生活保護で無料診療の患者さんを平等に扱えない時の考え方|看護師の生き抜く術を知る!|看護師専門の求人転職サイト【看護師ドットワークス】

生活保護で無料診療の患者さんを平等に扱えない時の考え方

生活保護で無料診療の患者さんを平等に扱えない時の考え方

「生活保護といっても、命や健康を守るのはいつでも100%ではないでしょうか?」

看護師というのは、目の前にいる患者さんに対して、平等で最善の看護を提供する姿勢が基本となりますよね。ただ、あなたはナースステーション内で

「元気なのに、なぜ生活保護なのだろうね。働いてしっかり医療費を払ってほしい。」
「生活保護で支給してもらったお金で、すぐギャンブルで使ってしまうらしいよ。」
「生活保護の患者さんはクセが強いから、気をつけたほうが良いよ。」

このような会話を耳にしたことはないでしょうか?なぜ、看護師は生活保護という情報だけで、ネガティブな感情を患者さんに抱くのでしょうか?一つの理由としては、生活保護というものを正しく理解していないことがあります。

今回のコラムでは、

・そもそも、生活保護を正しく理解することが看護師には必要
・忙しいとネガティブ感情が強くなる?看護倫理を考えてみると?
・患者さんを平等に看護できないとき、原点に立ち返ってみる

これらをテーマにして、伝えていきます。

そもそも、生活保護を正しく理解することが看護師には必要

そもそも、生活保護を正しく理解することが看護師には必要
生活保護制度とは

健康で文化的な最低限度の生活を保証する制度になり、生活保護人数は約214万人(全体の約1.7%)になります。生活保護には8種類の扶助がありますが、今回理解してもらいたいのは医療扶助です。

医療扶助というのは、医療費に充てるもので診療、薬剤、治療、看護のすべてが対象となります。平成29年度の時点で保護費の48.6%というように約半分を占めており、1年間では約1.8兆円の医療扶助があると発表されています。つまり、生活保護費の約半分が、病院代で消えていっているのです

金額が大きいことに驚くと思いますが、医療扶助が多い理由は

・生活保護人数の約214万人のうち、65歳以上が約45%
・病気や障害を抱えて、約80%が利用している
・入院をすると、外来通院と比較して大幅に費用がかかる

というように複数の理由があります。そもそも、病気や障害のために収入を得ることができず、生活保護を受けている人も多いので、医療扶助費も当然多くなるわけですね。

では、冒頭のような看護師のネガティブな発言は、なぜ起きてしまうのでしょうか。一つの原因としては、国民健康保険の給付対象となる医療サービスが、無料となる医療扶助と同じだということです。

生活保護を受けている方は、医療扶助の対象となるので基本的には無料。一方で、国民健康保険の場合、病院を受診すると70歳未満であれば、医療費の3割が自己負担となります。

この現状について、テレビや各メディアが報道をして、そこに違和感を覚えるわけです。これが患者さんを平等に扱えない一つの原因となっています。とはいえ、医療扶助の問題のみで患者さんを平等に扱えないとはなりません。

これだけが大きな原因であるなら、日常的に看護師から同じようなネガティブ発言があるはずですからね。では、何が看護師をそうさせているのでしょうか?

忙しいとネガティブ感情が強くなる?看護倫理を考えてみると?

忙しいとネガティブ感情が強くなる?看護倫理を考えてみると?
看護師が生活保護を受けている患者さんにネガティブな発言をするときには、一つ共通点があります。
それが

“看護師が精神的に疲弊しているとき”

となります。

テレビや各メディアの影響を受けていると言っても、通常であれば病気に苦しんでいる患者さんのために最善を尽くすのが基本です。ただ、看護師の疲労が常に蓄積しているという現状があります。

看護職員の労働実際調査

慢性疲労を訴える看護師は7割を超え、時間外労働は9割を超えている現状がありますし、月20時間以上の時間外が約2割いるという結果があります。

つまり、看護師は常に看護業務に追われ、患者さんをゆっくり考え、触れ合う時間が少ないということが読み取れます。

この多忙な状況の中、患者さんからナースコールが5分おきに鳴り、たまたま生活保護の患者さんだった場合、どう感じるでしょうか?普段は優しい看護師でも、ついネガティブな感情が出やすい環境になります。

