経験6年の私が看護師のスキルアップに欠かせなかった必須書籍
あなたは今の部署から異動をするとき、参考にした書籍はありますか?
私は消化器内科病棟に6年働き、希望をしていた救急外来に異動しました。とはいえ、何の看護知識もない状態で異動するのは不安ですよね。
病棟で急変を対応した経験があったとしても、救急外来という部署は全く違います。
何より、救急外来では常にスピードを求められますからね。急変と一言で言っても、呼吸停止やショック、意識障害というように、患者さんの生命が脅かされる危機的状況はたくさんあります。
急性期を学ぶ上で、
1、急変対応のすべてがわかるQ&A
2、日本救急医学会ICLSガイドブック
3、急変時対応とモニタリング
という書籍を参考にしながら急性期の勉強をしていったので、シェアしながら経験談を伝えていきますね。
1.心肺停止の患者さんが運ばれてきた。救急看護師としての行動は?
今でも鮮明に覚えていますが、救急外来に異動した初日に救急車が2台同時に来て、患者さんが2人とも心肺停止だったんですね・・・
自分ができる範囲で対応をしましたが、スピードは圧倒的に遅いと感じました。
とはいえ、何もできなかったわけではありません。事前に初期対応について書籍を通して学ぶことができていたので、やはり事前に知識を入れておくことは大切だと思いました。
「急変対応のすべてがわかるQ&A」
この書籍では、さまざまな急変時の対応について書かれているのですが、
・BLS(一次救命処置)
・ACLS(二次救命処置)
の説明が文章だけでなく、写真も一緒に掲載されているので理解しやすかったですね。BLSというのは、救急外来に異動する前から研修を受けていたので、理解はしていました。
ただ、イメージをしづらかったのが、ACLSの部分です。ACLSの部分を一部伝えると、
・気管挿管の準備と吸引、スペースの確保と介助
・薬剤を用いながら心臓マッサージ
・除細動の介助
というように、救急外来では心臓マッサージをしつつ、対応することはたくさんあります。先ほど伝えた心肺停止が2人同時に来たときの話しを少し伝えると、到着5分ぐらい前に連絡が来たのを覚えています。
看護師としてどう行動するのか?
流れとしては、
その5分間で気管挿管、静脈ルート確保、薬剤がすぐに使用できる準備というように、1秒でも早く対応ができるように準備をする
↓
心肺停止の患者さんが到着
↓
救急隊員の人に胸骨圧迫を継続してもらう
↓
心電図モニターを装着しつつ、静脈ルートの確保と採血を同時に行う
↓
静脈ルートからアドレナリンを投与
↓
医師が気管挿管をすると判断した場合、介助する
このような流れで、対応をしていました。
初期対応の一部を書きましたが、一つひとつを理解していなければ行動できない内容ばかりです。この書籍では、一つひとつ丁寧に解説をしているので、参考にしてみてくださいね。
2.急変を見抜く経験値を高めるために、ICLSコースはオススメ
とはいえ、
「臨床現場で経験値を積む以外にどうしたらよいのだろう・・・?」
こう思いますよね。
今回書籍でも紹介している
「日本救急医学会ICLSガイドブック」
というのは、ICLSコースを受講する際に必要な書籍になります。
つまり、事前知識をつけて研修に臨み、研修を通して経験値を強制的に積むことができるということです。
ICLSコースというのは、
“突然の心停止に対する最初の10分間の適切なチーム蘇生を習得する“
ここを目標に蘇生に特化したコースになります。
講義はほぼなく、シミュレーション実習に重きを置いているので、臨床現場ですぐに使えるのが魅力ですね。蘇生に特化した内容になるので、BLS、ALSはもちろん
・気道管理
・心電図モニターと電気ショック
・輸液と薬剤投与
についても細かく書いてあるのがオススメのポイントです。
どうしても、事前知識だけでは、臨床現場のイメージまで膨らませるのは大変ですからね。事前知識を身につけて、研修という場で実践をして、さらに腑に落とす。
私はICLSコースに参加する前、このガイドブックを何度も見返しましたし、先輩看護師に心電図モニターや電気ショックのシミュレーションを何度もお願いしました。
事前に知識を持っているか持っていないか。この違いは、非常に大きいと感じますね。事前に知識を持ち研修に臨んだことで、理解が深まりましたし視野をさらに広げることもできました。
どんなことでも言えることですが、知識+経験に勝ることはないと思いますね。ICLSコースでは、医師が行う気管挿管を経験できますし、心電図の波形を確認して電気ショックの経験もできる。
つまり、
“医師が判断する内容を経験できるので、どう看護師として行動したら良いか理解できる”
というメリットがあります。
蘇生を一人で行うには限界がありますので、基本的にチーム蘇生で行いますからね。共通認識を持っていることで、次に何をする必要があるのかを理解して、行動することができます。
ぜひ、参考にしてみてください。
3.救命のための連鎖、ABCを正しく判断すること
急変=蘇生
ではないですよね。
あなたは、患者さんをみて
「あれ?何かいつもと違う気がする・・・」
こう思ったことがあるのではないでしょうか。これが、急変対応のスタートだと私はいつも思っています。
この看護師の感覚というのは、
・患者さんの顔色
・顔つき
・呼吸パターン
・異常ないびき
・いつもと違う寝息
というように、患者さんを視覚で見て違和感を感じるのです。
では、違和感を感じたあと、どう行動するか?ここが急変対応をする看護師として、重要な部分になります。
・A(気道)
・B(呼吸)
・C(循環)
このどこに異常があるのかを素早く観察していきます。舌根沈下で気道閉塞をしている場合だと、呼吸音がグゥーという音が生じています。
この場合には、生命に直結するので、すぐに下顎挙上と気道確保を行うことが求められますね。
呼吸の評価については、回数や呼吸パターンを見ていくわけですが、実際の急変場面では、なかなかわかりません。そのため、私は患者さんの胸に手を置いて、触れることで呼吸を感じとるようにしていました。
そして、循環の評価。これは先ほど書いた顔色が一番わかりやすいですね。そして、患者さんに直接触れてみるとわかるのが、ショック症状の場合です。皮膚は冷たく湿っているので、これを感じとることで
「ショックを起こしているかもしれない。」
こう考えることができます。そして、CRTといって爪を圧迫して爪の色が2秒以上戻らない場合にも、ショックと判断して良いです。
「急変時の対応とモニタリング」
この書籍では、これらのABCの対応はもちろん、急変時の対応について細かく書かれているので、参考にしてみてくださいね。
まとめ
どんなことでも言えることですが、知識+経験に勝ることはないと思いますね。ICLSコースでは、医師が行う気管挿管を経験できますし、心電図の波形を確認して電気ショックの経験もできる。
つまり、
“医師が判断する内容を経験できるので、どう看護師として行動したら良いか理解できる”
というメリットがあります。
蘇生を一人で行うには限界がありますので、基本的にチーム蘇生で行いますからね。共通認識を持っていることで、次に何をする必要があるのかを理解して、行動することができます。
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