情報の浴びすぎは不安を呼ぶ。JOMOとFOMOとは?
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)問題では、多くの人が不安に陥ったといいます。実際の感染者数よりもはるかに多くの人が経済的な苦境に陥り、精神科では通院患者の9割が、コロナを不安に思っていると相談するとのこと。
そうした不安は、なぜ生まれるのでしょうか。ひとつにメディアとの付き合い方があります。テレビを延々と流したり、SNSを長く見続けたりする現代人のライフスタイルは、心が不安定になりやすいと考えられます。
アメリカから、そうしたライフスタイルにカウンターカルチャーがやってきました。それが、FOMOとJOMOです。FOMOとJOMOとは、いったいどういう意味で、現代人の心をどう守ってくれるのか、確認していきます。
FOMOとは?
FOMOは、何もSNSだけに限りません。たとえば、投資における相場でも同様のことが起きがちです。見逃すのではないか、自分だけが取り残されるのではないか、という強い衝動によって、人は駆り立てられるのです。
ロバート・チャルディーニ氏が書いた、伝説の名著「影響力の武器」では、「社会的証明(social proof)」という章があります。社会的証明とは、いってしまえば、みんな一緒であることに人は重きを置く、ということです。
よって、みんなに置いて行かれるのではないかという気持ちは、焦りとなって私たちを行動に駆り立てます。その結果、少しでも“美味しい情報“が転がっていないかと、一日中ソーシャルメディアに張り付いている、という行動になりがちなのです。
それが、FOMOであり、同時に、この状態はあまりよくないことは誰の目にも明らかですよね。
JOMOとは?
情報から離れた生活を楽しもう、それがJOMOのコンセプトであり、アメリカのミレニアル世代を中心に、ひそかにブームを起こしています。
JOMOは、情報面での断捨離のやましたひでこさんや片付けの近藤麻理恵さん(こんまりメソッド)に近いところがありますね。
報酬体系を刺激するSNS
たとえば、Facebookを考えてみましょう。Facebookは「結婚しました」「子供が生まれました」「こんな素敵なお店にいきました」からはじまって、「看護師長になりました」にいたるまで、さまざまな自慢をする場所でもあります。
一方で、Twitterを考えてみましょう。看護師さんも医師も、非医療職の方々も、たくさんの人がTwitterを楽しみますが、欲望が刺激されます。フォロワー数がほしい、いいねがほしい、リツイート(拡散)がほしい・・・。
このように、さまざまな刺激が与えられるような仕掛けになっており、報酬体系が刺激されるのです。人は、自分の話をするとき、性交渉のオーガーズム以上の快感を感じるという研究がある通り、自分語りは現代人にとって最高の娯楽です。
情報遮断もときには必要?
そうなると、普段でさえFOMOという状態なのに、ますます情報から取り残されるのが怖くなり、不安になってしまうのです。メディアは恐怖をあおって何かを販売(CMで)しようとしますから、余計に情緒不安定になります。
しかし、ときには、FOMOを知って、あえてJOMOしてみませんか。つまり、情報を遮断することそのものを楽しむのです。そうしないと、情報の渦にのまれて、自分自身がつらくなりますし、社会的にも皆がSNSに張り付き続けているのは不健康ではないでしょうか。
看護師として、いま何が必要か
まずは知識ですよね。このJOMOは医学的な説明ではなく、FOMOもまた病気ではありません。あえて病気と表現するなら「現代の病」のたぐいになるものです。よって、看護師としていますぐなにか、行動しなければならないということはありませんが、それでも知っておくだけでずいぶんと違います。
さいごに
FOMOとJOMOの流れ。アメリカのミレニアル世代のライフスタイルから来ているので、今後、日本に来ることも十分考えられます。もう来ているかもしれず、コロナをきっかけに、情報との付き合い方をみなおしてみてはいかがでしょうか。
現代は戦争でも何でも、情報戦です。
しかし、情報にずーっと張り付いて、「美味しい情報を見逃してしまうかも」「自分だけ見逃して、ライバルは美味しい情報を手に入れるかも」という不安にかられてSNSに張り付くのは、あまり健全な精神状態やライフスタイルとはいえません。
健康的に、ヘルシーな心と体、生活の営みを送るためにも、FOMOの状態にあることに自覚することからはじめてみてはいかがでしょうか。
そうすると、反対にJOMOが浮かび上がってきますので、きっとQOLもあがります。患者さんに勧めることはなくとも、自分から素敵なライフスタイルを送りましょう。
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