コミュ障で人見知りな看護師がうまく職場に適応するために知っておきたいこと
「コミュ障」という言葉を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。自分はコミュ障で人見知りであるため、看護師に向いていないと思ってしまう方もいるかもしれません。
たしかに看護師は医療者の中でも、とくに他者と関わる機会が多いため、コミュニケーション能力が重視される職業です。そのため、他者とのコミュニケーションなしで仕事をするのは難しいでしょう。
しかし、コミュニケーションへの苦手意識は対策により、仕事で困らない程度には改善可能です。また、より働きやすい環境を求めるのもよいかもしれません。
今回はコミュ障や人見知りの看護師がうまく職場に適応し、ストレスを軽減して働くための方法について説明します。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
コミュ障とは?
多くの場合、内向的な性格の人を指したり、言語能力が低い人のことを指したりします。場合によっては相手に不快感を与える可能性もあるため、使う際には注意が必要です。
「コミュ障」大きく分けると、一般的な意味での使われ方と疾患としての意味での使われ方があります。また、「人見知り」はコミュ障と若干異なるものです。それぞれの言葉の意味を説明していきます。
一般的な意味でのコミュ障
まず、一般的な意味で使われる「コミュ障」は、内向的な性格で会話が苦手、人に会いたがらない、新しい環境が苦手などの特徴をもつ人を指します。おそらく「私はコミュ障だ」と考える看護師の多くが、一般的な意味でのコミュ障をイメージしているのではないでしょうか。相手の気持ちを配慮しすぎたり、嫌われることを恐れすぎたりするあまり、コミュニケーションに苦手意識をもつ方が多いようです。
一方で、しゃべり過ぎる、人の話を聞き入れないタイプのコミュ障もいます。こちらのタイプは自分自身がコミュ障という自覚がなく、他者との距離感が不適切になりがちなのが特徴です。
自分自身への自信を過剰に持っており、人の言葉を遮って自己主張する場面もあり、トラブルに発展しがちです。
疾患としてのコミュ障
一方で、「疾患により会話や言語、コミュニケーションに障害をきたす5つの疾患の総称」という意味での「コミュ障」もあります。5つの疾患は以下です。■言語症/言語障害
書いたり話したりするための語彙の習得が、極端に困難となる疾患です。主語と述語のつながりといった文法も苦手であるため、なかなか言いたいことが伝わりません。
■語音症/語音障害
頭で考えている言葉を声として発するのが困難となる疾患です。発声のための呼吸や舌・唇の動きをスムーズに行えません。治療や練習により改善が期待できます。
■小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害(吃音:きつおん)
いわゆる「どもり」であり、同じ音を繰り返し発生したり、会話の途中で不自然に黙り込み緊張したりする疾患です。とくにストレスの大きい場面で悪化してしまいます。身体面と精神面の原因が複雑に絡み合って発生するのが特徴です。
■社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害
社会生活に適応するためのコミュニケーションが困難となる疾患です。学生時代よりも複雑なコミュニケーション能力が要求される社会人となって、はじめて気がつく場合もあります。
■特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害
コミュニケーション障害が発生しているものの、上記のどの疾患にも当てはまらない場合に診断されることがあります。
コミュ障と人見知りの違いは?
「人見知り」はコミュ障の中でも、初対面や親しくない人との会話で極度に緊張し、自分を出せない人を指す言葉です。「コミュ障」にはしゃべり過ぎる人や疾患によりコミュニケーションが苦手な人も含まれますので、コミュ障の全員が人見知りではありません。また、人見知りをする人は自己評価が低い傾向にあります。普段の自分に自信を持てず、他者に悪く思われてしまうことが不安であるため、会話に対して苦手意識を持ってしまいがちです。
看護師として働く上でコミュ障が障壁となる場面は?
