東京は医療崩壊してる?してない? 看護師が医療にできること
いま、医療業界は大変なことになっています。
内科や呼吸器科だけでなく、精神科の看護師まで総動員され、医療崩壊を防ごうと一丸となって最前線で戦っています。
もちろん、看護師だけが頑張っているわけではなく、日本に住むみなさんが、自粛を頑張っていますし、海外の人だって同じです。それでも、「いま東京が医療崩壊しつつある」という噂がまことしやかに流れ、ソーシャルメディアなどでは噂としてぐるぐる回っています。
では、2020年4月中旬現在、果たして東京は医療崩壊しているのでしょうか?それとも、していないのでしょうか?
医療崩壊はしていない
PCR検査で陽性になった人は7,000名以上いても、入院治療が必要な人はわずか135名。135名の、それだけの人数で医療崩壊することなんて、常識で考えてありえないからです。
では、なぜ医療崩壊していると、まことしやかにささかやれるのか。それは、国のクラスター対策方針も一部、関係しています。なぜなら、国はPCR検査を抑制する代わりに、重症者に絞って医療ケアを実施する方針だからです。
これが、憶測を呼んでいるのではないかと考えられます。
つまり、
「国はあえてPCR検査をしぼっている!」
「体調が悪いのにPCR検査してくれない!」
「不安によりそってくれない!」
という陰謀論を招き、それが、今の医療現場の忙しさと相まって「東京は医療崩壊している」との言説に変貌して、ソーシャルメディアで流れているのです。平時は冷静な人たちも、いまは連日の自粛要請でストレスを感じており、ますます不安からそうした言説にとびつくようになってしまっています。
医療崩壊を招きかねないもの
よって、全力で医療崩壊を防がねばならないのです。医者と看護師を一番に守る必要があります。これは、決して医者と看護師の命の格が高いとか、偉いとかいっているのではなく、医者や看護師がコロナにかかってしまうと、その人達をきっかけにクラスター(集団感染)が起き、加速的に感染者が増えていくからです。
そこで、一般の人たちがいちばん気をつけるべきことは、咳や熱が出たら直接最寄りの医者にいかないこと、です。一度、保健所か接触者センターに電話して、来院していいか確認してから通院すること。いきなり訪れると、PPE(防御服)を医者があわてて着ることになり、医療ミスにつながりますし、PPEは使い捨てなので、在庫がどんどん減っていってますます医療資源を食い荒らしてしまいます。
軽症者は自宅療養・ホテル療養の方針は正しい
交通事故で大怪我をした人のかわりに、何も症状がでていないコロナ患者が病院のベッドにいるというのはおかしいですよね。誰がどう見ても、医療は緊急度の高い方を救うべきです。
それでも、陽性で無症状の患者さんに町をウロウロされるわけにいきませんから、ホテルや自宅で療養という形になるのです。熱が出て咳が出て、テレビで見たコロナの症状と合致する場合、非常に不安だろうと思います。しかし、それでも人工心肺が必要な方のために、病院におしかけてはいけないのです。
説明責任は誰にある?
では、この説明責任を果たすのは医師会や看護師会だと考えられますが、こちらも現場のことで手一杯。となると、現場で少しでも手の空いた看護師や、潜在看護師が情報発信をがんばるしかありません。
いま看護師にできることは、たとえば、知り合いに「熱や咳がでる」といわれたら、「病院に電話をかけて。いきなり通院しないで」といって聞かせるだけでも十分、医療崩壊を防ぐ効果があります。医療崩壊は、PCR検査を希望する人や、陽性になっただけの人が病院におしかけて、大量にリソースを占拠し、医療がまわらなくなることを指します。
医療崩壊に厳密な定義はない
それでも、医療崩壊という単語を政府も医師もメディアも使い、医療崩壊を防がねばという使命感に燃えています。それは、私たちが守ってきた医療システムを、これからも守っていく必要があるからです。
医療崩壊を防ぐため、いつもは「医療相談されたら嫌だな」と思っている相手でも、ひとこと「事前に電話をしてから病院へ」というだけでいいのです。そうした草の根的活動が、ひいては医療崩壊を防いでくれます。コロナが収束しても、その行動を覚えていないかもしれない、でも、それでもやるべきことがあるのです。
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