退院期間が短くなっている理由は?医療費の4割を占める入院医療について|看護師の生き抜く術を知る!|看護師専門の求人転職サイト【看護師ドットワークス】

退院期間が短くなっている理由は?医療費の4割を占める入院医療について

退院期間が短くなっている理由は?医療費の4割を占める入院医療について

入院治療が昔に比べて短く簡潔になっていることを、いまの若い看護師は知らないかもしれません。しかし、実際に20年前の2000年に比べると、患者さんの入院期間は確実に短くなっています。

今回は、患者さんのQOLを大きく左右し、同時に医療費の問題とも密接に関わっている医入院医療費の問題も見ていきたいと思います。

実際に入院は短くなっている?

入院日数
厚生労働省の患者調査によりますと、新規に入院した人は10万人ごとに44人。20年前と比べて倍増しています。一方で、退院域案は29日前後にまで減少し、10日ほど短くなっているのが現状です。これは、看護師の体感とも一致するのではないでしょうか。

ただし、海外に目を向けてみると、たいていの国が10日以内で退院し、アメリカも6日前後で入院を終えています。鑑みると、日本は突出して入院日数が長いことがわかります。

入院期間が短くなれば、これは経営上の都合ですが、収益が上がります。ベッドの回転数が良くなって、保険医療費から加算がつきますので、短期入院者が増えれば増えるほど、長期入院の人が多い状態よりは、経営状態が改善します。

ただし、これは上記で触れたようにあくまで経営上の都合です。雇われている立場である看護師から見てみると、短期入院者が増えるとバタバタして大変という側面はあるのではないでしょうか。

覚える人の顔も増えますし、入退院のケアで四六時中稼働しなければならないので、なかなか大変な未来が浮かびます。

一方で、ポジティブな側面も存在します。入院が短期になればなるほど、集中してケアをできるので、慢性期状態の患者さんは自宅での療養になります。

よって、急性期のみを病院でみることになるため、看護師としてはスキルがアップします。急性期のケアだけが看護師の仕事ではありませんし、慢性期の患者さんをケアすることも大切ではありますが、それでも慌ただしい毎日を送ることでみにつくことがきっとあります。

医療費の4割を占める入院医療費

入院医療費 医療費 4割
医療費は令和元年でみると約45兆円、入院医療費がそのうち17兆円となっています。4割を占めます。とても大きな出費です。

医療といっても、高齢者医療が大多数を占めますので、なおのこと高齢者が入院し、医療費が莫大な金額になっていることがわかるのではないでしょうか。

17兆円は、余談ですがAmazonのベゾズCEOの個人資産と同額です。17兆円ものお金が、入院医療費としてかかるのであれば、現在国は医療費をなんとか抑えよう・削減しようという方向性に向かっていますから、圧縮の圧力がかかるのは当然のことです。

同時に、国は薬剤費も抑えようと躍起になっています。オプジーボなどの新型のがん治療薬を使うにあたって、薬価が非常に高くなっているので、その薬価を低く抑えないことには大変な薬剤費になってしまいます。

入院医療費を抑えるには?

アメリカなどの国では入院期間が平均5日。アメリカは国民皆保険制度が普及していないので、市場原理が働いた医療制度となっています。よって、入院期間は短ければ短いほど、保険会社が有利なので、短縮傾向になります。

一方の日本では、入院が長く、医療費が膨大という構造上の欠点を持ちます。じゃあ是正するべきかというと、もう人口減少が続いており、今後もしばらくは回復の兆しを見せないので、税収の増加は見込みが薄くなります。

なのであれば、考えられる手としては医療費の抑制という形になり、入院日時を短くして入院サイクルを早めて、全体の医療費を圧縮しましょうという流れになります。

改革への反対は?

退院期間は国に定められているわけではありません。よって、医師の裁量や病院の方針によって、変化するものがこの退院日数です。

徐々に徐々に、退院の日数が減っていっているので、看護師側は気が付かないかもしれませんが、久しぶりに入院した患者さんなどは、「あれ?昔に入院したときより、あっという間に退院できたな」と思うかもしれません。

ただ、誰しも手厚く保護されたいという思いはありますから、あっという間に退院させられたら不安になることでしょう。

その後、退院した後の通院がおろそかになるケースも多く、早期の退院は心配な面もあるのは事実です。看護師として、まだまだ看護が必要な人を、少し自立ができてからといって自宅に戻すのは不安もありますよね。

最後に

介護 退院 施設 入院
退院期間後は、介護施設に入る人が多くなっています。実際、厚生労働省は医療から介護へと流れを進めています。それは同時に、介護施設ではなく、地域で高齢者の面倒をみるという、地域包括ケアの考えがベースとなっているものです。

よって、退院期間は今後どんどん短くなります。ただ、それは決して国が高齢者医療を切り捨てるとか、高齢の患者さんを看護師が放置していいとか、そういうことではなく、介護の受け皿を作った上で、令和の時代に迫りくる超高齢化社会の舵取りをしようというものです。

そうしないと、日本の財政はもう持ちません。ただ、介護も人が慢性的に足りていないとの声もありますので、いずれにせよ難しい問題は多く残されています。あなたはどう思いますか。

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