持病があっても看護師として働ける?持病がある看護師が働く方法
病気や入院をきっかけに看護師を目指したという声はよく聞きます。対応してくれた看護師のようになりたい、今度は自分が病気の人の支えになりたいという思いから、看護師になった人も多いのではないでしょうか。中には持病を抱えながら看護師を目指す人、看護師として働いている人もいます。
しかし、身体的にも精神的にも大変な仕事の看護師。病気と仕事の両立はとても大変なことで、バイタリティーが必要です。持病の症状で辛い、体調がすぐれないこともあるでしょうし、症状の悪化や、治療のために仕事を休んだり、出来ない仕事があったりと、仕事に支障が出る可能性もあります。そのため、正社員での就職は難しい、採用してもらえない、看護師として働けないのでは、悩んでいる人は少なくありません。
元々持病がある看護師、看護師になってから病気を発症した人はたくさんいます。今回は、持病を抱えながら看護師として働く方法を紹介します。
持病を抱えながら働く人
引用:平成19年労働者健康状況調査結果の概要(厚生労働省)
つまり、日本には3人に1人、持病を抱えながら働いているということがわかります。持病と聞くと、なかなか治らない病気、難病などのイメージをもつかもしれませんが、高血圧や腰痛などは、誰にでも起こりえることです。いま健康だったとしても、いつ病気になり、持病と闘いながら仕事をすることになるかわかりません。
また、仕事のストレスから睡眠障害やノイローゼ等の神経症になる可能性も大いにあります。
看護師に多い病気
精神疾患
看護師は、うつなどの精神疾患への罹患率は高いです。日本医療労働組合連合会の看護職員の労働実態調査より、メンタル障害により治療や、休職している看護師がいる病院は、約3割という結果が出ています。引用:看護職員の労働実態調査(日本医療労働組合連合会)
仕事量の多さ、仕事に対する責任の重さ、人間関係などが原因で、精神障害を発症する看護師は多くいます。また、看護師は仕事柄、責任感が強く、真面目な人が多いので、不調に気づいていても頑張って働き続ける人は多いのではないでしょうか。無理をし続け、気付いたときには病気が深刻となり、休職せざるを得ない状況になってしまった、ということも少なくありません。
睡眠障害
看護師の勤務体制は交代制で、日勤をしたり夜勤をしたりと、生活スタイルが不規則になりがちです。寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠障害を引き起こすことはよくあります。また、精神的なストレスから不眠症となる場合も少なくありません。眠れないと仕事に支障をきたすから、睡眠薬を服用しているという看護師もいます。
腰痛
看護師は、移乗や体位変換、入浴介助など、腰に負担がかかる業務が多く、腰痛に悩まされている人は少なくありません。職場に必ず1人はコルセット愛用者がいる、といってもよいほどです。腰が痛いという自覚症状だけでなく、ヘルニアになったという看護師も多いです。腰痛=年配の人がなりやすいというイメージがありますが、若くても腰痛に悩まされている看護師はたくさんいます。
持病があることを職場に伝えるべきか?
