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新人ナースが患者さんの死を前にして、プレッシャーに対処する方法

新人ナースが患者さんの死を前にして、プレッシャーに対処する方法

「私はあと、どれくらいなのでしょうか・・・?」

死が近づいている患者さん、そして家族に対して行うターミナルケアというのは、新人ナースにとって強いプレッシャーを与えます。戸惑いや不安、恐怖といった感情が複雑に絡んでくるので、

「もっと患者さんにできることはないのだろうか?」

「なんとも言えない気持ちになって、うまく話せない。ナースとして続けられるのだろうか?」

一人ひとりの価値観や考え方によって、さまざまな感情が新人ナースの中に生まれ、強いプレッシャーを感じます。今回のコラムでは、

・死生観を持つことが、プレッシャーに対応できる一つの方法
・患者さんや家族から死について質問が来た場合、どう対応する?
・ターミナルケアのストレス原因とプレッシャーに対処する方法

これらをテーマに伝えていきます。

1.死生観を持つことが、プレッシャーに対応できる一つの方法

1.死生観を持つことが、プレッシャーに対応できる一つの方法
まず死生観について、説明をしていきます。死生観は、死と生についての自分自身の考え方、受け止め方を言います。さらに言えば、

“人生をどう生き、どのような最期を迎えるのか”

という自分自身の考え方、受け止め方、価値観を明らかにしておくことになります。では、なぜ死生観を持つことが新人ナースのプレッシャーに有効なのか。

例えば、

「私は苦しまずに最期を迎えたらと思っています。どう思いますか?」
「こんなに辛いのなら、死んだ方が良い・・・」
「私の夫(妻)は、あとどれくらいなのでしょうか?何をしてあげたら・・・」

患者さんや家族と関わる中で、このような内容の質問をもらうことがあります。死に対する質問をもらうと、多くの新人ナースは対応に困ってしまいます。死生観というものを考える機会があまりないですからね。

一般病棟で終末期がん患者の看取りにかかわる若手看護師の直面する困難の検討

こちらの論文では、人の死にゆく過程を初めて経験し、困惑するといった結果。そして、人を看取るという経験をして、死生観も育っていくことが伝えられています。

ナースの経験年数も影響はしますが、やはり一人のナースとして死や生について考えることは大切です。ここを考える機会を持つことができれば、少しずつ死生観が形成されていきますからね。

死生観をきっかけに、ターミナル期に患者さんや家族と向き合い、コミュニケーションをとることができれば、自然とプレッシャーを軽減できるようになります。

死生観を持つことで、

・患者さんや家族が何を望んでいるのか?
・今、患者さんや家族にどうアプローチしていくべきなのか?
・患者さんにとっての望ましい最期はどうあるべきだと考えるか?

この視点を持つことが徐々にできるようになっていきます。とはいえ、一人で死生観を養うというのは難しいものです。

相談しやすい相手で良いので、先輩ナース、ベテランナース、親というように、相談相手を見つけることで死生観は形成されます。先輩ナースやベテランナースは、患者さんの死を前にして死生観を考える機会が多くありますからね。

新人ナースからすると、先輩ナースやベテランナースは淡々と対応しているように見えるかもしれません。しかし、最初は誰でも戸惑うものですし、表情に見せないだけで考えながら対応しているものです。

では、なぜ先輩ナースやベテランナースは、死を前にして冷静に対応ができるのか。それは、経験を通じて自分自身の看護観、人生観というものを考える機会が増え、死生観を養っているためです。

死について関心を持ち、考えていく姿勢を持つというのは、死生観を形成しプレッシャーを軽減する一つの方法になります。

2.患者さんや家族から死について質問が来た場合、どう対応する?

