メンバーシップを高めてチームに受け入れられる看護師になろう!
多くの新人看護師にとって最初の壁となる「メンバーシップ」。看護師は患者により効果的なケアを提供するためにチームで動きます。看護チームに受け入れられるにはメンバーシップを高めなければなりません。
それぞれの看護師が自分勝手に仕事をしていては看護の質が低下し、仕事の効率は下がり患者にも迷惑を掛ける結果に。新人と言っても看護チームの立派な一員です。チームの一員だと自覚し、役割を理解した行動が求められます。
今回は新人看護師がメンバーシップを高める方法を考えていきましょう。
メンバーシップとは?
日本看護協会が発表したクリニカルラダーのレベルⅠに「協同する力」として明記されており、新人看護師はメンバーシップを高めてチームに受け入れられる努力が必要です。
引用:看護師のクリニカルラダー(日本看護協会)
機能別やプライマリー式など、どの看護方式であってもメンバーシップは欠かせません。なぜなら、看護師の仕事は一人で完結せず役割分担や引き継ぎがあり、チームで協力してケアの質を高めて効率的にする必要があるからです。新人看護師はリーダーや先輩から助言をもらいながら、チームメンバーとしての役割を理解していきましょう。
メンバーシップを学ぶことでより働きやすい職場づくりへ
看護協会の調査において、新卒看護師の離職率は7~8%(常勤看護師は11%前後)で推移していることが明らかにされました。
引用:2017年 病院看護実態調査(日本看護協会)
これは他の職業と比べて高い数字ではありませんが、深刻な人材不足を抱える看護職においては大きな問題だと捉えるべきでしょう。新人看護師の退職理由では、「現場で求められる能力と自分の能力とのギャップ」や「職場風土」が上位に来ています。
引用:新人看護職員研修の現状について(厚生労働省)
新人看護師にわからないことがあるのは当然ではないでしょうか。大切なのはチームメンバーに相談し、協力を要請することです。しかし、メンバーシップを身につけていない新人看護師は、わからないことを自分一人で抱え込んでしまいます。
わからないことを抱えて仕事をするのは危険であると同時に不安でもありますよね。また、職場風土が合わないと感じると人間関係にヒビが入ってしまうことも。メンバーシップをしっかりと理解して、働きやすい職場づくりにも貢献していきましょう。
メンバーシップを高めるための心構え
メンバーシップを高めるには認知のクセを捉えることが必要です。人はそれぞれモノの考え方や感じ方、捉え方が異なります。たとえば、先輩から看護技術について指導された場面で「勉強になった、ありがたいな。」とポジティブに捉えたり、「できない子と思われているのかな…」とネガティブに捉えたりと、反応は人それぞれです。
私たちは同じ出来事があっても、同じように考えたり感じたりすることはありません。
これが認知のクセです。看護師はチームで動くので、異なる認知のクセをもつ人を受け入れる必要があります。自分の認知のクセを捉えることで他人の言動に振り回されにくくなりますよ。これは患者の言動を理解する上でも非常に大切な考え方です。
チームに受け入れられる看護師になるために、自分も含めて同僚たちの認知のクセを尊重できるようになりましょう。働きやすい職場環境は看護師がそれぞれを尊重し合うことによって実現します。
同僚たちを尊重するには自分の認知した世界がすべてだと思い込まず、他者の認知を受け入れることが重要です。コミュニケーションを通して相手の認知のクセを理解することで、チームに受け入れられる看護師になれますよ。
メンバーシップを高めるための実際の行動
①社会人としてのマナーを身に着ける
②自分の仕事に責任をもつ
③「チーム」を意識し雑用を引き受ける
④自律した言動ができる
⑤他のメンバーと協力し合える
ひとつずつ順番に解説していきます。
①社会人としてのマナーを身に着ける
社会人としてのマナーは気持ちよく仕事をする上での最低限のルールです。たとえば、「自分からあいさつをする」「使ったものを片付ける」「敬語を正しく使う」「時間を守る」などがあげられます。新卒で入職したての頃は注意されることもありますが、次第に何も言われなくなるのではないでしょうか。社会人としてのマナーは看護師の仕事とも関係します。患者さんへの対応や時間管理などは身につけておいて損はありません。マナーは社会人として「できていて当然」とも考えられますので、今一度、自分の行動を振り返ってみましょう。
②自分の仕事に責任をもつ
チームで動く看護師にとって自分の仕事に責任をもつことは非常に大切です。メンバーの一人ひとりが責任を持った行動をすることによって、チームは力を発揮できます。他者との協力は自分の仕事をきっちりできていることが前提です。まずは与えられた仕事を抜けなくこなすことを意識しましょう。③「チーム」を意識し雑用を引き受ける
手が空いている人が積極的に雑用を引き受けることも立派なメンバーシップです。看護師のチームの業務にはどうしても偏りが生まれる場合があります。誰かが慌ただしく走り回っているとメンバーがいると思えば、早々に着席し記録に取り掛かっているメンバーがいるというような場面がよくありますよね。自分の手が空いていれば、全体の仕事にも目を向けて雑用に積極的に取り組みましょう。物品補充や片付け、点滴準備などをしておけば忙しかったメンバーにも喜ばれますよ。
④自律した言動ができる
自律した言動とは、チームのメンバーとして自分の役割を考えて自ら動いて発言することです。与えられた仕事をこなし、指示待ちの姿勢のままではチームに受け入れられることは難しいのではないでしょうか。患者さんにより良い看護を提供すること、業務を効率よく行うことなどのために自分ができることを考えてみましょう。必ずしも正解である必要はありません。考える過程や姿勢が成長につながり、他のメンバーからも評価されていきます。
⑤他のメンバーと協力し合える
臥床患者さんの全身清拭やシーツ交換などは、一人よりも複数人で行ったほうが効率が良いです。また、複数人で患者さんと関わることで看護上の問題点も発見しやすくなるのではないでしょうか。まずは自分から他のメンバーの業務に協力してみましょう。場面ごとに良いメンバーシップを学ぼう!
