看護師がやってしまいがちな「コミュニケーションエラー」とは?|看護師の生き抜く術を知る!|看護師専門の求人転職サイト【看護師ドットワークス】

看護師がやってしまいがちな「コミュニケーションエラー」とは?

看護師がやってしまいがちな「コミュニケーションエラー」とは?

「説明がうまく伝わらずインシデントにつながった」
「大切な情報なのに言われておらず見落とした」

あなたは、ほかのスタッフとのコミュニケーションエラーが原因で、トラブルになった経験はありますか。スタッフ同士がお互いに十分な知識をもち、慎重に業務を行っていても、コミュニケーションがうまくいかないと事故につながってしまいます。

近年、「チーム医療」という言葉が浸透しているように、医療者にとってコミュニケーションの重要性が増しています。

そのため、安全で質の高い医療を提供するには、コミュニケーションエラーをなくし、スムーズな連携を目指さなくてはなりません。

コミュニケーションエラーをなくすには、個人が意識を高めるだけでは不十分です。そこで今回は、コミュニケーションエラーの原因や個人、組織で取り組みたい対策についてご説明します。ぜひ、参考にしてみてください。

医療現場における「コミュニケーションエラー」とは?

医療現場における「コミュニケーションエラー」とは?
医療現場におけるコミュニケーションの目的は、単なる情報伝達だけではなく、情報の意図まで理解させることも含まれます。ですので、自分のもつ情報を別のスタッフに、そのまま伝えるだけでは不十分です。

たとえば、「ある患者さんの排便が数日間ない」という情報が、看護師間で申し送りされたとします。

申し送った側は、「排便がみられないので便処置をしてほしい」という意図で伝えたつもりでした。ところが、申し送られた側が「注意して観察すればよい」と解釈してしまうと、患者さんの便処置は行われません。

このように、医療現場におけるコミュニケーションエラーは、アセスメントや価値観の違いにより発生する複雑な問題であるといえます。

また、医療の仕事は人間を相手にする仕事です。なので、似たような場面でも患者さんに合わせた個別対応が求められます。看護師間で情報共有がうまく行われていないと、統一した看護が提供できません。

コミュニケーションエラーをなくすには、どのような場面で発生しやすいのか、なぜ発生するのか、どのように対策をすべきかを考えていく必要があります。

それぞれ順番に見ていきましょう。

看護師にありがちなコミュニケーションエラー

看護師にありがちなコミュニケーションエラー
まずは、看護師にありがちなコミュニケーションエラーの場面から見ていきましょう。コミュニケーションエラーは、看護師間だけでなく、他職種や患者さんとのやり取りの場面においても発生します。

あなたの医療現場での経験と、照らし合わせてみるとよいかもしれません。

①「わざわざ言わなくても大丈夫」という思い込み

看護師は経験年数により、背景知識が異なります。経験年数が長くなるほど、若手の看護師との知識の差が広がる一方で、その差を忘れてしまいがちです。そして、背景知識の差による思い込みはコミュニケーションエラーにつながります。

例:日勤看護師Aが夜勤看護師Bに「○○さんは明日検査なので、よろしくお願いします」と申し送った。検査には前処置として、投薬が必要な場合があり、医師に確認が必要であった。

しかし、看護師Bは経験が浅く前処置の確認が必要であると認識しておらず、看護師Aは「わざわざ言わなくても大丈夫だろう」と思い込んでいた。その結果、患者さんには必要な前処置が行われずに検査は翌日に延期となった。

②言ったはずなのに伝わっていなかった

「言った、言わない」は頻度の多い、コミュニケーションエラーのひとつです。

しかも、お互いの主張が異なっており、遡って確認することも難しいでしょう。また、人間関係のトラブルにもつながりがちです。

例:看護師Aは休憩に入る際、看護師Bに「○○さんのお昼の内服が済んでいません。食後に内服確認お願いします。」と依頼した。しかし、その場面で看護師Bは電子カルテで指示受けをしており、看護師Aからの依頼を聞き逃した。