2.患者さんや家族から死について質問が来た場合、どう対応する?
「私はあと、どれくらいなのでしょうか・・・?」

死を前にした患者さんから質問をされたとき、新人ナースとしてどう対応するか困ってしまうのではないでしょうか。

一つの対応方法としては、

答えにくい質問には逆に質問をしてみる

という方法が有効です。先ほどの質問に対してであれば、患者さんの状況に合わせて

「どうして、そう考えましたか?」
「具体的に心配なことがありましたか?」
「あと、どれくらいというのは?」

というように、患者さんの質問に対して逆質問をしてみるのです。上記のように質問をするということは、患者さんの思いが質問の中に隠されている可能性があります。

つらさ、不安、悔しさ、怒りといった感情が複雑に入り混じっているので、さまざまな形で表現されるのです。

こういった理由から、無理に質問について答えると、患者さんが求めている答えではないことがあるので、質問という対話をしながら進めていくことが必要です。患者さんの状況、質問の意図にもよりますが、質問をすることで

「余命について聞きたいのではなくて、残された時間が少なくなると、つらい症状が出るのかと心配になってしまって。」

このように、患者さんから答えをもらうことが一例としてあります。患者さんの答えをもらえたのであれば、患者さんに寄り添う看護を提供していけるように関われますし、必要な情報を伝えられます

今回であれば、つらい症状については薬剤コントロールをして対処していくことを必要な情報として伝えられますね。大切なことは、患者さんが質問する意味を理解しようとする姿勢になります。

コミュニケーションの方法を理解し、患者さんの気持ちを理解することでプレッシャーを軽減できる一つとなりますので、参考にしてみてください。

『死を前にした人にあなたは何ができますか?』

また、こちらの書籍は、死を前にした患者さんや家族のコミュニケーション方法について詳しく書かれていますので、合わせて参考にすると理解が深まりプレッシャー軽減のヒントとなります。

3.ターミナルケアのストレス原因とプレッシャーに対処する方法

3.ターミナルケアのストレス原因とプレッシャーに対処する方法
プレッシャーを軽減するために、死生観やコミュニケーションの対応方法について伝えましたが、ターミナルケアのストレスというのは特殊です。

具体的には、

・死そのものに直面しているストレス
・患者さんの苦痛や苦悩に対するストレス
・人間関係に伴うストレス
・生活の場や状況の特殊性から起こるストレス
・自己の能力に対してのストレス

通常の看護現場では、あまり感じたことのないストレスが多くあります。人というのは、経験したことのあるストレスに対して、コーピングといってストレスに対応していきます。

つまり、あまり経験したことのないストレスに対しては、どう対応して良いかわからず、新人ナースのプレッシャーとなるのです。

では、新人ナースのターミナルケアにおけるプレッシャーを軽減するためには、どうしたら良いでしょうか?

死生観を持つことが大切だと伝えましたが、すぐに形成されるものではないので、一時的な対処方法を行うことが有効となります。

具体的な対処方法としては、

・先輩ナースや新人ナース同士、親など相談しやすい人と具体的に話し合う
・スポーツや買い物、映画を見るなどの自分がストレスを発散できる方法
・ターミナルケアの知識、信念を持つこと

これらを行うことが、ストレスとうまく付き合うコツです。一般的に、誰に相談して良いかわからず一人でモヤモヤしている時期が長くなってしまうと、人はネガティブな感情にどんどん引っ張られてしまいます。

具体的なストレス対処方法が見つかっていない場合には、まず相談できる相手を探すようにしてください。ターミナルケアというのは、一人で考えようとすると自分の主観で物事を考えてしまうので、チームアプローチが基本となります。

新人ナースだけが悩んでいるわけではありません。先輩ナース、ベテランナースも表情に見せないだけで、同じようにプレッシャーやストレスというのを抱えながら、最善と考える看護を提供しています。

相談をしながら一緒に進めていくことで、患者さんの死に対して理解を深め、対応能力が高まっていきます。

まとめ

新人ナースは、日々の看護業務に対応することで精一杯です。だから、死というのをゆっくり考える時間は少ないですし、患者さんの死を前にしてしまうと、経験がないのでプレッシャーに負けそうになります。

今回伝えたテーマである

・死生観を持つこと
・逆質問をするコミュニケーション方法
・ストレス対処方法

これらを行うことで、うまくプレッシャーと付き合いながら前へ進むことができます。先輩ナースやベテランナースに相談をしながら、焦らずに一歩一歩前進するようにしてください。

今回のコラムが、少しでもプレッシャーを軽減できるヒントになればと思います。

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