台風、地震、津波、大雨…いざという時に活躍する災害支援ナースとは!?|看護師の生き抜く術を知る!|看護師専門の求人転職サイト【看護師ドットワークス】

台風、地震、津波、大雨…いざという時に活躍する災害支援ナースとは!?

台風、地震、津波、大雨…いざという時に活躍する災害支援ナースとは!?

日本は災害が多い国です。
東日本大震災・熊本地震・西日本豪雨・令和元年東日本台風といった近年の自然災害は記憶に新しいですよね。

災害は被災者の心身にダメージを与え、生活を困難にします。また被災地で働く看護師の負担も平常時と比べて非常に大きいです。

災害支援ナースは被災者と被災地で働く看護師を支援します。災害支援ナースについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

被災地で活躍する災害支援ナースとは?

被災地で活躍する災害支援ナースとは?
災害支援ナースとは、被災した看護師の心身の負担軽減を図るとともに、被災者の健康レベルを維持するために活躍する看護職です。

都道府県看護協会に登録されており、看護職能団体の一員として被災地に派遣されます。
2019年3月末時点での災害支援ナースの登録者数は9,822人です。

引用:日本看護協会「災害看護」

災害支援ナースの活動場所は被災した医療機関、社会福祉施設、避難所などです。
活動期間の目安は災害発生後3日以降~1ヶ月であり、個々の災害支援ナースの派遣期間は移動期間を含めて3泊4日が原則とされています。

災害が発生すると災害レベルに応じて都道府県看護協会または日本看護協会により派遣調整される仕組みです。
派遣要請を受けた災害支援ナースはオリエンテーションを受けた後に現地に派遣されて活動します。

被災地での主な活動内容は、急病人の対応・医療、介護が必要な避難者のケア・感染拡大防止・物資支援・情報の集約、発信、医療機関の支援などです。

また、被災地の限定された医療資源で誰を優先して治療するかを決定する「トリアージ」を行う可能性もあります。
トリアージを担当する人はトリアージオフィサーと呼ばれ、日本では必要な資格や要件などを法的に定めていません。

被災地は非常に混乱し医療資源も不足しているため、適切な行動ができる判断力と普段以上の業務をこなす体力・精神力が求められます。

災害医療の特徴

災害医療の特徴
災害とは自然現象や人的要因によって被災地が被災地以外からの援助を必要とする状態になることです。
ただ台風や地震が発生している状態は災害医療には当てはまりません。
これらの現象により通常の医療が提供できなくなった状態が災害医療です。

災害医療の特徴は需要と供給の絶対的アンバランスです。
被災地ではその地域での処理能力を遥かに超えた被害が生じます。
災害医療の現場では医療資源が不足し、個々の患者へ普段どおりの対応をすることができません。

そのため、外部からの応援を活用しながら最大数の患者を救命することを重視します。
いかに限られた医療資源で平常通りの医療を提供するかがポイントです。
災害は台風や地震などの「自然災害」とテロや事故などの「人為災害」がありそれぞれ特徴がありますが、災害医療の対応の原則は変わりません。

災害医療はいつか必ず終わり、落ち着きを取り戻す日が来ます。
通常の医療体制が復旧するまでの間を持ちこたえ、スムーズに移行していくこと求められます。
災害の種類や規模、地域の医療資源により復旧までの時間は一定ではありません。

2011年の東日本大震災では、復旧までに特に長い時間を要しました。
日本は災害の多い国であるため、今後の災害医療への体制作りは課題であると言えます。

災害支援ナースになるには?

災害支援ナースになるには?
日本看護協会が定める災害支援ナース登録への要件は以下です。

・都道府県看護協会の会員である
・実務経験年数が5年以上である
・所属施設がある場合には、登録に関する所属長の承諾がある
・災害支援ナース養成のための研修を受講している

また、必須ではないものの満たすことが望ましいとされる以下の条件もあります。

・定期的(1 年に 1 回程度)に本会又は都道府県看護協会で開催する災害看護研修若しくは合同防災訓練への参加が可能である
・災害看護支援活動も補償の対象に含まれる賠償責任保険制度に加入している
・帰還後に都道府県看護協会が主催する報告会・交流会等への参加が可能である

災害支援ナースに登録してすぐに実働できるわけではありません。
災害ナース育成研修プログラムの「基礎編」と「実践編」を必要時間受講する必要があります。

基礎編では、看護職として必要な災害医療と看護の基礎知識、災害支援ナースの役割と活動の実際を学習します。
実践編では、災害支援ナースとして他者と協働し自律した活動する方法を学習・シミュレーション・グループワークします。

災害支援ナースの活動するための宿泊費・交通費は日本看護協会から支給され、それ以外に発生する経費は各都道府県看護協会が負担します。

また、災害支援ナースは時には被災地で負傷したり事故に巻き込まれたりするかもしれません。
そのため、災害支援看護活動が補償内容に含まれる看護賠償責任保険制度への加入が必要です。

災害支援ナースの実際の活動

災害支援ナースの実際の活動
最も多くの災害支援ナースが活躍したのは東日本大震災です。
40都道府県看護協会より3,770名の災害支援ナースが派遣され活動しました。

引用:日本看護協会「災害対策の現状と課題について体験からの学び」

日本看護協会は震災が発生した2011年3月11日に災害対策本部を立ち上げ、各機関との連携を開始しました。
10日後の3月21日より実際に災害支援ナースの派遣が開始しています。
当時は地震により交通網が大変乱れていたため、日本看護協会が大型バスを借り上げて毎日20~30人が現地へ向かいました。

現地では避難者や軽症・中症者のケアをしたり、重傷者を医療機関へスムーズに搬送できるように介入したりしました。
不足する物資の調達や配布といった医療の範囲を超えた支援も行います。

また、支援ニーズを把握することも災害医療における重要なポイントの一つです。
現地対策本部にコーディネーターを配置し、災害支援ナースの配置調整や行政への要請、改善交渉なども実施します。

災害支援ナースは5月17日までの約2ヶ月間現地で活動し、被災地の災害医療を大いに支えました。
東日本大震災での災害支援ナースの活動をきっかけに多くの看護職から注目されるようになります。
その結果、災害支援ナースの登録数は4,803人からおよそ7,000人に増加しました。

引用:日本看護協会「災害支援ナースの活動」

まとめ

混乱した被災地での災害医療は多くの知識や経験、体力・精神力を要します。
自然災害の多い日本では今後ますます災害支援ナースの需要が高まるでしょう。

災害支援ナースは大変な役割ですが、非常に重要でやりがいがあります。
本記事を見て少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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