看護師一人あたりの受け持ち患者数が半減!「セル看護」の改革とは
いま、看護師として受け持ちの人数が多く、きめ細やかな看護ができないと悩んでいませんか? そういう悩みは多く、あなたも悩んでいることだろうと思います。
一般的な人手不足への解決として、人を多く投入する、そのためには報酬を高くすることで人を多く雇う、といった解決が考えられます。
しかし、それでは病院の限られた利益を人件費が多く食うこととなり、他の部分にコストカットの波が押し寄せて、結局は病院の医療サービス全体のクオリティが下がってしまいかねません。難しい舵取りが求められるのです。
ではそこで、看護師一あたりの受け持ち数を、8人から4人へと半減させ、患者さんへの迅速な対応が可能になったケースがありますので、その病院の話をお伝えしようと思います。
ナースステーションから病室へ
業務拠点としてナースステーションは存在しますが、「セル看護」と名付けた当病院の独自の看護スタイルでは、ナースステーションではなく病室で看護師がPCをいじるなどの作業を行います。検査機器を常備し、タオルやシーツといった備品も病室の棚に準備します。
これらによって、移動をカットし、スムーズな動線が可能になるのです。
従来の看護師が持っていた不満
いくら看護師がいい仕事だといっても、天職だと感じていても、患者さんからの「ありがとう」が少なければ、辛い部分ばかりが残りますし、同時に忙しすぎればそのありがとうすらもらえなくなるのです。
一般に、病院では看護師が一人あたり、6人から8人程度の患者さんを受け持ちます。受け持ちは増える一方で、看護師のハードワークを生み出すきっかけとなっていました。しかし、このセル看護では、受け持ちを逆に減らしたのです。
なんと、一人あたり4人に減らし、じっくり患者さんと向き合う時間を作ったのです。これなら、ケアが丁寧になり、慌ててバタバタとすることもなくなり、じっくり看護ができます。非常によい取り組みです。
では、どうやって受け持ち患者数を半分までに減らしたのでしょうか。それは、看護師長以外のすべての看護師が、受け持ち患者さんを持った、ということです。
従来、チーム統括のリーダーは患者さんを持ちませんでした。それに、薬準備、備品整備などの周辺業務を担当する人もいて、直接的に患者さんを受け持たない役割が多かったのです。
その間接的な看護を廃止し、看護師長以外は全員が患者さんを受け持つようにしました。その結果、人員が増えたのと同じ働きが生じたのです。
生産性の向上とは無縁だった病院
その一方で、人材不足・人手不足は看護師のいる医療業界にも押し寄せています。高齢化が進み、病院に掛かる人が増えているなかで、若い人の数が減って看護師の人数が足りていません。
よって、働き方改革や生産性向上は、看護師にも求められているのです。人が増えずに患者さんだけが増える中で、余剰人員を抱えることなく、ひとりひとりの仕事との付き合い方がみなされるタイミングに来ているのではないでしょか。
これらの改革は、チーム看護として、一定の効果を挙げています。たとえば、常に看護師がベッドのそばにいることで、気軽に声掛けできるため患者さんの異変に気づきやすく、その結果、夜間の急変・具合が悪くなるといったことも明確に減少しているとのことです。
床ずれや転倒なども明らかに減り、大きな成果を見せています。
課題はプライバシー
よって、セル看護は導入に慎重な病院は多いものの、大きな成果を挙げているので導入に関心を示している病院も多くなっています。
実際、具合が悪いときは看護師がそばにいてくれたら安心するケースが多く、その安心は療養時に大きな効果をもたらしてくれます。
患者アンケートでは8割が、そばに看護師がいてくれることにポジティブな回答をしており、柔軟な変化が良い効果を出しています。
最後に
他の医療機関でも導入がスタートしつつあり、今後も柔軟に変化を取り入れながら、活動するとのこと。このことに関して、あなたはどう思いますか?
看護師の世界にやってきた働き方改革と生産性向上。
一人あたりの受け持ち患者数が減れば、看護師の仕事は少し楽になるばかりか、患者さんへの対応が手厚くなって、満足度があがりますよね。これは結果として、療養面でも良い効果をもたらすのではないでしょうか。
そんな改革が、福岡の1病院から行われようとしています。セル看護は今後、うまく回るようであれば全国の病院が導入し、看護師が病室で作業する日も遠くないかもしれません。
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