少子高齢化で医療の未来はどうなるのだろう|看護師の生き抜く術を知る!|看護師専門の求人転職サイト【看護師ドットワークス】

少子高齢化で医療の未来はどうなるのだろう

少子高齢化で医療の未来はどうなるのだろう

少子高齢化、少子高齢化といいますが、実際のところはどの程度、高齢者が多いのでしょうか。またこのような事態が進んだ結果、どのような未来がやってくるのでしょうか?今回は医療の未来についてみていきたいと思います。

少子高齢化はどの程度進んでいる?

少子高齢化はどの程度進んでいる?
出典:「1 高齢化の現状と将来像」(内閣府)

内閣府の統計によりますと、日本の人口は2010年にピークを迎え1億2,806万人で頂点を迎えます。問題はそのあとです。このグラフは横軸をよく見ていただきたいのですけれど、5年刻みになっています。2025年頃から、とてつもない勢いで人口が減っていきます。勢いよく人口が減っていくのがわかります。

そのかわり、2015年で折り返すかのように増えているのが高齢化率です。高齢化率とは、65歳以上の人口の割合のことで、その高齢化率が落ちることなく右肩上がりにのびていきます。

10年後には

では、2030年の日本はどのような人口動態になっているでしょうか。上記のグラフによりますと、2030年には30%に到達し、1/3が高齢者になります

まだこの頃は、地域によっては「本当に高齢化しているのかな?」と思われるかもしれません。たとえば、二子玉川や武蔵小杉に住んでいたら、子育て世帯があまりに多くて、少子化など信じられない可能性が高いです。

その一方で、北海道の根室市や、九州の日南市などに住んでいたら、急速に増えていく高齢者の数に驚くことでしょう。

高齢者が増えると、さまざまな問題が明るみにでます。もっとも懸念されるのが、医療費が膨れ上がるということです。なぜなら、加齢にともなって、さまざまな体の不安が出てくることは誰しも高齢者になってはじめて実感することだからです。

20年後には

20年後には
出典:「今後の社会保障改革について ー2040年を見据えてー」(厚生労働省)

そして20年後の2040年になると、事態が変化をみせます。高齢者の人口増加が緩やかになるのです。2025年まで、高齢者の絶対数そのものが勢いよく増えていきますが、2040年の未来、緩やかなカーブとなります。

なぜでしょうか?

それは人口そのものが減少ペースとなり、そのかわり生産年齢人口の減少が著しく加速するのです。つまり、2040年になると、高齢化は絶対数が減るだけで、率としてはとてつもないスピードで進行することとなります

少子高齢化する未来への対策

ところで、政府もまったく無策でこの状態を迎えようとしているわけではありません。考えられる施策として

(1)健康年齢の増進
(2)働き続ける高齢者をサポート
(3)出生率の向上

などが提言されています。このうち、医療へ直接関係あるのが(1)で、間接的に医療費へ関係するのが(2)と(3)です。(1)の健康年齢の増進は、ウォーキングや軽めの筋トレ、スポーツを通じて、いつまでも健康で長生きしてほしいという施策です。

寝たきりや胃ろうの方が増えれば、看護や介護にかかる費用も増え、莫大な医療負担となります。2020年現在、約120兆円もの社会保障費が毎年計上されていますが、そのうち介護は約10兆円、医療は約40兆円です。

現役世代や子育て世帯も医療にかかりますが、このうち多くが高齢者医療に使われていることは、多くの方が体感でも知っていることではないでしょうか。

人間が病気になるのは仕方がないとしても、介護費は健康で長生きできる人が増えれば増えるほど、圧縮できるはずです。

そのためには、逆に現在の医療費が増えることを覚悟してでも、「予防医療」に舵を切る必要があるかもしれません。実際、歯科の分野では、予防歯科が躍進し、歯磨きやセルフケアを推奨することで、全体的な医療費を抑えようという流れがあります。

私たち医療の未来

そして、政府は75歳以上の医療費の窓口負担を2割負担へと引き上げることを検討段階に入りました。こ

れにより、実質8,000億円もの医療費が削減できる見通しです。この施策には批判もあります。社会保障費に充当するとの触れ込みで上げた消費税増税はどうなったのか?という批判です。

それはもっともですが、増税でも追いつかないほどに高齢化のスピードが増していると考えるのが妥当ではないでしょうか。細かい予算の無駄をつつけば、いろいろな矛盾が出てくることでしょうが、当サイトのコラムではそこの詳細には立ち入らないこととします。


また、看護師として社会問題に関心を持ち、こうした医療の未来を懸念している方もおられると思います。実際、看護の現場では、生活保護受給者の増加、高齢者の増加を日々実感していることでしょう。

そして、医師不足、看護師不足、医療費全体の不足・・・医療の現場にはさまざまなリソースが足りていません。医師や看護師の9割が、「このままでは医療費はもたない」と考えているデータもあり、また健康保険組合の連合である健保連も、「このままでは健康保険なくなる」プロジェクトと題して、ソーシャルメディアを中心として、危機への声をあげています
「10万ツイート達成してみんなの声を国会に届けるぞプロジェクト」

健保連は健康保険が無くなった際の未来を想定して、病院が遠くなる、気合いで治療、ベッドは5段、薬が高価になる、などの危機をあおり、著名イラストレーターによる啓発を行っています。

まとめ

いずれにせよ、何らかの改革が必要であることは確かです。看護師として、危機意識を持ち続け、仕事に無駄な動きがないか、みていく必要もあります。

医師や看護師の給料は、保険財政から出ているため、動きに無駄があればそれは医療費の圧迫に直結してしまうという一面があるのです。

「そうはいっても、いま看護師不足で現場がまわらないぐらいいっぱいいっぱいだ」と思われるかもしれません。看護師不足は深刻な問題なので、これからも当コラムで取り上げてまいります。

今回は、少子高齢化になると医療の未来はどうなる?というテーマでお届けしました。医療費の限界があちこちから可視化され、政府・健保組合からも提言がでていることがわかりました。その一方で、看護師不足・医師不足も顕在化しています。

2025年と2040年に、日本の医療は大きな転換点を迎えそうです。人口動態に変化があるからです。しかし、まだ残された時間はあります。現場に携わる看護師として、この問題から目をそらしてはいけないのです。

この記事を読んでいる方は以下の記事も見ています

トップ
看護師向け転職エージェントランキング