かれと思ってしていることでも、後輩看護師…続きを読む
-
「都会の病院」と「地方の病院」、看護師はどちらが働きやすい?
職場選びの要素のひとつである、「都会」か「地方」で迷う看護師は多いのではないでしょうか。地方出身の方は都会への憧れ、都会出身の方は地方へ癒しを求める、…続きを読む