その結果、看護師Aが休憩からもどった際に、患者さんへの内服が行われていないことに気がついた。医師に確認し、すぐに内服してもらい経過観察となる。

③「誰かがやってくれる」と思う社会的手抜き

看護師はチームで働く場面が多い職業です。お互いを助け合える一方で、「誰かがやってくれるだろう」という、社会的手抜きと呼ばれる思い込みが発生してしまいます。

とくに「気がついた人がやる」とされている仕事で起こりがちであり、注意が必要です。

例:ミキシングの際に使用する針捨てBOXは、満杯に近くなってきたら、気がついた看護師が交換することになっていた。ところがある日、針捨てBOXが満杯になり注射針があふれ出しているのに誰も交換しなかった。

その結果、あふれ出た注射針によって、看護師が針刺しを起こしてしまった。普段は看護師Aが交換作業をすることが多かったが、その日は看護師Aが休日で不在であった。

④口頭での指示受けで伝達ミス

指示受けの基本は文書でのやり取りです。

しかし、緊急時で文書作成の時間がない場合には口頭指示が用いられます。とくに急変時などに、口頭での指示受けを経験する場合が多いのではないでしょうか。

例:夜間の急変で看護師Aは当直医に指示を仰ぎ、「○○を2mg投与お願いします。」と言われた。看護師Aは聞き間違え、指示された薬剤を2錠投与し過剰投与となってしまった。

普段の投薬指示は「○錠を投与」という形式で出されることが多かったため、看護師Aは思い込んでしまった。また、当直医は外部の医師であり、病院の普段の指示出しについては認識していなかった。

⑤相談せずに転倒させてしまう

看護師は人間を相手にする仕事であり、決められたとおりに仕事をするだけでは不十分です。

そのため、患者さんの状態をアセスメントし、医師や看護師に相談していかなければなりません。相談をタイムリーにしていくことも大切です。

例:肺炎で入院中の患者Aが38.0℃の発熱をしており、ふらつきが強い状態であった。医師の指示には「38.5℃以上の発熱で解熱剤使用可」とあったので、看護師Bは経過観察することにした。

その結果、患者Aはトイレに行こうとした際にふらつき、転倒を起こしてしまう。そして、看護師Bは主治医から「発熱してふらつきがあるのであれば、解熱剤の使用を相談してほしかった」と言われてしまった。

コミュニケーションエラーが起こる原因

コミュニケーションエラーが起こる原因
続いて、コミュニケーションエラーが起こる原因を見ていきましょう。原因を明らかにしていくことで、対策が立てやすくなりますよ。

①コミュニケーション量の不足

スタッフ間でのコミュニケーション量が少ないと、コミュニケーションエラーが起こりやすくなります。必要最低限のコミュニケーションだけではなく、相手が情報を伝えた意図まで理解できるようにするのが大切です。

「認識を共有するのに手間がかかる」「相手の時間を奪っているようで申し訳ない」と思う方もいるかもしれません。

しかし、長い目で考えるとコミュニケーション量を増やしていく方が、業務がスムーズに回るようになりますよ。

また、相性の問題でどうしても声のかけにくいスタッフが、いることもあるかもしれません。声をかけると不機嫌な対応をされるなどであれば、上司に相談してみるのもひとつの手です。苦手だからと、声をかけずにいると自分自身が医療事故に巻き込まれてしまいます。

②思い込み

看護師経験が長くなると、知識や経験による予測が立てられるようになります。経験による予測は大切なものですが、「相手も同じように考えているだろう」という思い込みにつながることも少なくありません。

そして、コミュニケーションエラーを防ぐには、自分が経験による予測を活用する場面を意識するのが大切です。予測はあくまで予測ですので、先回りし過ぎずに予測が外れた場合も想定しておきましょう。

