勤務年数が長いと転職に不利なの?看護師の転職と勤務年数の関係とは
勤務年数とは、ひとつの職場に勤務した年数のことです。看護師さんは転職する人が多いとはいえ、「新人看護師で入職した職場で15年以上働いている」という看護師さんもおられるのではないでしょうか。
では勤務年数が長い看護師さんが転職をするとき、求人側から転職理由を詳しく聞かれることはご存じでしょうか?ここでは、案外知られていない勤務年数と転職の関係について、解説していきます。
勤務年数と退職理由の関係性
ただ勤務年数が長くても、求人側から「なぜこれだけ長い期間働いてきた職場をやめるのか」という疑問をもたれます。というのも、「退職を決意するにはよほどの理由があるのではないか」という詮索をされてしまうからです。
もちろん退職までの経緯を伝えれば問題ありませんし、勤務年数が長いからといって採用されないわけではありません。
ただ求人側に「退職理由が曖昧だ」という印象を与えてしまうと、採用を見送られてしまう可能性もゼロではありません。ですから相手が納得する返答を返せるように、事前準備しておくことをおすすめします。
勤務年数が長いと転職には不利?
そして子育て期間は、新しい職場に転職するよりも慣れた職場で働いていた方が何かと都合がつきやすいですから、気が付けば10~20年経過していたといケースもあります。
では勤務年数が長いと、転職には不利なのか?というと、そうではありません。ただ転職をする場合に気を付けておきたいのが、次の2点です。
・転職理由
・転職方法
ではこの2点について、それぞれ解説していきます。
勤続年数が長い看護師さんの転職理由
いま働いている職場を退職して新しい職場に転職するには、必ず決断にいたった理由がありますよね。ただその理由をそのまま求人側に伝えていい内容と伝えてはいけない内容があります。とくに勤務年数が長い場合には、転職理由にも注意が必要です。では、勤務年数が20年の40代の看護師さんを例にあげてみます。
転職理由の理由として考えられるのは
・人間関係
・夫の転勤
・新しいことへの挑戦
・親の介護
ではないでしょうか。これら4項目について、詳しく解説していきます。
■40代からの人間関係
20代で入職してから20年、同じ職場で働いていたとすればもうベテラン層です。しかし40代となれば、20代30代と比較すれば体力や判断力が落ちてきます。
そのため若い年代のときにはありえなかった小さなミスが増え、そのことで年下の看護師から指摘を受けることはないでしょうか。いままでできていたことができなくなっていることへのジレンマもあれば、後輩から指摘をされることで不快感を覚えることもでてきます。
また自分よりも年下の師長や主任もいて、数年前は指導していた後輩が上司になるのですから、立場は逆転しますよね。
この世代交代に不満を抱くと、職場での居心地が悪くなり転職を考えるきっかけにもなります。
■夫の転勤
夫が転勤を余儀なくされる職場だった場合、子どもが小さい間は夫の単身赴任で乗り切るご家庭も多いのではないでしょうか。
しかし子どもの成長と共に夫の年齢もあがっていきますので、単身赴任が難しくなり夫の転勤先へ引っ越しをする、というご家庭も増えてきます。幸い全国どこにいても職場は見つかりやすいのが、看護師資格のメリットですね。
そのため、夫の転勤に合わせて転職を考える年代にもなっていきます。
■新しいことへの挑戦
長年同じ職場で働くことは、慣れた環境で働けるというメリットもあれば、仕事がマンネリしてくるというデメリットもあります。それに50才を過ぎれば求人数も減っていきますので、ここは最後のチャンスと、転職を考えることはないでしょうか。
■親の介護
子どもが大きくなれば、次は親の介護が待っています。これは同居・別居・近隣・遠方に限らず、両家の親どちらかに何かあれば連絡が入りますし、高齢の親が気になるためにと転職を考える看護師さんも増えていくのではないでしょうか。
転職のきっかけを転職理由にしてはいけない
主な転職理由を4項目あげてみました。しかし、これらを転職理由としてそのまま求人側に伝えることはおすすめできません。なぜなら、これら4つの理由は、あくまできっかけであり転職理由すると不利になります。まず人間関係を理由に退職した看護師さんを受け入れることは、転職先の人間関係にも混乱が生じることが懸念されます。
また、夫の転勤や親の介護を理由にしたのでは、求人側に「入職してもすぐに退職してしまうのではないか」「シフトの希望が多い人材になるのではないか」という不安材料を与えてしまうからです。
新しいことへの挑戦を理由にするにしても、採用側の立場からすれば経験のないベテラン看護師を受け入れることには消極的です。
看護師経験が長くていろんな現場での経験がある人材なら積極的に採用したとしても、経験の少ない看護師さんの場合には、求人側が難色を示すことがあるということになります。
わかりやすい例をあげると、内科クリニックで働いた経験のあるベテラン看護師さんが、総合病院への転職を希望するという感じですね。
看護師経験の長さが不採用の原因になるケースもある
これが若い20代や30代の看護師さんならば、問題はありません。しかし40代という年齢と看護師経験の長さがネックとなり、採用側から敬遠される可能性はあります。というのも求人側が新規職員を採用する際に最も注意するポイントは、看護師さん同士の摩擦が起こらないかという点だからです。やはり看護師経験が長くなれば、スキルだけではなく看護師としての意見や考え方の土台ができていますよね。
もちろんその土台があるからこそ、勤務年数が長くなるほど信頼度は高く頼りがいのある存在になりますよね。しかしそれがまったく新しい環境での新規職員の場合は話しが違ってきます。