知られるのが嫌、持病が落ち着いていて、職場のサポートは不要だという人は、持病があるという、超個人情報をわざわざ伝えなくてもいいでしょう。しかし、持病についてすべてを話す必要はありませんが、少しでも伝えておくことは大切なことです。
では、なぜ持病があることを伝えた方がいいのか、職場に持病のことを伝えるメリットを紹介します。
職場から病気に対する理解・協力を得ることができる
病気と仕事を両立する上で、職場の理解・協力を得ることは、とても重要なポイントです。突然、症状が出現して治療や入院が必要となった場合、事前に持病があることを伝えていたら、わざわざ話す手間が省けます。通院や入院に対して配慮もしてもらえるでしょう。さらに、福利厚生が整っている職場であれば、休暇・休職制度、時差出勤、短時間勤務制、夜勤免除などを利用することが可能となります。通院や入院のため休みが必要となったときに、こういった制度を利用することとで、退職せず働き続けることができます。
休みが比較的取りやすい
通院のために休みが必要な場合、持病があることを伝えていた方が比較的スムーズに休みが取れます。ただの体調不良と言って何度も休んでいたら、「何回体調を崩すんだ?本当に体調不良か?」と不振に思われる可能性があります。無理せず働くことができる
持病があると、体調が悪い日や出来ない業務がありますよね。持病があることを隠して無理して働き、病状が悪化したという事態を招くことになるかもしれません。持病があることを伝えることで、業務内容を調整してもらえたり、同僚にヘルプを求めたりと、無理せず働くことができます。長期間同じ職場で働けると、キャリアを継続することができますし、何より自分自身を守るためにも、持病があることを事前に伝えておいた方が良いといえるでしょう。
持病ありの看護師が安心して働ける職場の条件
病気について配慮がある
通院のために休める、体調が悪いときに休憩ができるなど、持病を抱えながら働く場合、職場の病気に関する配慮は必要不可欠です。とくに看護師の場合、多忙で業務中にゆっくり休憩することが出来ない日は多いです。食事休憩も満足にとれないなんてことはよくあります。無理して働かないためにも、業務中、どんなに忙しくても、休憩がとりやすい職場環境であることは大切なポイントです。
また、クリニックなどの看護師の人数が少ない職場、看護師不足で悩んでいる職場などは、休みが取りにくい場合があるので、急な休みにも対応してもらえる職場を選ぶことをおすすめします。
業務内容に配慮がある
持病のため出来ない、または避けた方が良い業務がある場合、その業務を外してもらえる、業務量を減らしてもらえるなど、業務内容に配慮があることは大切です。たとえば腰痛があり、ヘルニアになった看護師に、頻繁に移乗介助を頼む、腰に負担がかかる清潔ケアばかりさせるなどは、業務内容に配慮してもらえていないといえます。ときには同僚に仕事を依頼しなければならない状況もあるでしょう。同僚が快く引き受けてくれる、助けてくれる職場環境だと、持病があっても長く働けるのではないでしょうか。
人間関係が良い
持病を抱えながら働く場合、職場の病気に対する理解・協力は必要です。師長に休み希望を伝えづらい、同僚に助けを求めづらい、通院のため休む、出来ない業務があることで嫌がらせを受ける、といった職場環境で働き続けることは難しいでしょう。良い人間関係を築くためには、自身の働きかけも大切です。自分からコミュニケーションを図ったり、助けてもらったときには感謝の言葉を伝えたりなど、当たり前のことかもしれませんが、意外と出来ていないことも多いかもしれません。
持病がある看護師におすすめの就職先とは
病院は勤務する看護師の人数が多く、急な休みも比較的取りやすいです。また、部署もたくさんあるため、ほかの病棟への異動希望や、病棟勤務が難しい場合は外来へ移動希望も出せます。退職しなくても労働環境を変えられるのは、病院勤務のメリットといえます。
大きい病院は福利厚生が整っている場合が多いので、持病がある看護師にとって、安心して働ける環境ではないでしょうか。
もちろん、仕事が忙しい、超過勤務が多い、看護師不足で休めない、という病院もあります。一般的に、急性期の病院は忙しいといわれることが多く、慢性期の病院や療養型の病院は比較的残業が少なく、ゆっくりと働けるといわれています。
まとめ
しかし、持病を抱えながら働く看護師はたくさんいます。病気に対する職場の理解・協力を得る、利用できる制度を利用するなど、持病があっても看護師として働くことはできます。持病の種類や症状は人それぞれなので一概には言えませんが、この記事を参考に自身の持病と付き合いながら働ける職場環境を探してみてください。持病に理解のある、良い職場に出会えることを願っています。
もに、持病に理解のある職場がなかなか見つからないときは、ぜひ転職コーディネーターにご相談ください。業界を知りつくしたコーディネーターがあなたにぴったりの職場を紹介してくれますよ。
求人情報ではわからない職場の雰囲気やサポート体制なども教えてくれますので、働きやすい職場がきっと見つかるはずです。
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