極端な例で言えば、5日間の日勤勤務が続き毎日時間外をしている状況。一方で、休みでしっかり睡眠がとれた勤務の初日で比較をしてみると、イメージしやすいですね。

前者であれば、ちょっとしたことでイライラしやすい状況ですし、後者だと本来の細やかな看護を提供できているのではないでしょうか。どんなに完璧な看護師だとしても、良い看護を提供するためには、看護師自身が心身ともに健康である必要があります。

看護師の勤務状況によって、患者さんに不快感を与えて良いということにはなりませんからね。ここでは、看護倫理を交えながら患者さんとの関係性を考えていきます。

看護者の倫理網領

倫理という言葉を聞くと、難しいイメージを持つかもしれませんね。
看護倫理というのは、簡単に伝えると

より良い看護を実践するための振る舞い、守るべきこと

このように、捉えておくとわかりやすいかと思います。医療技術が進歩するに従って、目の前にいる患者さんのニーズを理解するのは難しくなっています。

・何を望んでいるのか?
・何をすることが患者さんにとって最善なのか?

患者さんというのは、看護師の話し方、態度、距離の保ち方を敏感に感じとるものです。今回のテーマである生活保護の患者さんに対して、偏見な視点を持つとどうなるか。

わかりやすい例で言えば、ベッド上で臥床している患者さんの声かけ一つでも、立って話しをしてしまい威圧感を与えるという行動や態度になるわけですね。

横柄な態度をする患者さんも近年増加をしています。ただ、その態度に反応をして同じような態度をとってしまえば、トラブルの原因となるので、看護師としての対応能力が求められます

患者さんを平等に看護できないとき、原点に立ち返ってみる

患者さんを平等に看護できないとき、原点に立ち返ってみる
「看護で一番大切に思っていることを教えてください。」

このような質問をされたとき、あなたはすぐに答えることができますか?どういうことかというと、看護現場というのは検査、処置というように多忙です。

看護師として根底に大切にしていることがなければ、目の前の看護業務をこなすだけの感覚に陥りがちになります。

つまり、患者さんという一人の病気を抱えている方に対して、看護をしている感覚が薄れてしまいます。知らず知らずのうちに、こういう感覚が強くなってしまえばどうなるか。

ナースコールを頻回に鳴らす患者さん、訴えが多い患者さんに対して、ネガティブな感情を抱きやすくなります。では、患者さんを平等に看護するためには、どう考えたら良いのか。

看護師として、患者さんと触れ合う時間を意識して増やす

これが大切になります。医療技術が進歩するにつれて、看護師が行う看護業務は複雑化し、どんどん増えています。気がつけば、患者さんと触れ合う時間が少なくなっているのです

だから、意識的に患者さんと触れ合う時間を作るように行動しなければ、業務的な対応のみで時間が過ぎ去ってしまいます。確かに、検査や決められた処置に対応することで、最低限の医療の質は保たれるでしょう。しかし、それ以上は期待できないのです。

だからこそ、意識をして患者さんと関わる時間を増やすことができれば、生活保護の患者さんだからという、ネガティブな感情や発言は少なくなるのではないかと考えます。

まとめ

生活保護の現状、看護倫理、考え方をテーマに伝えてきましたが、看護の仕事には、さまざまなストレスがあります。看護師同士のコミュニケーショントラブルもありますし、患者さんとの一つひとつの対応もそうです。

人というのは、感情を持っているので不平不満を持つことは必ずあります。この不平不満というのは、無理に消す必要はありません。

嫌なことがあれば、信頼できる友人、親というように伝えられる人物に愚痴でもなんでも良いので、伝えるのが効果的です。特に気にせず、ナースステーション内でオープンに話しをしてしまうので、変な空気になってしまいます。

「患者さんを平等に扱えていない。」

こう感じたときには、今回のコラムをヒントにしてもらえればと思います。

転職エージェントでは、患者さんとの関わりに悩んでいる方の転職支援を行っています。看護師であってもさまざまな悩みがあり、無理をして働き続けることがベストな選択とはいえません。

自分に合った職場を探したいと思ったとき、ぜひ転職エージェントにご相談ください。専門のコーディネーターが、あなたのニーズにぴったりの職場を紹介してくれますよ。

この記事を読んでいる方は以下の記事も見ています

トップ
看護師向け転職エージェントランキング