あなたが看護師として働く上で、ストレスを感じる原因はコミュ障であるがゆえかもしれません。どのような場面でコミュ障が障壁となるか見ていきましょう。
仕事上で求められるコミュニケーションが苦手
看護師は医療者の中でも、とくに多くのコミュニケーションが求められる職業です。たとえば、看護師同士での申し送りや報告などがあります。コミュ障は多くの場合、他者とのコミュニケーションで過度に緊張し、たくさんのエネルギーを消費するでしょう。所属する科によっては、毎日のように初対面の患者さんや家族とのコミュニケーションを要する場合もあります。中にはコミュニケーションを取りにくい人もいますので、コミュ障にとっては辛い状況かもしれません。
カンファレンスや病棟会が苦手
看護師のコミュニケーションは、1対1の会話だけではありません。カンファレンスや病棟会などの多数の医療者がいる場で、発言が求められる場面もあります。多数での会話は発言のタイミングが難しいと感じる方も多いかもしれません。複数の人に配慮するあまり、発言のタイミング失って何もできないこともあります。
あるいは、しゃべり過ぎるタイプのコミュ障であれば、会話の流れを無視して自己主張を続けてしまうこともあります。
いずれにしても、カンファレンスや病棟会の運営に支障をきたしてしまいかねません。
コミュニケーションを取った後にぐったり疲れてしまう
相手の気持ちに配慮しすぎるあまり、コミュニケーションによって過度な疲労を感じてしまいます。自分の発言で、ほかのスタッフや患者さんがどのような気持ちになったか、などを考えすぎてしまう方も多いのではないでしょうか。他者への配慮は看護師として大切なことです。しかし、自分自身が疲弊し切ってしまうようであれば、問題と言えるかもしれません。
コミュ障は他者への配慮でもあり悪いことばかりではない
看護師にとって、相手の立場を考えて物事を考えて発言するのは、とても大切です。相手を不快にさせないだけでなく、患者さんの安全・安楽に直結する場合もあります。
患者さんによっては辛い症状があっても、心配をかけまいと症状を訴えない場合も多いです。他者への配慮が得意なタイプのコミュ障は、非言語的なコミュニケーションにより、患者さんの症状を読み取ることができます。
「コミュ障だから看護師に向かない」と考えるのではなく、自分自身の長所と短所を意識していくのが大切と言えるかもしれません。
職場に適応するための6つの対策
ここでは、どのようにしてコミュ障の看護師が職場に適応するのかご説明していきます。
①「あいさつ」をして会話のハードルを下げる
あいさつは社会人の基本としてだけではなく、コミュニケーションのハードルを下げる役割もあります。いきなり仕事の話や聞きたいことを話すのに抵抗がある方でも、あいさつからはじめるとスムーズに会話につなげられるのではないでしょうか。もちろん、あいさつだけでも構いません。あいさつを不快に思う人はほとんどいませんし、いざ会話に繋げようと思った時のコミュニケーションの基盤になりますよ。
②相手の立場を考えて話をする
コミュ障の長所は相手の立場を考えた配慮ができることだと、先ほどご説明しました。会話に苦手意識をもつ方は、自分のことを話そうと思わずに、相手を思いやった言葉を発していく意識をもつとよいかもしれません。たとえば、相手の長所を見つけて伝えたり、困っていることを聞いてみたりするとよいでしょう。相手の立場を考えるといっても難しく捉える必要はなく、患者さんをアセスメントする視点を用いてみるとよいかもしれません。
③「聞き役」に徹してできるだけ相手に話してもらう
自分から話すのが苦手な方も多いかもしれません。会話において自分から話すのに苦手意識があれば、できるだけ聞き役に徹する方法も有効です。相手の会話に合わせて相槌を打って話しやすい雰囲気づくりをしたり、話を深堀するような質問を投げかけてみたりするといいですよ。
④コミュニケーションの失敗を恐れすぎない
コミュ障になってしまう原因のひとつに、「失敗を恐れすぎる」ことがあげられます。自分の発言が変に思われないか、相手を不快にさせていないかを過度に心配し過ぎてしまうと、コミュニケーションに苦手意識をもってしまうものです。しかし、完璧なコミュニケーションは存在しないものであり、誰しも少なからず失敗を重ねているものです。取り返しのつかないような失敗だけを気を付けて、小さな失敗は気にし過ぎないようにするのがポイントかもしれません。
⑤丁寧で他者に配慮した仕事をする
うまくコミュニケーションが取れなかったとしても大丈夫です。丁寧で他者に配慮した仕事を続けていけば、自然と存在自体が認められていきます。コミュニケーションで存在感を示しにくい時こそ焦らず、普段以上に丁寧な仕事を心がけてみましょう。
⑥疾患によるコミュ障の場合は治療やカウンセリングを検討する
疾患によるコミュ障の場合、専門的な治療やカウンセリングが必要になるかもしれません。疾患が原因であれば自分一人での解決は難しくなります。明らかにコミュニケーションが取りにくいと感じることがあれば、受診を検討してみてはいかがでしょうか。働きやすい環境の職場に転職するのもあり!
また、「患者さんよりも医療者とのコミュニケーションの方が疲れる」という方もいるかもしれません。いくつか、おすすめの職場をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
訪問看護師
訪問看護師は、移動時間や訪問時間は一人で行動するのが基本です。そのため、医療者同士のコミュニケーションが疲れると感じる方には良い環境かもしれません。ただし、利用者さんとは1対1でのコミュニケーションになりがちであり、同行訪問の際には医療者と1対1です。
派遣看護師
派遣看護師は、短期間で職場が変わるのが特徴です。人見知りの看護師には辛い環境かもしれませんが、「派遣期間だけだから」と割り切る方にとっては良い環境かもしれません。もし、派遣先で居心地の良い職場が見つかった際には、正社員としての入職を目指してみるのも一つの手です。
夜勤専従看護師
夜勤専従看護師は、人数の少ない夜勤帯のみ勤務するのが特徴です。職場によってはワンオペ夜勤の場合もあり、必要とされるコミュニケーションが最小限で済みます。少人数での勤務になりますので、一通りの看護業務が自立しているのが条件です。夜勤が苦にならない方は検討してみてもいいかもしれませんよ。
まとめ
転職エージェントでは、人間関係に悩み働きにくさを感じる看護師さんの転職支援を行っています。職場によって人間関係や雰囲気は大きく異なるものです。あなたの悩みも転職で解決できるかもしれません。
転職コーディネーターは医療機関と密に連携を取っています。転職を成功させるポイントは情報収集です。転職エージェントがあなたの転職をサポートしてくれますよ。ぜひお気軽にご相談ください。
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