③情報の解釈の違い

同じ患者さん、同じ場面に遭遇したとしても、スタッフによって得た情報の解釈が異なる場合があります。また、看護師と他職種では観察の視点も異なるため、同じ情報を共有していたとしても異なる解釈が生じがちです。

よって、情報の解釈の違いによる、コミュニケーションエラーを防ぐには、相手の立場に立って考える習慣が必要です。相手がどのような価値観や判断基準を持っているかを頭に入れながら、コミュニケーションを取ると、解釈の違いを防ぎやすくなりますよ。

④多忙による確認不足

普段は丁寧に確認をしていても、忙しくなったり、時間がなくなったりする場面ではコミュニケーションエラーが起きがちです。

このような場面でのコミュニケーションを防ぐには、個人での取り組みだけでなく、組織での取り組みもかかせません。病棟会などの機会に、部署全体で話し合って対策を立てていきましょう。

看護師個人でできるコミュニケーションエラー対策

看護師個人でできるコミュニケーションエラー対策
では、看護師個人でできるコミュニケーションエラー対策を見ていきましょう。今日からでも取り入れられる対策ですので、さっそく試してみるとよいかもしれません。

はじめのうちは意識しないと対策ができません。しかし、慣れてくると無意識に対策を行えるようになりますので、少ない負担でコミュニケーションエラーをなくしていけますよ。

「4C」を活用しコミュニケーションの精度を高める

「4C」とは、情報伝達におけるコミュニケーションの精度を高めるために、守るべき4つのルールです。4Cはそれぞれ、以下の頭文字を示します。

・Clear(明確)
・Correct(正確)
・Complete(完結)
・Concise(簡潔)

Clearは「明確さ」を表しており、誰が聞いても誤解のない言葉の使用が求められます。なお、Clearには「なじみ深さ」や「平易さ」の意味もあり、相手の知識によっては伝わらない言葉の使用は不適切です。

Correctは「正確さ」を表しており、不適切な略語やあいまいな表現は避けなければなりません。とくに薬剤の名前は似ているものが多いため、正確に伝達していく必要があります。

Completeは「完結」を表しており、過不足なく情報伝達を完了させることです。情報不足はもちろん、不要な情報を伝達しすぎると意図が伝わりにくくなってしまいます。

Conciseは「簡潔さ」を表しており、余計な表現を削って伝わりやすくすることです。文書で伝える際には、箇条書きなどを活用して視覚的な簡潔さも意識するとよいですよ。

これらの4Cを意識するとコミュニケーションのグッと精度が高まり、エラーがなくなっていきます。ある程度の練習が必要ですので、積極的に使っていきましょう。

復唱・確認をして正しく伝える

医療事故の予防策として復唱・確認はかかせません。しかし、業務に慣れてくると省略されてしまったり、やっていても形だけになったりすることがあります。そこで、あらめて自分が事故に巻き込まれないようにする、という意識を持って復唱・確認を行いましょう。

なお、復唱をする際には同じ言葉を繰り返すだけでなく、情報の意図まで確認するようにしましょう。情報の意図まで確認することで、コミュニケーションの精度を高められますよ。

組織で取り組むべきコミュニケーションエラー対策

最後に、組織で取り組むべきコミュニケーションエラー対策を見ていきましょう。

組織で取り組むべきコミュニケーションエラー対策のポイントは、経験の浅い看護師が発言しやすい空気を作ることです。経験の浅い看護師は知識が少ないため事故予測がつきにくく、事故を起こしやすいため、コミュニケーションで補う必要があります。

所属する病棟でリーダーや管理職の役割を見直し、コミュニケーションに偏りが生まれないようなルール作りをしていきましょう。

まとめ

今回は看護師がやってしまいがちな「コミュニケーションエラー」についてご説明しました。コミュニケーションは、看護師の永遠の課題だといえるかもしれません。個人と組織で少しずつ改善を目指していくとよいですよ。

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