やはり「新しい職場の方針や現場で働く看護師さんと意見のぶつかり合いが起こりやすい」また「病院運営や方針に馴染むことができないのでは」と判断される可能性があるのです。
もちろんあくまで採用に消極的になる求人があるというだけで、すべての求人で不採用になるというわけではありません。
もしかすると、理不尽だと思うかもしれませんね。ただ看護師さんの求人が多くて人材不足とはいえ、これからの時代は自分自身の市場価値を知ることが必要になってくるのではないでしょうか。
勤務年数が長い看護師さんの転職方法
しかし先ほどもお伝えしたように、転職理由によっては採用側に誤解を与えてしまう可能性もでてきます。ですから、自分自身の市場価値を知るためにも、転職する際には転職エージェントを利用するのもおすすめです。
転職エージェントは、しつこい勧誘や希望していない職場への斡旋などネガティブな印象をもっている方も多いでしょう。
たしかに若い年齢の看護師さんであれば、強い勧誘を断れないかもしれませんね。でも30代や40代の看護師さんであれば、自分自身の考えや意見を発言できる強さをもっているのではないでしょうか。むしろコーディネーターからの斡旋に納得できなければ、それを拒絶する発言力はありますよね。
ですから勤続年数が長い看護師さんほど、転職エージェントの利用によるメリットが多くなります。
たとえば
・どのような求人が多いのか
・どのような人材が求められているのか
・転職理由はどのようなことを伝えればいいのか
・面接で気をつけるポイントはどこか
などですね。ではもう少し詳しく解説していきます。
求人情報の変化を把握できる
看護師さんは、万年人材不足ですよね。しかし世情や季節によって求人情報には変化がありますので、常に好条件の求人情報が出回っているわけではありません。求人の世情は個人ではなかなか把握するのは難しいため、個人での求職活動が難航するケースもあります。しかし転職エージェントのコーディネーターは、看護師さんの転職を多く手掛けていますので、世情の流れを把握することは可能です。
ですから転職先の条件が明確な場合には、コーディネーターから世情の流れについての情報を教えてもらうことは、転職を成功させるためのメリットのひとつになります。
いま求められている人材がわかる
勤続年数が長いとはいえ、看護師経験に不安をもっていることはないでしょうか。たとえば大学病院や総合病院でさまざまな科を経験している看護師さんと、固定された科の経験が長い看護師さんとでは看護師経験に差がありますよね。このように看護師経験に不安がある場合には、求人先がどのような人材を求めているのかを、転職エージェントを利用することで把握できるでしょう。
職場によっては、「ベテラン層の看護師さんが不足しているので、看護師経験はさほど重視していない」ということもありますし、「ある程度の経験をもっているベテラン看護師を求めている」という職場もあります。
もし求人にこだわりをもっている場合には、求められている人材について、転職エージェント経由で入手してみてはいかがでしょうか。
転職理由についてのアドバイスを受ける
繰り返しになりますが、転職を決意したきっかけをそのまま転職理由にすることはおすすめできません。しかし転職の経験がない看護師さんの場合には、何を転職理由にすればいいのか迷いますよね。このような場合にも、転職エージェントのコーディネーターからアドバイスを受けることができます。ここで大切なのは、転職を考え方きっかけは素直にコーディネーターに伝えることです。
それらを考慮したうえで、面接官に好印象を与える転職理由についてアドバイスをもらうといいですね。それだけでも、転職エージェントを利用するメリットになります。
面接でのアドバイスを受ける
勤続年数が長いため、久しぶりに受ける面接や履歴書の作成にも不安はないでしょうか。これらの不安も、転職エージェントのコーディネーターからアドバイスを受けることができます。個人で調べるよりも的確なアドバイスを受けることができる、というメリットがありますね。まずは求人にエントリーしてみる
転職エージェント以外にも、個人で求人情報を入手することは簡単にできます。ですから転職エージェントを利用したからといって、必ずその求人を受けなければいけないわけではありません。ただ勤続年数が長い場合には、転職エージェントからめぼしい求人を紹介してもらい、エントリーしてみることをおすすめします。そしていちど、面接を受けてみてください。それがひとつの経験となり、転職に自信をもつことができますよ。
もちろん採用内定をもらえればその職場に就職するのもいいですし、万が一採用されなかったとしても次の求人にチャレンジしてみてください。
ただ転職エージェントから紹介されない求人情報もたくさんありますので、もし内定がもらえなかった場合には、個人で求人を探してみるのもひとつです。やはり行動してみないことには世情を知ることはできませんので、ぜひ前向きにチャレンジすることをおすすめします。
まとめ
これらの状況を看護師さん個人が判断することは難しいため、転職エージェントを利用しながら求人情報の世情を知るメリットについてもお伝えしました。ただ転職エージェントの利用にはネガティブなイメージをもっている看護師さんも多いですよね。
しかし転職エージェントのコーディネーターは、看護師さんの転職情報を多くもっているプロですから、頼れるところは頼ってみる方が転職に有利な点も多いです。せっかく転職するのなら、次の職場でも長く勤務できるように、妥協はせずに納得できるまで求人を探してみてくださいね。
もしよかったら、参考にしていただければと思います。
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