経験したことのない処置がある患者を受け持った場合
経験したことの処置がある患者を受け持った場合、あなたはどのようにして対応しますか。まずは正しい手順を知る必要がありますよね。このとき、先輩看護師に聞く方法とマニュアルを活用する方法があります。メンバーシップを高めるには、周囲の状況を判断しなければなりません。先輩看護師が忙しそうにしていたり、自分で調べる時間があったりする場合は、マニュアルを活用して手順を確認した上でタイミングよく先輩に見守ってもらうのがいいでしょう。しかし、急いで処置をしないと患者に迷惑がかかってしまう場合には、事情を先輩看護師に話して優先的に処置を手伝ってもらわなければなりません。
ポイントはチーム全体の時間の有効活用を考えることです。わからないことを素直に聞くことは大切ですが、先輩看護師は本来患者に使うはずだった時間をあなたの指導に使っています。緊急性が高くない処置であれば、可能な限り手順を自分で調べておきたいところですね。
少し厳しくて苦手な先輩看護師がいる場合
新人看護師にとって先輩看護師の言動はとても気になるものです。看護師は責任の重い職業なので、しっかりと仕事をする先輩看護師が少し厳しく見えてしまうかもしれません。看護チームは患者に良いケアを提供するという目的があります。先輩看護師との人間関係よりも患者へのケアに目を向けるのが正しいメンバーシップのあり方です。先輩看護師の仕事の上で尊敬できる部分に積極的に目を向けてみましょう。とはいっても、あまりに理不尽な態度を取られる場合は上司へ相談することも考えてみてくださいね。
カンファレンスで何を発言すればよいかわからない場合
良いカンファレンスは参加メンバー一人ひとりが主体的な姿勢をもつことが重要です。しかし、正直なところ「何を発言していいかわからない…」と黙り込んでしまう場面もあるのではないでしょうか。情報不足や批判されることへの不安が頭をよぎってしまうこともありますよね。そのような方は、カンファレンスは「対話」であると意識してみましょう。日頃の患者さんの言動や他のメンバーの発言で疑問に思ったことを口に出してみるだけでも話し合いが深まっていきます。経験が浅いからこそ気がつける視点はとても貴重な意見です。鋭い意見だけが求められていると考えないことで、発言のハードルはグッと下がるのではないでしょうか。
インシデントを起こしてしまった場合
インシデントを起こしてしまうと気持ちが落ち込みますよね。しかし、インシデントが起こった場面でもメンバーシップが問われることを忘れてはいけません。インシデントが起こった背景には必ず原因があり、放置しておくと他のメンバーが同じインシデントを起こしてしまいます。たとえば、配薬の場面を思い浮かべてみましょう。あなたが配薬すべき患者さんを間違ってしまい、患者さんから指摘されて気がついたとします。このような場面で考えられる原因をインシデントレポートに書き、病棟会での課題にしてみましょう。
自分のミスを振り返ることは少し勇気が必要です。しかし、ミスの背景にある原因をなくすことで他のメンバーのミスを防ぐことができます。このように自分のミスを他のメンバーのために活かすこともメンバーシップです。
後輩が入職してきた場合
経験が浅い後輩が入職してきた場合、自分自身もまだ経験が浅い状態だとどのようにメンバーシップを発揮すればよいか悩みますよね。「新人さんにはプリセプターや指導者がいるから自分には関係ないか」と考えてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、後輩にとってより身近な存在はあなたのような経験年数の浅い看護師です。身近な先輩からあいさつや声掛けをしてもらうことで安心感につながります。また、知識や経験に基づいた指導はできなくても、物品の位置や情報収集の方法などはアドバイスできるのではないでしょうか。
自分なりに後輩のためにできることを実践していくこともメンバーシップの一つです。
リーダーシップも意識し、よりチームに受け入れられる看護師に!
リーダーシップを学ぶための第一歩は、実際に職場のリーダーの行動をよく観察することです。どのように動いて何の指示を出しているのか観察してみましょう。もし余裕があれば、直接リーダー看護師にどのような考えをもって行動しているのか聞いてみるのもおすすめです。
リーダーシップを学ぶことで、将来、自分がリーダーの立場で働く際にもスムーズに受け入れられますよ。
まとめ
メンバーシップを高めることで、職場が変わった際にも上手に対応できます。どれだけ知識や経験があっても、新しい職場に移るとそこでは新人扱いです。まずはチームに受け入れられることから始めなければなりません。
転職エージェントでは、看護師が新しい環境で自分らしく働くことをサポートしています。一口に看護師といっても個人差があり同じ考えの人はいません。コーディネーターとの面談を通して求職者側と求人側の希望にズレがないように努めています。新しい環境を考えている看護師の方は、ぜひ安心して相談してみてください。
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